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甫
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はじ
ふりがな文庫
“
甫
(
はじ
)” の例文
吾齡
(
わがよはひ
)
は
甫
(
はじ
)
めて九つなるに、かしこにて説教せむこと、いとめでたき事なりとて、歡びあふは、母上、マリウチア、我の三人のみかは。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
私の生活がああいう態度によって導かれる瞬間が
偶
(
たま
)
にあったならば私は
甫
(
はじ
)
めて真の創造を成就することが出来るであろうものを。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
実隆の父は長禄四年に六十三歳をもって薨じたのであるが、そのとき実隆の年
甫
(
はじ
)
めて六歳。その後は専ら母親の手塩に育った。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
海保漁村の墓表に
文久
(
ぶんきゅう
)
二年十月十八日に、六十七歳で歿したとしてあるから、抽斎の生れた文化二年には
甫
(
はじ
)
めて十歳である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
今羅摩が牲にせんとせる馬、
脱
(
のが
)
れて私陀の二児の住所へ来たので、二児
甫
(
はじ
)
めて五歳ながら勇力絶倫故、その馬を
捉
(
とら
)
え
留
(
とど
)
めた。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
しかしながら、吾人が彼を尊崇する
所以
(
ゆえん
)
は、独り学識の上にのみ存するのではない。その毅然たる節義あって
甫
(
はじ
)
めて吾人の尊敬に値するのである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
皇慶
甫
(
はじ
)
めて叡山に登つた時、
水飲
(
ミヅノミ
)
・
不実柿
(
ミナラガキ
)
などの地で「実のなるのにみなら柿とは如何。湯を呑むのに水飲とは如何」
愛護若
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
右にいったような統一的自己があって、
而
(
しか
)
して後自然に目的あり、意義あり、
甫
(
はじ
)
めて生きた自然となるのである。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
余
甫
(
はじ
)
めて冠して、江戸に東遊し、途に阪府を経、
木世粛
(
もくせいしゆく
)
(即ち巽斎である。)を訪はんと欲す。偶々人あり、余を
拉
(
らつ
)
して、
将
(
まさ
)
に天王寺の
浮屠
(
ふと
)
に登らんとす。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お正月は年の
甫
(
はじ
)
めで何もかも芽出度くなければならない。人々が気を新たにしてこれからまた踏み出そうというところで軍でいえば出陣という場合である。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
僕年
甫
(
はじ
)
めて十八、家婢に
戯
(
たわむ
)
る。『
柳樽
(
やなぎだる
)
』に曰く「若旦那夜は拝んで昼叱り。」とけだし実景なり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
其頃は世間に神経衰弱といふ病名が
甫
(
はじ
)
めて知られ出した時分であつたのだが、真に所謂神経衰弱であつたか、或は真に漫性胃病であつたか、兎に角医博士達の診断も
朦朧
(
もうろう
)
で
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
殊に、かの「文化史大系」に到っては、彼の広汎なる科学的智識をもってして
甫
(
はじ
)
めて完成され得たものと云うべきである。おそらくは、今後大衆文芸の第一線に立つ人ではあるまいか。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
フランシスはやがて自分の
纏
(
まと
)
ったマントや手に持つ
笏
(
しゃく
)
に気がつくと、
甫
(
はじ
)
めて今まで
耽
(
ふけ
)
っていた歓楽の
想出
(
おもいで
)
の糸口が見つかったように苦笑いをした。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
頼襄
(
らいのぼる
)
序を作りて送る。十一月大阪に帰る。是年松本隣太夫、茨田軍次、白井儀次郎入門す。松本は
甫
(
はじ
)
めて七歳なりき。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
秦
(
しん
)
晋
(
しん
)
燕
(
えん
)
周
(
しゅう
)
等に王とし、
其
(
その
)
甚
(
はなはだ
)
しきは、生れて
甫
(
はじ
)
めて二歳、
或
(
あるい
)
は生れて
僅
(
わずか
)
に二ヶ月のものをすら藩王とし、
次
(
つ
)
いで洪武十一年、同二十四年の二回に、幼弱の諸子をも封じたるなれ
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
弘独リ走ツテ帰リ泣イテ
家慈
(
かじ
)
ニ訴フ。家慈
嗚咽
(
おえつ
)
シテ
対
(
こた
)
ヘズ。
甫
(
はじ
)
メテ十歳家慈ニ従ツテ吉田ニ至ル。
偕
(
とも
)
ニ
函嶺
(
はこね
)
ヲ
踰
(
こ
)
ユ。
方
(
まさ
)
ニ春寒シ。山雨
衣袂
(
いべい
)
ニ
滴
(
したた
)
ル。
躓
(
つまず
)
キカツ
仆
(
たお
)
ルコトシバ/\ナリ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私欲的なればなる程、他人の私欲を害することに少なからざる心中の苦悶を感ずるのである。かえって私欲なき人にして
甫
(
はじ
)
めて心を安んじて他人の私欲を破ることができるであろうと思う。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
そして明治維新、開港となり
甫
(
はじ
)
めて日本は数百年の怠惰
安佚
(
あんいつ
)
の眠りから覚めた。西洋の文物は続々として輸入され、封建的鎖国の殻を破った我が国は、忽ちにしてその風貌をあらため始めた。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
従来誰も解せなんだ蜻蜓の英国名の起原が東欧の俗譚を調べて
甫
(
はじ
)
めて
釈
(
わか
)
り、支那の俚伝がその傍証に立つ、これだから一国一地方の事ばかり究むるだけではその一国一地方の事を明らめ得ぬ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
節義の存するところ、水火を踏んで辞せず、節義の欠くるところ、王侯の威も屈する能わず、
猗頓
(
いとん
)
の富も誘うべからずして、
甫
(
はじ
)
めてもって士と称するに足るのである。学者は実に士中の士である。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
甫
(
はじ
)
めて東京に上つて、始めて三階の客となつたあちこちの大学予科生たちが、三年後には大学生となり、其から又、三年たつて学士号を持つ頃になると、おしもおされもせぬ一廉の芝居通人になつて
芝居に出た名残星月夜
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
妻は始めから今までぢつと我慢してこの声に
鞭
(
むちう
)
たれてゐたのかと
甫
(
はじ
)
めて気がついて見ると、彼には妻の仕打ちが
如何
(
いか
)
にも正当な仕打ちに考へなされた。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
その頃は世間に神経衰弱という病名が
甫
(
はじ
)
めて知られ出した時分であったのだが、真にいわゆる神経衰弱であったか、あるいは真に漫性胃病であったか、とにかく
医博士
(
いはかせ
)
たちの診断も
朦朧
(
もうろう
)
で
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
経済、政治、その他一切の社会現象、人間の知識の凡てを、文学者が自らのものとした時、
甫
(
はじ
)
めて十九世紀に全盛を見、以後次第に衰微した文学が再び勢よく発芽し、花咲き
出
(
い
)
でるであろう。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
美術家は能く自然を愛し、自然に一致し、自己を自然の中に没することに由りて
甫
(
はじ
)
めて自然の真を看破し得るのである。また一方より考えて見れば、我はわが友を知るが故にこれを愛するのである。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
三つの生活様式の中間色をなす、過渡期の生活が起滅する間に、新しい生活様式が
甫
(
はじ
)
めて成就されるであろう。歴史的に人類の生活を考察するとかくあることが至当なことである。
広津氏に答う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
方氏一族
是
(
かく
)
の如くにして
殆
(
ほとん
)
ど絶えしが、孝孺の幼子
徳宗
(
とくそう
)
、時に
甫
(
はじ
)
めて九歳、
寧海県
(
ねいかいけん
)
の
典史
(
てんし
)
魏公沢
(
ぎこうたく
)
の
護匿
(
ごとく
)
するところとなりて死せざるを得、
後
(
のち
)
孝孺の門人
兪公允
(
ゆこういん
)
の養うところとなり、
遂
(
つい
)
に
兪氏
(
ゆし
)
を
冒
(
おか
)
して
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
中流階級に訴える僕の仕事が労働階級によって利用される結果になるかもしれない。しかしそれは僕が
甫
(
はじ
)
めから期待していたものではないので、結果が偶然にそうなったのにすぎないのだ。
片信
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
クララは自分で知らなかった自分の秘密をその時フランシスによって
甫
(
はじ
)
めて知った。長い間の不思議な心の迷いをクララは
種々
(
いろいろ
)
に解きわずらっていたが、それがその時始めて解かれたのだ。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
然し男女の愛に於て、本能は
甫
(
はじ
)
めてその全体的な面目を現わして来る。愛する男女のみが真実なる生命を創造する。だから生殖の事は全然本能の全要求によってのみ遂げられなければならぬのだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
待って今後のことは
甫
(
はじ
)
めてなすべきものと信じ候小生ごときはすでに起たざるべからざるの
齢
(
よわい
)
に達しながら
碌々
(
ろくろく
)
として何事をもなしえざること
痛悔
(
つうかい
)
の至りに候ことに生来病弱
事志
(
ことこころざし
)
と違い候は天の無為を
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
甫
漢検準1級
部首:⽤
7画
“甫”を含む語句
田甫
小瀬甫庵
甫淳
発甫
正甫
杜甫
田甫道
箕作阮甫
田甫路
皇甫
甫庵太閤記
島村鼎甫
敬甫
阮甫
皇甫嵩
王甫
孔甫
龔雲甫
田代玄甫
甫菴
...