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俳畫
初めは
俳畫のやうだと
思つて
見て
居たが、これ
實に
畫でも
何でもない。
細雨に
暮れなんとする
山間村落の
生活の
最も
靜かなる
部分である。
時計の
右が
壁で、
左が
袋戸棚になつてゐた。
其張交に
石摺だの、
俳畫だの、
扇の
骨を
拔いたものなどが
見えた。
雨がポツ/\
降つて
居る。
自分は
山の
手の
方をのみ
見て
居た。
初めは
何心なく
見るともなしに
見て
居る
内に、
次第に
今見て
居る
前面の
光景は一
幅の
俳畫となつて
現はれて
來た。