“均衡”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きんこう62.5%
つりあ12.5%
つりあい6.3%
つりあひ6.3%
シンメトリー6.3%
バランス6.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なにしろ、そうした意味からも、熊野水軍と田辺の湛増たんぞうの向背は、源平両勢力の均衡きんこうのカギを握っていたものといってよい。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
百済観音の右手が施無畏の印を示しながら、尊式の口の麻の花に均衡つりあつてゐる。背景には雪村軸の夏景山水。脇床=洒脱な松皮菱の花器に、鹿鳴館時代の華奢を偲ばせる黄ばら。紅ばら。
花は勁し (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
なぜ、妖怪ばけものは妖怪であって、人間でないか? 彼らは、自己の属性の一つだけを、極度に、他との均衡つりあいを絶して、醜いまでに、非人間的なまでに、発達させた不具者だからである。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
女は、そこに金剛のやうな藝術の力はあつても、花のやうな容貌がなければ魅力の均衡つりあひは保たれる筈がなかつた。みのるの舞臺は、ある一面からは泥土どろを投げ付けられる樣な誹笑そしりを受けたのであつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
ドビュッシーの音楽には伝統的形式や、支配的な均衡シンメトリーは一つもない。彼はあらゆる音楽上の遺産いさん取除とりのけて、全く自由に振舞ふるまわなければ承知しなかったのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
急に得体えたいの知れぬ力が自分に迫つて来たのだが、それを防がうとする自分の力が迫つて来る力に較べて弱すぎ、均衡バランスが破れたといふ感じがたまらなく怖くなり、何とかして均衡を保たうとして
六白金星 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)