堺利彦（さかいとしひこ）
1871.01.15 〜 1933.01.23
著者としての作品一覧
赤旗事件の回顧（新字新仮名）
読書目安時間：約12分
回顧すれば、すでにほとんど二〇年の昔である。何かそれについて書けと言われる。今さらながら自分の老いを感ぜざるをえない。昔語りは気恥ずかしくもある。しかし、それも一興として、あるいは …
面白き二個の広告（新字新仮名）
読書目安時間：約3分
吾人はこのごろの新聞紙上において実に面白き二個の広告を見当たりたり。一は「白縮緬兵児帯」と題し、一は「徳用飯殖焚法」と題せり。 「白縮緬兵児帯」と題するものは、「桐生特産優美観光織 …
獄中生活（新字新仮名）
読書目安時間：約31分
寒川鼠骨君には「新囚人」の著がある。田岡嶺雲君には「下獄記」の著がある。文筆の人が監獄に入れば、必ずやおみやげとして一篇の文章を書く例である。予もまた何か書かずにいられぬ。 監獄は …
桜と狆と愛国心：コスモポリタンの心理（旧字旧仮名）
読書目安時間：約6分
一體コスモポリタンといふ言葉の正確な意義はどういふのだらう。私には先づ此の疑問が起つた。そこで『井上英和辭典』を引いて見ると、斯うある。 名詞＝四海を家とする人。一所不住の人。世界 …
ハガキ運動（旧字旧仮名）
読書目安時間：約15分
Ａ大隈侯が前の正月に受取つた年始の葉書は無慮十八萬五千九十九枚で、毎日々々郵便局から大八車で運びこんだと云ふが、隨分君エライもんぢやないか。 Ｂ大隈侯のエライのに異存はないが、郵便 …
貧を記す（新字新仮名）
読書目安時間：約4分
月曜付録に文を投ぜんの約あり。期に至りて文を得ず、しかれども約は果たさざるべからず。すなわちわが日記をくり返して材を求む。材なし。やむことをえずしてここにわが貧を記す。もとより日記 …
婦人の天職（新字新仮名）
読書目安時間：約10分
福田英子女史足下。婦人はよろしく婦人の天職を守るべしとは、多くの学者、文人、説教者、演説家等より我々の常に承るところなるが、そのいわゆる天職とははたしていかなるものなるか、それがハ …
私の父（新字新仮名）
読書目安時間：約12分
私の覚えている父は既に五十であった。髪の毛などは既にやや薄くなっていたように思う。「何さよ気分に変りは無いのじゃがなア」などと、若やいだようなことを言うていることもあったが、何しろ …
私の母（新字新仮名）
読書目安時間：約11分
私の母、名は琴、志津野氏、父より二つの年下で、父に取っては後添えであった。父の初めの妻は小石氏で、私の長兄平太郎を残して死んだ。そのあとに私の母が来て、私の次兄乙槌と私とを生んだ。 …
翻訳者としての作品一覧
共産党宣言（旧字旧仮名）
読書目安時間：約1時間12分
この日本譯は、最初、第三章を除いて、週刊『平民新聞』第五十三號（明治三十七年十一月十三日發行）に載せられたところ、忽ち秩序壞亂として起訴され、裁判の結果、關係者はそれぞれ罰金に處せ …