“はじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハジ
語句割合
25.8%
11.2%
10.0%
7.5%
7.4%
6.8%
4.3%
3.9%
3.9%
2.6%
2.3%
恥辱2.0%
1.9%
羞恥1.6%
1.3%
土師1.1%
把持1.1%
0.9%
0.8%
0.7%
黄櫨0.5%
0.4%
0.4%
0.2%
一隅0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
屈辱0.1%
恥羞0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
罅裂0.1%
羞汚0.1%
覇示0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
仁右衛門は一片の銀貨を腹がけのどんぶりに入れて見たり、出して見たり、親指で空にはじき上げたりしながら市街地の方に出懸けて行った。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
太吉は全く火の燃え付いたのを見て、又かたわらの竹を取り上げて小刀であなを明けはじめた。白いこまかな粉がばらばらと破れた膝の上に落ちる。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もうしまして、わたくしいまいきなりんでからの物語ものがたりはじめたのでは、なにやらあまり唐突とうとつ……現世このよ来世あのよとの連絡つながりすこしもわからないので
「乱調は虚子これをはじめ云々」などと言って居る。今から考えると可笑おかしいようである。漱石氏はその乱調を批難しているのである。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
先に述べた友人は少年ながらもこの事を知りしゆえなぐらるるままにはじしのんで去った。今にしてこれをかえりみれば気の毒だと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
けれどわたし如何どういふものか、それさはつてすこしもなく、たゞはじ喰出はみだした、一すぢ背負揚しよいあげ、それがわたし不安ふあん中心点ちうしんてんであつた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「ふふふふ。みっともねえ。こんなことであろうとおもって、あとをつけてたんだが、おかみさん、こいつァ太夫たゆうさんのはじンなるぜ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
按摩あんまその仰向あをむいて打傾うちかたむいた、みゝかゆいのをきさうなつきで、右手めて持添もちそへたつゑさきを、かるく、コト/\コト/\とはじきながら
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
正直を言えば、嬉しく、心楽しい思いであった。この老人をなつかしみ、帰りを喜ぶはじらいと思ってもいいのだろうか。
(新字新仮名) / 富田常雄(著)
私の生活がああいう態度によって導かれる瞬間がたまにあったならば私ははじめて真の創造を成就することが出来るであろうものを。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
この狂気きちがいじみた事の有ッた当坐は、昇が来ると、お勢はおくするでもなくはじらうでもなく只何となく落着が悪いようで有ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
勿論もちろん、一流のお客さんたちは、評判になったの顔も知らないとあっては恥辱はじとばかりに、なんでもかんでも呼んで来いということになる。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
丘のすそをめぐるかやの穂は白銀しろかねのごとくひかり、その間から武蔵野むさしのにはあまり多くないはじの野生がその真紅の葉を点出てんしゅつしている。
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
無垢むくな心で直樹や娘達の遊んでいる方を、楽しそうに眺めた。彼は、自分の羞恥はじ悲哀かなしみとを忘れようとしていた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
姫は直に不死不滅といふ題を命ぜり。材には豐なる題なりき。しばしうち案じて、絃をはじくこと二たび三たび、やがて歌は我肺腑より流れ出でたり。
古陶器を扱う道具屋も土師はじ物をひさぐいちの店も、どの辺にあるかだいたい見当がついている。永藤朝春が写した真壺の図を持っている。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
人生の全局面をおおう大輪廓を描いて、未来をその中に追い込もうとするよりも、茫漠ぼうばくたる輪廓中の一小片を堅固に把持はじして
イズムの功過 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
年は六十になってなおやまいなく、二十はたちの女給をとらえて世をはばからず往々青年の如く相戯れて更にはじる心さえない。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
介の藤原尚範も印鑰いんやくを奪はれて終つた。十九日国庁に入り、四門の陣を固めて、将門をはじめ興世王、藤原玄茂等堂〻と居流れた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
巨大な影の交錯する縞の中で、人々の口がはじけていた。棉の塊りは動乱する頭の上を躍り廻った。つぶて長測器メートルにあたって、ガラスを吐いた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「そうだった!」と山番の一人、バラバラと彼方あなた黄櫨はじの木の下へ駈けだした。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今の主人の祖父いさんの代で、其人からさつき云つた、あのセンツアマニと云ふ名がはじまつたのだ。手ん坊と云ふのだな。山の葡萄畠が半分はカリアリス家の持物になつてゐた。
センツアマニ (新字旧仮名) / マクシム・ゴーリキー(著)
大日本帝国はじまってこのかたほとんど三千年を経ましたけれども今始めてかと思いますと何となく有難き感に打たれて、われ知らず涙がこぼれました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
眼の隅から、はじばされたように、六波羅わっぱは、手もちぶさたに、人混みの中へ、引っ込んでしまう。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一隅はじには、座蒲団ざぶとんを何枚も折りかさねた側に香立てをえた座禅ざぜん場があります。壁間かべには、鳥羽とば僧正そうじょう漫画まんがを仕立てた長い和装わそうの額が五枚ほどかけ連ねてあります。
楊岐乍住屋壁疎 楊岐ようぎはじめて住するや屋壁おくへきまばらにして
僧堂教育論 (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
わたくしは律詩の頷聯がんれんに「曾入甲山求大薬。元遊水府浴霊泉。」〔曾テ甲山ニ入リテ大薬ヲ求メ/はじメハ水府ニ遊ビテ霊泉ニ浴ス〕と言っているのと
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼はうなじの上に振上げられた白刃はくじんをまざまざと眼に見るような気がした。同じように感ずればこそ、理兵次もはじを含んで遁亡とんぼうしたものに相違ない。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
ひょっとしたら、屈辱はじの感情のために、真っ赤になってしまうかも知れない。
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
恐怖おそれと、恥羞はじに震う身は、人膚ひとはだあたたかさ、唇の燃ゆるさえ、清く涼しい月の前の母君の有様に、なつかしさが劣らずなって、振切りもせず、また猶予ためらう。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自らはじらぬ罪は謹んで負う。(大正十四年三月三十一日夜)
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
事実は決してそうでない。自分ばかりを愛していると思っていた君江の如きは、事もあろうに淫卑いんぴな安芸者と醜悪な老爺ろうやと、三人たがい嬉戯きぎしてはじる処を知らない。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
揚げた花火が頭の上ではじけた時、自分の身體で、大事な花火玉に火の移るのを防いだといふ話もあるくらゐだ。
この世に生きていないつもりなら、羞汚はじも顔向けもありはしない。大それたことだけれども、金はろう。盗ってそうして死のう死のう!
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
信長の覇示はじにたいしては、あれほど長年に、また執拗しつように、対抗を続けて来た毛利も、いまは質子ちしを送って、盟下めいかに属し、九州の大友義統よしむねも、こんどは祝書を寄せて、かんつうじて来たし
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)