均衡つりあ)” の例文
百済観音の右手が施無畏の印を示しながら、尊式の口の麻の花に均衡つりあつてゐる。背景には雪村軸の夏景山水。脇床=洒脱な松皮菱の花器に、鹿鳴館時代の華奢を偲ばせる黄ばら。紅ばら。
花は勁し (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
ところが、その瀬戸際で危うく引き止めてくれたのは、ある一つの観念が、ふと私の頭の中でひらめいたからです。つまり、それをさせぬためには、まずどっちにでも、均衡つりあうだけの重錘おもしを置くことだ。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)