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下界
「もうこんな
惨めな
下界には一
刻もいたくない。」といって、
妹はふたたびはとの
姿となって、
天上の
楽園に
帰ってしまったのです。
日の
色は以前より
薄かつた。
雲の
切れ
間から、落ちて
来る光線は、
下界の
湿り
気のために、半ば反射力を失つた様に柔らかに見えた。
『おい、ペンペ、
下界を
見ろ。すばらしい
景色じやないか。お
前なんぞこゝらまで
飛んで
来たこともあるまい。』
二人は抱き合ったまま流星のように早く、
下界の方へ落ちて行きました。