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取除
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とりの
ふりがな文庫
“
取除
(
とりの
)” の例文
そして角燈を地上に置くと、石の端の下へ
挺
(
てこ
)
の先を押入れて、其石を擡げ始めた。石が自由になると彼は更に寄生植物を
取除
(
とりの
)
けにかゝつた。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
とにかくに
人相書
(
にんそうがき
)
を
認
(
したた
)
める必要があるので、一人の少尉がその死体の顔から再び帽子を
取除
(
とりの
)
けると、彼は思わずあっと叫んだ。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
二種類の文学のうち(ことに浪漫主義の文学のうち)道徳の分子の交って来ないものは頭から
取除
(
とりの
)
けて考えていただきたい。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
父が
徐
(
しず
)
かに其を
取除
(
とりの
)
けると、眼を閉じて少し口を
開
(
あ
)
いた眠ったような祖母の
面
(
かお
)
が見える……一目見ると厭な色だと思った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
岡の上に立っていた
戸田茂睡
(
とだもすい
)
の
古碑
(
こひ
)
も震災に砕かれたまま
取除
(
とりの
)
けられてしまったので、今日では今戸橋からこの岡を仰いで、「
切凧
(
きれだこ
)
の
夕
(
ゆう
)
越え行くや待乳山」
水のながれ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
『
彼等
(
かれら
)
はこの
次
(
つぎ
)
に
何
(
なに
)
をするだらう!
若
(
も
)
し
生
(
しやう
)
があるものなら
屋根
(
やね
)
を
取除
(
とりの
)
けるやうな
莫迦
(
ばか
)
はしないだらう』
程
(
ほど
)
經
(
へ
)
て
彼等
(
かれら
)
は
再
(
ふたゝ
)
び
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
しました、
愛
(
あい
)
ちやんは
兎
(
うさぎ
)
が
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
禅寺
(
ぜんでら
)
では食事のとき、
施餓鬼
(
せがき
)
のため飯を一
箸
(
はし
)
ずつ
鉢
(
はち
)
からわきへ
取除
(
とりの
)
けておく。これを
生飯
(
さば
)
と言うが、臨川寺ではこの生飯を川へ捨てる習慣になっていました。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
材木を
取除
(
とりの
)
けると、果してその下から竹筒に入れた九百九十両の小判が出て来ました。いや、九百九十両というより、九百八十七両といった方が正しいでしょう。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
コハこの
君
(
きみ
)
もみまかりしよとおもふいまはしさに、はや
取除
(
とりの
)
けなむと、胸なるその
守刀
(
まもりがたな
)
に手をかけて、つと引く、せつぱゆるみて、青き光
眼
(
まなこ
)
を
射
(
い
)
たるほどこそあれ
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と御機嫌を直しながら、旦那様は紫袱紗を
解
(
ほど
)
いて桐の小箱の蓋を取りました。白絹に
包
(
くる
)
んだのを大事そうに
取除
(
とりの
)
けて、畳の上に置いたは目も覚めるような
黄金
(
きん
)
の御盃。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
犬の
糞
(
ふん
)
などがあっても
穢
(
きたな
)
いとも思わず
取除
(
とりの
)
けて川へ投げ捨て、掃除をしてしまうと台所のおさんどんが起きて釜の下を焚附けると、多助は水瓶へ水を汲み込んで遣り
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今人を呼び起したのも勿論それだけの用はあったので、直ちにうちの者に不浄物を
取除
(
とりの
)
けさした。
九月十四日の朝
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
絵なぞ一
目
(
め
)
とも見ようとはしないで、電話でもつて何号から何号まで総高
幾干
(
いくら
)
を
取除
(
とりの
)
けて置いて貰ひたいと、
恰
(
ちやう
)
ど勧業債券でも買込むやうな取引をするのがあるさうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そのクリームを
取除
(
とりの
)
けてしまってその中へ
酸乳
(
さんにゅう
)
を入れて
蓋
(
ふた
)
をして一日も寝かして(温かに保つの意)置くとショー(酸乳)即ち固まった
豆腐
(
とうふ
)
のようなものになってしまう。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そうしてその白紙の蓋がホンノリと黄色く染まった頃を
見計
(
みはか
)
らって、紙の上の茶粕を
取除
(
とりの
)
けると、
天幕
(
テント
)
の中に進み入って、安楽椅子の上に身を横たえた富豪貴人たちの前に
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
斯様
(
かよう
)
に静かに考えてみると、実に女子大学の必要を感ずるのであるが、今
退
(
しりぞ
)
いて何故に女子は国民から
取除
(
とりの
)
けられ、単本位の勢力をもっておったかと申しますると、
畢竟
(
ひっきょう
)
男子は強く
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「では、いよいよ、義龍様を、稲葉山からお
取除
(
とりの
)
けと、ご決意を遊ばして」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
苫
(
とま
)
は既に
取除
(
とりの
)
けてあるし、舟はずんずんと出る。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
側
(
そば
)
に
臥
(
ね
)
ている人の
面
(
かお
)
に掛けた白い物を
取除
(
とりの
)
けたから、見ると、
臥
(
ね
)
て居る人は父で、何だか目を
瞑
(
ねむ
)
っている。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ドビュッシーの音楽には伝統的形式や、支配的な
均衡
(
シンメトリー
)
は一つもない。彼はあらゆる音楽上の
遺産
(
いさん
)
を
取除
(
とりの
)
けて、全く自由に
振舞
(
ふるま
)
わなければ承知しなかったのである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
送籍は吾々仲間のうちでも
取除
(
とりの
)
けですが、私の詩もどうか心持ちその気で読んでいただきたいので。ことに御注意を願いたいのはからきこの世と、あまき口づけと
対
(
つい
)
を
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人々は声をたづねて探りあるくと、松の大樹から少し
距
(
はな
)
れたところに大きい石が
横
(
よこた
)
はつてゐて、赤児の声はその石の下から洩れてくるのであつた。石はすぐに
取除
(
とりの
)
けられた。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そのトロッコの上に乗っているものの上に
被
(
かぶ
)
せた白い
布片
(
きれ
)
をカント・デックが
取除
(
とりの
)
けました。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と例の
被
(
かずき
)
を
取除
(
とりの
)
くれば、この人形は左の手にて
小褄
(
こづま
)
を
掻取
(
かいど
)
り、右の手を上へ差伸べて被を支うるものにして、上げたる手にて
飜
(
ひるがえ
)
る、
綾羅
(
りょうら
)
の袖の
八口
(
やつくち
)
と、〆めたる
錦
(
にしき
)
の帯との間に
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
水戸藩邸
(
みとはんてい
)
の最後の
面影
(
おもかげ
)
を
止
(
とど
)
めた
砲兵工廠
(
ほうへいこうしょう
)
の大きな赤い裏門は何処へやら
取除
(
とりの
)
けられ、古びた
練塀
(
ねりべい
)
は赤煉瓦に改築されて、お家騒動の絵本に見る通りであったあの
水門
(
すいもん
)
はもう影も形もない。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
焚
(
た
)
かねば邪魔になる
煖炉
(
だんろ
)
取除
(
とりの
)
けさせたる次の朝の寒さ
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
咽頭
(
いんとう
)
の処をブスリと一突き……乳の間から
鳩尾
(
みぞおち
)
腹部へと截り進んで、
臍
(
へそ
)
の処を左へ半廻転……
恥骨
(
ちこつ
)
の処まで一息に截り下げて参りますと、まず胸の軟骨を離して胸骨を
取除
(
とりの
)
け
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
亡き母上のその時のさまに
紛
(
まが
)
うべくも見えずなむ、コハこの君もみまかりしよとおもういまわしさに、はや
取除
(
とりの
)
けなむと、胸なるその守刀に手をかけて、つと引く、せっぱゆるみて
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三日の間でございます。三日前にお秋が持って来た五両一分二朱と六十八文のうち、二朱と六十八文は当座の小遣に
取除
(
とりの
)
け、五両一分を足して、ちょうど三百両と一分になったのを、封印を
銭形平次捕物控:058 身投げする女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
若
(
も
)
し
相愛
(
あいあい
)
していなければ、文三に親しんでから、お勢が言葉遣いを改め
起居動作
(
たちいふるまい
)
を変え、
蓮葉
(
はすは
)
を
罷
(
や
)
めて優に
艶
(
やさ
)
しく
女性
(
にょしょう
)
らしく成る
筈
(
はず
)
もなし、又今年の夏
一夕
(
いっせき
)
の情話に、我から
隔
(
へだて
)
の関を
取除
(
とりの
)
け
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それ
許
(
ばか
)
りでなくメリンスの目から洩れ込んだ細かい埃は、調査書類の原本の表紙になっている黒いボール紙の上にもウッスリと
被
(
かぶ
)
さっていて、絵巻物の新聞包みを
取除
(
とりの
)
けると
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
天井から
釣
(
つる
)
した
氷嚢
(
ひょうのう
)
を
取除
(
とりの
)
けて、空気枕に仰向けに寝た、素顔は舞台のそれよりも美しく、
蒲団
(
ふとん
)
も
掻巻
(
かいまき
)
も
真白
(
まっしろ
)
な布をもって
蔽
(
おお
)
える中に、目のふちのやや
蒼
(
あお
)
ざめながら、額にかかる髪の
艶
(
つや
)
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
除
常用漢字
小6
部首:⾩
10画
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