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一夕
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いっせき
ふりがな文庫
“
一夕
(
いっせき
)” の例文
近頃はお角の弟子達を全部断って、肌寒くなりまさる晩秋の
一夕
(
いっせき
)
を、長火鉢を挟んで
口説
(
くぜつ
)
の糸をたぐるのに余念もなかったのです。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「で、今夜は、それがしが
一夕
(
いっせき
)
の
恋
(
こい
)
を遂げた訳。ご迷惑でも、どうか一
献
(
こん
)
お過ごしあって、存分、わがままをいってもらいたいのじゃ」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
哩
(
マイル
)
の
長線道
(
ランゲリイネ
)
を自由港まで散歩。片側は城砦。いっぽうは海峡の水。コペンハアゲン訪問者の忘れてならない
一夕
(
いっせき
)
のアドヴェンチュアだ。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
かの女達は、むす子を頼んで置くその青年医を
一夕
(
いっせき
)
、レストランへ招待した。かの女達は、魚料理で有名なレストランへ先に行っていた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私は
正金
(
しょうきん
)
銀行支店長の
松倉吉士
(
まつくらきちじ
)
という方の宅へ招かれて、在留日本人の紳士紳商の方々のために
一夕
(
いっせき
)
チベット談を致し
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
紐育
(
ニューヨーク
)
にては稀に夕立ふることあり。盛夏の
一夕
(
いっせき
)
われハドソン河上の緑蔭を歩みし時驟雨を
渡頭
(
ととう
)
の船に避けしことあり。
夕立
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「そこまで至ると貴殿もなかなか話せる、ぜひ
一夕
(
いっせき
)
、芝浦あたりへ舟を同じうして、お
伴
(
とも
)
を致したいものでござる」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この黒壁には、
夏候
(
かこう
)
一
疋
(
ぴき
)
の蚊もなしと誇るまでに、
蝦蟇
(
がま
)
の多き処なるが、乞食僧は
巧
(
たくみ
)
にこれを
漁
(
あさ
)
りて引裂き
啖
(
くら
)
うに、
約
(
おおむ
)
ね
一夕
(
いっせき
)
十数疋を以て足れりとせり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
旅費の多き旅行なれば、千里の路も即日の支度にて出立すれども、子を育するに不便利なりとて、
一夕
(
いっせき
)
の思案を費やして進退を考えたる者あるを聞かず。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
五十に近い身で、少年少女
一夕
(
いっせき
)
の癡談を真面目に回顧している今の境遇で、これをどう考えたらば、ここに幸福の光を発見することができるであろうか。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その友人たちのうちには
稀
(
まれ
)
には極端な節約家の彼に散財させて、
一夕
(
いっせき
)
の歓を尽くすようなこともあった。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
しからばすなわち、いかにして可ならん。曰く、この病根すでに深く骨髄に
透入
(
とうにゅう
)
し、これを除かんと欲するも、もとより一朝
一夕
(
いっせき
)
のよく及ぶところにあらざるは論なし。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
その翌日、チチコフは裁判所長のところで
一夕
(
いっせき
)
を過ごしたが、この人はお客に接するのに少し垢じみた
寛衣
(
へやぎ
)
を
著
(
き
)
ていた。
然
(
しか
)
もそのお客の中には何でも婦人が二人もまじっていたのだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
それはルー・ド・グレネルの古い別荘で、親しい人たちが
一夕
(
いっせき
)
を語り明かした末のことで、来客は交るがわるにいろいろの話をして聞かせた。どの人の話もみな実録だというのである。
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
元すててこもへらへらも
郭巨
(
かっきょ
)
の
釜掘
(
かまほ
)
りも大方が即興舞踊に端を発したるものとはいえ、それらのなんせんす舞踊には立派に曲もあり、振りもあり、よく
一夕
(
いっせき
)
の観賞に値するのであるが
寄席行灯
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
これほどまでに自分を引き留めたいのは、ただ当年の
可懐味
(
なつかしみ
)
や、
一夕
(
いっせき
)
の
無聊
(
ぶりょう
)
ではない。よくよく行く先が案じられて、亡き後の安心を
片時
(
へんじ
)
も早く、脈の打つ手に握りたいからであろう。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
就きましては
一夕
(
いっせき
)
怪談会を催しまして、皆さまの御高話を是非拝聴いたしたいと存じておりましたところ、あたかもきょうは春の雪、怪談には雨の夜の方がふさわしいかとも存じましたが
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その年の正月に
巴里
(
パリ
)
にある
心易
(
こころやす
)
い連中だけが集まって、
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
を置き、モデルに歌わせ、皆子供のように楽しい
一夕
(
いっせき
)
を送った時の
名残
(
なごり
)
は、天井の下の壁から壁へ渡した色紙も古びたままで
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
若
(
も
)
し
相愛
(
あいあい
)
していなければ、文三に親しんでから、お勢が言葉遣いを改め
起居動作
(
たちいふるまい
)
を変え、
蓮葉
(
はすは
)
を
罷
(
や
)
めて優に
艶
(
やさ
)
しく
女性
(
にょしょう
)
らしく成る
筈
(
はず
)
もなし、又今年の夏
一夕
(
いっせき
)
の情話に、我から
隔
(
へだて
)
の関を
取除
(
とりの
)
け
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
こうして絶対に盗難の憂をなくするため、ほとんど要塞のように厳重な設備が出来上がったので、大佐はいよいよ邸宅改築の披露を兼ね、自慢のつづれの錦を展観させるべく
一夕
(
いっせき
)
知己
(
ちき
)
を招いた。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
その応戦の跡は『漢蘭酒話』、『
一夕
(
いっせき
)
医話』等の如き書に徴して知ることが出来る。抽斎は
敢
(
あえ
)
て
言
(
げん
)
をその間に
挟
(
さしはさ
)
まなかったが、心中これがために憂え
悶
(
もだ
)
えたことは、想像するに難からぬのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
大臣の邸とは比べものにならない
手狭
(
てぜま
)
な館ではあるけれども、
一夕
(
いっせき
)
我が方へ臨席を仰いで
饗宴
(
きょうえん
)
を催し、心の限りもてなしをして、感謝の念の萬分の一でも酌み取って貰えないであろうかと云うことも
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
試みに馬から落ちて落馬したの口調にならわば二つ寝て二ツ起きた二日の後俊雄は割前の金届けんと
同伴
(
つれ
)
の
方
(
かた
)
へ出向きたるにこれは頂かぬそれでは困ると世間のミエが
推
(
お
)
っつやっつのあげくしからば今
一夕
(
いっせき
)
と
呑
(
の
)
むが願いの同伴の男は七つのものを
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
入道が、入道としての、面目を発すれば、彼等の
伽藍
(
がらん
)
堂塔
(
どうとう
)
は
一夕
(
いっせき
)
に焼きつくして、一物の金泥や
金襴
(
きんらん
)
も残さない焼け跡の灰の中に
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ムッソリニと握手する。
一夕
(
いっせき
)
独逸
(
ドイツ
)
廃帝と快諾して思い出ばなしを聞く。ナポレオンの死の床も見たいし、ツタカメン王の使用した安全
剃刀
(
かみそり
)
もぜひ拝観しよう。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
一夕
(
いっせき
)
、道庵の声名を聞いて、京から名酒を取寄せて贈り越したものがあって
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一夕
(
いっせき
)
、彼等のために夜会を催す必要があるとか言い出した時には、アカーキイ・アカーキエウィッチはすっかりまごついてしまって、いったいどうしたらいいのやら、何と返答したものやら
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
私は今でもこの古レコードに
一夕
(
いっせき
)
の興をやることを楽しみにしている。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
一夕
(
いっせき
)
の歓をつくすのは、それ自身において愉快な事であるが、この懇親が単に社交上の意味ばかりでなく、それ以外に一種重要な影響を生じうると偶然ながら気がついたら自分は立ちたくなった。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一夕
(
いっせき
)
お通は例の如く野田山に墓参して、家に帰れば日は暮れつ。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「これやあ一つ、
無沙汰
(
ぶさた
)
の親類どもや、同僚どもを、
一夕
(
いっせき
)
招
(
よ
)
んで、祝いをせにゃなるまいとわしは思う。なあ、半蔵殿」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長州藩では、藩の
世子
(
せいし
)
長門守
(
ながとのかみ
)
が、迎えに出た。また、五卿慰労の春帆楼の
一夕
(
いっせき
)
には、藩士の
桂小五郎
(
かつらこごろう
)
と、
伊藤俊輔
(
いとうしゅんすけ
)
が、あいさつを述べに、伺候した。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
他人
(
ひと
)
の物に、惜し気もなく、悪友どもは、
一夕
(
いっせき
)
に
費
(
つか
)
いちらしてしまったが、あの金は、まさしく自分の借金だ。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先ごろ、友人の
服部之総
(
はっとりしそう
)
氏のきもいりで、東大、京大などの若い史学家ばかり十余名の人と一しょになった。「新・平家」を中心に、
一夕
(
いっせき
)
大いに語ろうといってくれたのである。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人間、誰しもこういう
一夕
(
いっせき
)
の悪かろう筈はない。平六はすっかりいい気もちになった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春日山
(
かすがやま
)
の
太守
(
たいしゅ
)
景勝様には、当城に御在陣ときき、主人羽柴筑前守様にも、
千載
(
せんざい
)
の好機なれ、ぜひとも、
一夕
(
いっせき
)
お会い申したいと、
陣旅
(
じんりょ
)
の
寸暇
(
すんか
)
をさいて、富山よりこれへ参ってござる。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「けれど、世間では、こんどのご普請で、初めて老先生のお覚悟をはっきりと知ったのですから、古いお
馴染
(
なじみ
)
がいに、
一夕
(
いっせき
)
ぐらい、ゆるゆると、お膝を合わせて語りたいと熱望しております」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
一夕
(
いっせき
)
のことを、後の史家は「
越水
(
おちみず
)
の
会盟
(
かいめい
)
」といって、以後、関ヶ原戦後にまでつづいた豊臣家と上杉家との
金石
(
きんせき
)
の
盟約
(
ちかい
)
は、実に、この時、両者のあいだに結ばれたものだといわれている。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
内に叛臣あらわれ、外に魏呉の兵を迎え、どうして亡びずにいられるものではない。前途も多難、うしろも多事。征旅の夜にも、孔明の夢は、
一夕
(
いっせき
)
たりとも、安らかではあり得なかったのである。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして、小丸山の庵室は、
一夕
(
いっせき
)
の法話でもあると、真冬の大雪を
冒
(
おか
)
しても、聴聞に寄ってくる人々が、目立って数を増してきた。——万丈の白雪の下から、
蕗
(
ふき
)
の
芽
(
め
)
のように、念仏の声は
萌
(
も
)
えていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
師直は
一夕
(
いっせき
)
、
佐女牛
(
さめうし
)
の佐々木道誉の招きでその邸へおもむいた。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
くめ。ここは百姓家じゃ。わしもいまは少将の領土の民、おぬしたちも少将の家来、ひとつものじゃ。——それにまた、こよいは遊ぼうという
一夕
(
いっせき
)
、わしも遊ぶ、みなも肚のそこから遊べ。さあ、くつろげ
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かくて、この日の
会盟
(
かいめい
)
は、
一夕
(
いっせき
)
のまに、果された。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一夕
(
いっせき
)
の
燈
(
とも
)
し
油
(
ゆ
)
さえ、あったりなかったりで
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一夕
(
いっせき
)
の
恋
(
こい
)
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“一夕”の意味
《名詞》
一夜。一晩。
ある夜。ある晩。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
夕
常用漢字
小1
部首:⼣
3画
“一夕”で始まる語句
一夕立
一夕話