香倶土三鳥
1889.01.04 〜 1936.03.11
著者としての作品一覧
虻のおれい(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
チエ子さんは今年六つになる可愛いお嬢さんでした。 ある日裏のお庭で一人でおとなしく遊んでいますと、 「ブルブルブルブル」 と変な歌のような声がきこえました。 何だろうとそこいらを見 …
読書目安時間:約6分
チエ子さんは今年六つになる可愛いお嬢さんでした。 ある日裏のお庭で一人でおとなしく遊んでいますと、 「ブルブルブルブル」 と変な歌のような声がきこえました。 何だろうとそこいらを見 …
雨ふり坊主(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
お天気が続いて、どこの田圃も水が乾上がりました。 太郎のお父さんも百姓でしたが、自分の田の稲が枯れそうになりましたので、毎日毎日外に出て、空ばかり見て心配をしておりました。 太郎は …
読書目安時間:約4分
お天気が続いて、どこの田圃も水が乾上がりました。 太郎のお父さんも百姓でしたが、自分の田の稲が枯れそうになりましたので、毎日毎日外に出て、空ばかり見て心配をしておりました。 太郎は …
医者と病人(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
死にかかった病人の枕元でお医者が首をひねって、 「もう一時間も六カしいです」 と言いました。 「とてもこれを助ける薬はありません」 これを聴いた病人は言いました。 「いっその事、飲 …
読書目安時間:約1分
死にかかった病人の枕元でお医者が首をひねって、 「もう一時間も六カしいです」 と言いました。 「とてもこれを助ける薬はありません」 これを聴いた病人は言いました。 「いっその事、飲 …
梅のにおい(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
一匹の斑猫が人間の真似をして梅の木にのぼって花を嗅いでみました。あの枝からこの枝、花から蕾といくつもいくつも嗅いでみましたが、 「ナアーンダ、人間がいいにおいだ、いいにおいだと言う …
読書目安時間:約2分
一匹の斑猫が人間の真似をして梅の木にのぼって花を嗅いでみました。あの枝からこの枝、花から蕾といくつもいくつも嗅いでみましたが、 「ナアーンダ、人間がいいにおいだ、いいにおいだと言う …
鉛筆のシン(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
子供が鉛筆を削っているとあまり無茶に削るので何べんでもシンが折れました。 「このナイフがわるいのだ」 と子供は言ってナイフを磨いでコシコシ削りましたが、やっぱりポチポチと黒いシンが …
読書目安時間:約1分
子供が鉛筆を削っているとあまり無茶に削るので何べんでもシンが折れました。 「このナイフがわるいのだ」 と子供は言ってナイフを磨いでコシコシ削りましたが、やっぱりポチポチと黒いシンが …
お金とピストル(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
泥棒がケチンボの家へ入ってピストルを見せて、お金を出せと言いました。ケチンボは、 「ただお金を出すのはいやだ。その短銃を売ってくれるなら千円で買おう。お前は私からお金さえ貰えばそん …
読書目安時間:約1分
泥棒がケチンボの家へ入ってピストルを見せて、お金を出せと言いました。ケチンボは、 「ただお金を出すのはいやだ。その短銃を売ってくれるなら千円で買おう。お前は私からお金さえ貰えばそん …
がちゃがちゃ(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
草の中で虫が寄り合って相談を始めました。 蟋蟀が立ち上って、 「鈴虫さん、オケラさん、スイッチョさん。もっとこちらへお寄りなさい。だんだん涼しくなりますから、みんなで合奏会をやって …
読書目安時間:約2分
草の中で虫が寄り合って相談を始めました。 蟋蟀が立ち上って、 「鈴虫さん、オケラさん、スイッチョさん。もっとこちらへお寄りなさい。だんだん涼しくなりますから、みんなで合奏会をやって …
先生の眼玉に(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
子供が大ぜい遊んでいるところに雪がふって来ました。 「ヤアイヤアイ雪がふって来た 雪降れウント降れ 塩になれ砂糖になれ」 とみんながよろこびました。 「砂糖になったらどうするか」 …
読書目安時間:約2分
子供が大ぜい遊んでいるところに雪がふって来ました。 「ヤアイヤアイ雪がふって来た 雪降れウント降れ 塩になれ砂糖になれ」 とみんながよろこびました。 「砂糖になったらどうするか」 …
鷹とひらめ(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
ひらめが海を泳いでいますと、鷹が飛んで来て掴もうとしましたが、水が深いので掴めません。しかたなしに知恵を出してひらめにこう言いました。 「平目さん。もっとこちらの浅い処に来て御覧。 …
読書目安時間:約1分
ひらめが海を泳いでいますと、鷹が飛んで来て掴もうとしましたが、水が深いので掴めません。しかたなしに知恵を出してひらめにこう言いました。 「平目さん。もっとこちらの浅い処に来て御覧。 …
狸と与太郎(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
与太郎は毎日隣村へ遊びに行って、まだ日の暮れぬうちに森を通って帰って来ました。 「あの森は狸がいていろいろのものに化けるから、日の暮れぬうちに帰らぬと怖ろしいぞ」 とお母さんが言い …
読書目安時間:約1分
与太郎は毎日隣村へ遊びに行って、まだ日の暮れぬうちに森を通って帰って来ました。 「あの森は狸がいていろいろのものに化けるから、日の暮れぬうちに帰らぬと怖ろしいぞ」 とお母さんが言い …
ツクツク法師(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
むかしあるところに一人の欲ばりの坊さんがおりました。 毎日毎日方々へお経を読みに行って貰って来たお金を一つの大きな甕の中に溜めていましたが、だんだん一パイになってくるにつれて泥棒に …
読書目安時間:約6分
むかしあるところに一人の欲ばりの坊さんがおりました。 毎日毎日方々へお経を読みに行って貰って来たお金を一つの大きな甕の中に溜めていましたが、だんだん一パイになってくるにつれて泥棒に …
電信柱と黒雲(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
電信柱が寒い風にあたってピーピーと泣いておりました。 黒い雲が来て、 「何を泣いているのだえ」 「寒いからさ。お前のような雲が来るから寒いのだ。こちらへ来ないでくれ」 「おれが悪い …
読書目安時間:約1分
電信柱が寒い風にあたってピーピーと泣いておりました。 黒い雲が来て、 「何を泣いているのだえ」 「寒いからさ。お前のような雲が来るから寒いのだ。こちらへ来ないでくれ」 「おれが悪い …
人形と狼(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
お腹の空いた狼が野道を歩いて来ますと、遠くに一人の赤ん坊が寝ているのを見つけました。狼は大喜びで走って来てみると、それは誰かが落した大きな人形でした。 「ええ、この役立たず奴が」 …
読書目安時間:約1分
お腹の空いた狼が野道を歩いて来ますと、遠くに一人の赤ん坊が寝ているのを見つけました。狼は大喜びで走って来てみると、それは誰かが落した大きな人形でした。 「ええ、この役立たず奴が」 …
奇妙な遠眼鏡(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
ある所にアア、サア、リイという三人の兄弟がありました。 その中で三番目のリイは一番温柔しい児でしたが、ちいさい時に眼の病気をして、片っ方の眼がつぶっていましたので、二人の兄さんはメ …
読書目安時間:約14分
ある所にアア、サア、リイという三人の兄弟がありました。 その中で三番目のリイは一番温柔しい児でしたが、ちいさい時に眼の病気をして、片っ方の眼がつぶっていましたので、二人の兄さんはメ …
二つの鞄(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
小さな鞄と大きな鞄と二つ店に並んでおりました。大きな鞄はいつも小さな鞄を馬鹿にして、 「お前なんぞはおれの口の中に入ってしまう」 と冷かしました。 二つの鞄は同じ時に同じ人に買われ …
読書目安時間:約1分
小さな鞄と大きな鞄と二つ店に並んでおりました。大きな鞄はいつも小さな鞄を馬鹿にして、 「お前なんぞはおれの口の中に入ってしまう」 と冷かしました。 二つの鞄は同じ時に同じ人に買われ …
二人の男と荷車曳き(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
昔ある処に力の強い、何でも上手の男が二人おりました。二人共知らぬ者がない位名高かったのですから、どちらがえらいかわかりませんでした。 ある日二人は往来で出会うとお互いに自慢をはじめ …
読書目安時間:約3分
昔ある処に力の強い、何でも上手の男が二人おりました。二人共知らぬ者がない位名高かったのですから、どちらがえらいかわかりませんでした。 ある日二人は往来で出会うとお互いに自慢をはじめ …
森の神(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
森の神様が砂原を旅する人々のために木や竹を生やして、真青に茂りました。その真中に清い泉を湧かして渇いた人々に飲ましてやりました。すると大勢の人がやって来て木の下へ家を立て並べて森の …
読書目安時間:約1分
森の神様が砂原を旅する人々のために木や竹を生やして、真青に茂りました。その真中に清い泉を湧かして渇いた人々に飲ましてやりました。すると大勢の人がやって来て木の下へ家を立て並べて森の …
約束(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
「ある人が橋の下で友達に会う約束をして待っていた。そのうちに雨が降って水がだんだん深くなって、その人の胸まで来た。けれどもその人は約束を守って立っていた。そのうちに水はいよいよ深く …
読書目安時間:約1分
「ある人が橋の下で友達に会う約束をして待っていた。そのうちに雨が降って水がだんだん深くなって、その人の胸まで来た。けれどもその人は約束を守って立っていた。そのうちに水はいよいよ深く …
“香倶土三鳥”と年代が近い著者
きょうが誕生日(2月1日)
きょうが命日(2月1日)
今月で生誕X十年
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
平山千代子(生誕100年)
今年で没後X百年
大町桂月(没後100年)
富ノ沢麟太郎(没後100年)
細井和喜蔵(没後100年)
木下利玄(没後100年)
富永太郎(没後100年)
エリザベス、アンナ・ゴルドン(没後100年)
徳永保之助(没後100年)
後藤謙太郎(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)