“拉”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
らっ60.9%
ひし18.0%
らつ8.7%
5.0%
2.5%
とりひし1.9%
さら0.6%
0.6%
とりひ0.6%
ひしや0.6%
0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
村々で平和な生い立ちを受けた工藝は、激しい競争の都市へとらっし去られた。顧客を得るためには、あらゆる手段が余儀なくされる。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そういう集団の両刃のおのは、社会主義的国家の生命なき抽象観念を打ちひしぐとともに、また、生産力なき個人主義、精力を細分する観念
其日の夕方、与次郎は三四郎をらつして、四丁目から電車に乗つて、新橋へ行つて、新橋から又引き返して、日本橋へ来て、そこでりて
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
母親は、庭へ童子をれて出た。童子の好んだ青い扇のような芭蕉は、もう破れた竜旗のようにはたはたと夕風に櫛目を立てていた。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
姫に手をかれたる我は、とらへられし小鳥に殊ならず。たとひ羽ばたきすとも、歌はでは叶はず。姫の歌はんといふは、わが知れる雙吟ヅエツトオなり。
という声濁りて、痘痕とうこんてる頬骨ほおぼね高き老顔の酒気を帯びたるに、一眼のいたるがいとものすごきものとなりて、とりひしぐばかり力をめて、お香の肩をつかみ動かし
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
千代 まあ、此子としたことが——そのやうな事いふものは、あの恐ろしい犬めがさらつてゆきますぞや。家ではばば様が待つておぢやらう程に、早う参らうわいな。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
ああ誰かわが産土神うぶすながみをかかる遠方へり去れるぞと嘆くを見かねて、一里半ばかりその女児を負い送り届けやりし人ありと聞く。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
断然手を切ッてしまッて、今度こそは思い切ッて非常な事をして、非常な豪胆を示して、本田をとりひしいで、そしてお勢にも……お勢にも後悔さして、そして……そして……そして……
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と言ひ言ひしたといふ程だから、鼻がどんなにひしやげてゐたか位は大抵察しられる。
彼女の想像どおり、使者は、口を極めて、夫人を邸の外へして行こうと努めた。