“里言”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
りげん60.0%
さとことば40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いかんとなれば冬の雪はいかほどつもりても凝凍(こほりかたまる)ことなく、脆弱(やはらか)なる事淤泥(どろ)のごとし。故(かるがゆゑ)に冬の雪中は橇(かんじき)・縋(すかり)を穿(はき)て途(みち)を行(ゆく)。里言(りげん)には雪を漕(こぐ)といふ。
山川村庄(さんせんそんしやう)はさらなり、凡(およそ)物の名の訓(よみ)かた清濁(すみにごる)によりて越後の里言(りげん)にたがひたるもあるべし。然(しかれ)ども里言は多く俗訛(ぞくなまり)なり、今(いま)姑(しばらく)俗に从(したがふ)もあり。本編には音訓(おんくん)の仮名(かな)を下(くだ)さず、かなづけは余(よ)が所為(しわざ)なり。
里言(さとことば)にこれを雁の総立(そうだち)といふ。雁の備(そなへ)ある事軍陣(ぐんぢん)の如(ごと)し、余(よ)の鳥(とり)になき事也、他国の雁もしかならん。田舎人(ゐなかうど)には珍(めづら)しからねど都会(とくわい)の人の話柄(はなしぐさ)にいへり。
初雪の積りたるをそのまゝにおけば、再び下(ふ)る雪を添へて一丈にあまる事もあれば、一度降(ふれ)ば一度掃ふ(雪浅ければのちふるをまつ) 是を里言(さとことば)に雪掘(ゆきほり)といふ。土を掘(ほる)がごとくするゆゑに斯(かく)いふなり。
雪 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)