はじ)” の例文
太古たいこ遺跡ゐせき發掘はつくつに、はじめてくだしたのは、武藏むさし權現臺ごんげんだいである。それは品川しながはたくからきはめてちかい、荏原郡えばらぐん大井おほゐ小字こあざこと
太吉は全く火の燃え付いたのを見て、又かたわらの竹を取り上げて小刀であなを明けはじめた。白いこまかな粉がばらばらと破れた膝の上に落ちる。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ラプンツェルは、まだ一も、おとこというものをたことがなかったので、いま王子おうじはいってたのをると、はじめは大変たいへんおどろきました。
なんとなく心配しんぱいさうなかほで、左樣々々さやう/\々々/\、と、打濕うちしめつてつてるかとおもふと、やれヴオツカをせの、麥酒ビールめろのとすゝめはじめる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
勘次かんじ畦間うねまつくりあげてそれから自分じぶんいそがしく大豆だいづおとはじめた。勘次かんじ間懶まだるつこいおつぎのもとをうねをひよつとのぞいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いやいや、はじめがあればおわりのあるものだ。まれたものはかならぬにまったものだ。これは人間にんげんさだまったみちでしかたがない。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
でもあとになって、それはある悲しい事情じじょうからはじめてわかった。いずれわたしの話の進んだとき、それを言うおりがあるであるう。
たゞさへ神仙しんせん遊樂ゆうらくきやうこと私共わたくしどもは、極端きよくたんなる苦境くきやうから、この極端きよくたんなる樂境らくきやう上陸じやうりくしたこととて、はじめはみづかゆめでないかとうたがはるゝばかり。
南滿洲みなみまんしゆうには、やはり石器時代頃せつきじだいころからすでに人間にんげんんでをりましたが、しゆうすゑからかんはじめに支那人しなじんさかんに植民しよくみんしてゐたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
産土うぶすなかみがあって、生死せいし疾病しっぺい諸種しょしゅ災難等さいなんとう守護しゅごあたってくれればこそ、地上ちじょう人間にんげんはじめてそのその生活せいかついとなめるのじゃ。
そこで日本独楽にほんごまのはじまりは、行成大納言ゆきなりだいなごん小松こまつつぶりに村濃むらごの糸をそえまして、御所ごしょでまわしたのがヤンヤとはやりだしましたはじめ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滝田くんはじめてぼくの家へ来たのはぼくの大学を出た年のあき、——ぼくはじめて「中央公論ちゅうおうこうろん」へ「手巾はんけち」という小説しょうせつを書いた時である。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
とにかくそのはじめは切じつな人間生くわつ慰樂いらくとしてあそびとしてつくり成された將棋せうきちがひないとおもふが、それを慰樂いらくあそびのいきを遙にえて
ところが、フト、友人に手紙を書かなければならない事を思い出したので、銃を机の上に置いたまま、手紙を書きはじめたのです。
火縄銃 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
はじめは俳畫はいぐわのやうだとおもつてたが、これじつでもなんでもない。細雨さいうれなんとする山間村落さんかんそんらく生活せいくわつもつとしづかなる部分ぶゝんである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
短歌たんかなどもそれで、日本につぽんはじめのうたから、非常ひじよう整頓せいとんおこなはれ/\して、かういふ簡單かんたんで、おもひのふかかたちが、出來できたのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
見張りはじめてより幾程いくほども無く余は目科の振舞にと怪しくかつ恐ろしげなる事あるを見てうせろくな人にはあらずと思いたり、其事はほかならず
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
本堂ほんだうはうではきやうこゑかねおともしてゐる。道子みちこ今年ことしもいつかぼんの十三にちになつたのだとはじめてがついたときである。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
著者ちよしやはじ此話このはなし南洋傳來なんようでんらいのものではあるまいか、とうたがつてみたこともあるが、近頃ちかごろ研究けんきゆう結果けつか、さうでないようにおもはれてたのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
はじ天皇てんのう、帝位におきになろうとしました時に御辭退遊ばされて「わたしは長い病氣があるから帝位にくことができない」
童子ははじめからおしまいまでにこにこわらっておられました。須利耶さまもお笑いになりみんなをゆるして童子をれて其処そこをはなれなさいました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
彼れ等は出来たたばこの葉を西印度で印度人に教へられたやうに、いてふかしはじめたが、それをお客にすゝめる場合の挨拶がいつのまにか
とうさんも、そんなおほきなかはるのははじめてでした。あをい、どろんとしたみづうづいて、おほきないはあひだながれてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あいちやんはみづかおもふやう、『何時いつはなへるんだかわたしにはわからないわ、はなはじめもしないでてさ』しかあいちやんは我慢がまんしてつてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
はツ、はじめましてお目通めどほりをつかまつります。へえ、今度このたびはまた格別かくべつ御註文ごちうもんおほせつけられまして、難有ありがた仕合しあはせにござります。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
日本にほん化物ばけもの後世こうせいになるほど面白おもしろくなつてるが、これはじ日本にほん地理的關係ちりてきくわんけい化物ばけもの想像さうざうする餘地よちがなかつたためである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
金太郎ははじめ、氣にもかけず聞きながしてゐたが、「助けてくれえ、助けてくれえ、とさけびながら下りていつたさうだ」
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
途方とはうにくれてよめ塩原しほばら内井戸うちゐど飛込とびこんで幽霊いうれいに出るといふのがつぶはじめで、あの大きなうちつぶれてしまつたが、なんとこれは面白おもしろ怪談くわいだんだらう
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
きのふけふ咲きぬると見し四九尾上をのへの花も散りはてて、涼しき風による浪に、五〇とはでもしるき夏のはじめになりぬ。
はじめてつく/″\とそれを見れば、ながい顏、まるい顏、眼のつツたのやくちの大きいのと、さまざまなうちにも、おしなべてみんながとしりましたこと。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ぺらぺら言いすぎる。ちっとは自分で考えるようにしろ。自分一個の意見をいえ。はじめは、一つきりでもかまわん
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
もつとも、わたしちゝはじちひさな士族しぞくとして、家屋かをくと、宅地たくちと、周圍しうゐすこしのやまと、金祿公債證書きんろくこうさいしようしよなんゑんかを所有しよいうしてゐたが、わたし家督かとく相續さうぞくしたころには
そのそでをおとりになると、かほかくしましたが、はじめにちらと御覽ごらんになつて、いたよりも美人びじんおぼされて
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
卑賤ひせんにそだちたる我身わがみなればはじめより此上このうへらで、世間せけん裏屋うらやかぎれるものとさだめ、我家わがやのほかに天地てんちのなしとおもはゞ、はかなきおもひにむねえじを
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ゆるし下されと幼年に似合にあはず思ひ入たる有樣ありさまに聞居る名主をはじ村中むらぢうの者は只管ひたすら感心かんしんするより外なく皆々口を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「いや、うわさはかねていておったが、たのはいまはじめて。まことにはや。面目次第めんぼくしだいもござりませぬて」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
もう下界したても、なにもかもわからないほどだ。はじめの元気げんきもどこへやら、ペンペはむねがドキドキする。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
しようもないことが、おしたとはぞんじてりましたが、しかし殿樣とのさまにあのときのことをすツかり愚老ぐらうくちからまをげますのは、今日けふはじめでござります。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そして、しばらくものをもはずにかんがんだやうにしてゐると、きふみぢかくなつたやうに、けはなしてあるえんはうからうすくらかげはじめるのであつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
南明館なんめいくわんあたりのくら横町よこちやうはじめてくち利合きゝあひ、それからちよく/\をとこ下宿げしゆくへも出入しゆつにふした事情じゞやう大体だいたいわかる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
一、七月九日一通り大原公の事、鯖江要駕ようがの事等を申立てたり。はじおもえらく、これらの事幕にもすでに諜知すべければ、明白に申立てたる方かえってよろしきなりと。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
社會的しやくわいてき觀察くわんさつすれば、よめにもらひのない女文士をんなぶんし救濟家きうさいか(この一失言しつげん取消とりけし。こんなこともあらうかと、はじめに、みな美人びじんだと、御世辭おせじをいつておいたのだが)
東京とうきようでは一月いちがつ中旬ちゆうじゆんつぼみひらはじめ、二月にがついたつて滿開まんかいし、三月さんがつ上旬じようじゆんまではなひらきつゞけてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ながく水流中に在りし冷気れいき露営ろえい寒気かんきあはせ来るにひ、此好温泉塲をはじめて蘇生そせいするのおもひあり、一行の内終夜温泉に浴してねむりし者多し、しんに山中の楽園らくえんと謂ふべし
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
そのはじめに、成效せいかう祕訣ひけつといふやうなものが箇條書かでうがきにしてあつたうちに、なんでも猛進まうしんしなくつては不可いけないとふ一ヶでうと、たゞ猛進まうしんしても不可いけない、立派りつぱ根底こんていうへつて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
馬鹿ばかなことをおっしゃるな。はじめての大切なお客さまを、わざわざこまらせるようなことを
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
ときふゆはじめで、しもすこつてゐる。椒江せうこう支流しりうで、始豐溪しほうけいかは左岸さがん迂囘うくわいしつつきたすゝんでく。はじくもつてゐたそらがやうやうれて、蒼白あをじろきし紅葉もみぢてらしてゐる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
英米えいべいはじ歐羅巴諸國ヨーロツパしよこく戰後せんご状態じやうたいると、戰爭中せんさうちう巨額きよがく借入金かりいれきんをしてる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
青海せいかいの簾高く捲き上げて、前に廣庭を眺むる大弘間、咲きも殘らず散りもはじめず、欄干おばしま近く雲かとまがふ滿朶の櫻、今を盛りに匂ふさまに、月さへかゝりて夢の如きまどかなる影、朧に照り渡りて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
林檎りんごいまいっぱいのはなざかり、かぐわしい接骨木にわどこはビロードのよう芝生しばふまわりをながれる小川おがわうえにそのながみどりえだれています。なにもかも、はるはじめのみずみずしいいろできれいなながめです。