“取除”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とりの57.7%
とりのぞ11.5%
とりのけ9.6%
とりはず9.6%
とりのく3.8%
かた1.9%
とっと1.9%
とりのけん1.9%
とりはづ1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして角燈を地上に置くと、石の端の下へてこの先を押入れて、其石を擡げ始めた。石が自由になると彼は更に寄生植物を取除とりのけにかゝつた。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
その喇叭の音は、二十年来はたと聞こえずなつた。隣村に停車場が出来てから通行とほりが絶えて、電信柱さへ何日しか取除とりのぞかれたので。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
歳越としこしの日などはいづれの家にてもことさらに雪をほりまどのあかりをとり、ほりたる雪も年越としこしの事しげきにまぎれて取除とりのけをはらず、掘揚ほりあげ屋上やねにひとしき雪道歩行あゆむにたよりあしき所もあり。
壁はまだ乾かず、戸棚へは物も入れずにある。唐紙は取除とりはずしたまま。種々なことを山の上から想像して来た家内には、この住居はあまりに狭かった。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いづれの家にても雪は家よりもたかきゆゑ、春をむかふる時にいたればこゝろよく日光ひのひかりを引んために、あかしをとる処のまどさへぎる雪を他処へ取除とりのくるなり。
あんなもの建てなけりゃアいゝに、庚申塚が有って見えやアしねえ、庚申塚取除かた
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
甲給仕 疊椅子たゝみいす彼方あっちへ、膳棚ぜんだなもかたづけて。よしか、そのさらたのんだ。おいおい、杏菓子あんずぐわし一片ひときれだけ取除とっといてくりゃ。
此雪を取除とりのけんとするには人力じんりき銭財せんざいとをつひやすゆゑ、寸導せめてだんを作りてみちひらく也。そも/\初雪より歳を越て雪きゆるまでの事を繁細はんさいに記さば小冊にはつくしがたし、ゆゑにはぶきてしるさゞる事甚多し。
車夫はまるで濡鼠、酒代さかてが好いかして威勢よく、先づ雨被あまよけ取除とりはづして、それから手荷物のかず/\を茶屋の内へと持運ぶ。つゞいて客もあらはれた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)