“一夕”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いっせき78.0%
いつせき16.0%
あるゆうべ2.0%
あるゆふべ2.0%
ひとばん2.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
近頃はお角の弟子達を全部断って、肌寒くなりまさる晩秋の一夕いっせきを、長火鉢を挟んで口説くぜつの糸をたぐるのに余念もなかったのです。
おご平家へいけを盛りの櫻にくらべてか、散りての後の哀れは思はず、入道相國にふだうしやうこくが花見の宴とて、六十餘州の春を一夕いつせきうてなに集めてみやこ西八條の邸宅。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
目科も何やら余にまじわりを求めんとする如く幾度と無く余を招きて細君と共々に間食かんじきことに又夜にりてはかゝさず余を「レローイ」珈琲館まで追来おいきたり共に勝負事を試みたり、くて七月の一夕あるゆうべ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
蝙蝠かうもりのちらと見えたる夏もはじめつ方、一夕あるゆふべ、出窓の外を美しき声して売り行くものあり、苗や玉苗、胡瓜の苗や茄子の苗と、其の声あたかも大川の朧に流るゝ今戸あたりの二上にあがりの調子に似たり。
草あやめ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
令史れいしすくなからず顛動てんどうして、夜明よあけて道士だうしもといた嗟歎さたんしてふ、まことのなすわざなり。それがしはたこれ奈何いかんせむ。道士だうしいはく、きみひそかにうかゞふことさら一夕ひとばんなれ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)