トップ
>
拉
>
ひし
ふりがな文庫
“
拉
(
ひし
)” の例文
そういう集団の両刃の
斧
(
おの
)
は、社会主義的国家の生命なき抽象観念を打ち
拉
(
ひし
)
ぐとともに、また、生産力なき個人主義、精力を細分する観念
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
夜が明けてここを引揚げてゆく時の田中の言葉がまたいいんだ。『もう三鷹へは来ません。』流石の孫悟空もよほど荒肝を
拉
(
ひし
)
がれたらしいね。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
それと同時に、レヴコーは幾人もの腕にとり
拉
(
ひし
)
がれるのを覚えたが、中には恐怖のためにぶるぶる顫へてゐるのもあつた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
忽然
(
こつねん
)
、その時どこからともなく
礫
(
つぶて
)
がバラバラと降って来て、武者之助はじめ手下の者どもは、肩を打たれ背を
拉
(
ひし
)
がれ、手足を砕かれる者さえあった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「完全な犯罪」の側杖を喰って、星田以上の恐怖に打ち
拉
(
ひし
)
がれていた彼は、
最早
(
もう
)
、自分の意志を無くした空っぽの人形として動いているだけであった。
殺人迷路:07 (連作探偵小説第七回)
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
『
愚老
(
ぐらう
)
も
殿樣
(
とのさま
)
が
守口
(
もりぐち
)
で、
與力衆
(
よりきしう
)
の
膽玉
(
きもだま
)
をお
取
(
と
)
り
拉
(
ひし
)
ぎになつたことを、
今
(
いま
)
もつて
小氣味
(
こきみ
)
よく
存
(
ぞん
)
じて
居
(
を
)
ります。』
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「ええ、その気で、念入りに一ツ、
掴
(
つかま
)
りましょうで。」と我が手を握って、
拉
(
ひし
)
ぐように、ぐいと
揉
(
も
)
んだ。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「コラコラ、今から居眠りをするようでは駄目じゃッ」と、髯将軍の
銅鑼
(
どら
)
声はまず車中の
荒肝
(
あらぎも
)
を
拉
(
ひし
)
ぐ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
『めんめんもそのごとく、
一人
(
いちにん
)
ずつの力は弱くとも、たがいにじゅっこんし、志を合わするにおいては、なにとした敵にも
左右
(
そう
)
無うとり
拉
(
ひし
)
がるることあるまじいぞ……』
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
或る場合それに
拉
(
ひし
)
がれることをも率直に認めつつ、しかも、それ等が私の不幸と固定したものとなって、生活感情にかたまりついていないというのは、面白いことだと思う。
フェア・プレイの悲喜
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
だが、土は暖かく、彼の腰の下には、花すみれが
拉
(
ひし
)
がれていた。城太郎は眼を細めて、こういう日月の下に生を
享
(
う
)
けている身のほどを、ひとりで楽しんでいるらしく見える。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
憐
(
あわ
)
れな彼女を愛しようとしても、皮肉な悪戯な悪魔がいて、愛することを妨げられているような、何ともいえない
辛
(
つら
)
い思いに胸を
拉
(
ひし
)
がれながら、やっと終い
際
(
ぎわ
)
の電車に乗って
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ピラミドンを飲んで二階の部屋に閉じ
籠
(
こも
)
ったきり、打ち
拉
(
ひし
)
がれたようになって、夫にも悦子にも顔を合わせないようにして暮したが、その明くる朝も、夫を送り出してしまうと
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
さうして、わたしの歯と歯のあひだに、噛みたばこが
拉
(
ひし
)
がれたと思ふ途端に、なぜであるか、昏々とはてしのない、ヴィテイゴの闇のさなかに、わたしは転落していつたのである。
希臘十字
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
まるで紙のように
圧
(
お
)
し
拉
(
ひし
)
がれた頼りない気持だ。特にこのさあさあと静かな、肌寒い雨の音はいけない。希望も何もない。病んでいる弟からの手紙に返事を出す金もない。寝よう。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
郭外と
角面堡
(
かくめんほう
)
とは互いに力を合わしていた。郭外は角面堡の肩にすがり、角面堡は郭外に身をささえていた。広い防寨は、アフリカの諸将軍の戦略をも
拉
(
ひし
)
ぐ
断崖
(
だんがい
)
のごとく横たわっていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
爾して其の顎をば
拉
(
ひし
)
げるほどにしめ附けた、之は声を立てさせぬ用心である。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
今の計を為さんには、和親して以て二虜を制し、間に乗じて国を富まし兵を強くし、
蝦夷
(
えぞ
)
を
墾
(
ひら
)
き満洲を奪い、朝鮮を来たし南地を
並
(
あわ
)
せ、然るのち米を
拉
(
ひし
)
ぎ欧を
折
(
くじ
)
かば、則ち事
克
(
か
)
たざるは無し。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
立ち出づれば、吹き荒れる風の冷たさよ鋭さよ打ち
拉
(
ひし
)
がるる悦びよ! 何といふ溢れて尽きぬ快適の込み上げてくることであつたか! 湧くものの如く壮快のひたすら胸に顫へるを彼は感じた。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
烈しい悲しみに打ち
拉
(
ひし
)
がれ、時には気が狂ってしまったのではあるまいかと思いながら、闇のなかに絶えず我が子の名を呼びつづけ、夜あるきをする
獣
(
けだもの
)
を怯えさせながら夜が明けるまで馳け𢌞った。
親ごころ
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
打ち
拉
(
ひし
)
がれて戦いより出る。おのれの敗北を賛美し、おのれの範囲を了解し、
主
(
しゅ
)
より指定された領分において、主の意志を果たさんと努力する。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
打ち
拉
(
ひし
)
がれた平八は、両国橋の方へ辿って行った。
雪催
(
ゆきもよ
)
いの寒い風が、ピューッと河から吹き上がった。「おお寒い」と呟いたとたん、彼の理性が回復された。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
踏んでも踏んでも
拉
(
ひし
)
げない御小人の藤吉郎頃から、近年にいたっては、重臣の自分らと肩をならべ出して来た彼の器量にたいし、
白眼
(
はくがん
)
、常にゆるがせには
視
(
み
)
ていなかったのだ。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
某
(
それがし
)
も参って
拉
(
ひし
)
がれた。あれで一眼でも有ろうなら、三重県に居る
代物
(
しろもの
)
ではない。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
草を
拉
(
ひし
)
いで積み重ねた材木に腰かけ、職人達に
蕎麥
(
そば
)
を振舞い、自分も食べた。
牡丹
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
うち
拉
(
ひし
)
がれ、こころくじけて、傷ついた獣のような足どりで彼は書斎からひきあげていった。しかし寝室の扉を明けた瞬間、彼はほとんど叫びごえをあげそうになって扉口に立ちどまった。
四年間
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼は敵をでも取り
拉
(
ひし
)
ごうとするかのように、自分の喉首をとらえ、
拳固
(
げんこ
)
で自分の胸を打ちたたいた。そして争闘のまん中にいる自分を見出した。大勢の人が怒号していた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
自然の厳粛に打ち
拉
(
ひし
)
がれて私は茫然と立ち尽くした。いったいどうしたらいいのだろう? これから俺はどうしよう? こう思って来て自分ながら恐ろしい運命に戦慄した。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ひとたび、その機鋒を
拉
(
ひし
)
がんか、もともと、荊州の軍民は、心ならずも彼の暴威に伏している者ばかりですから、たちまち内争紛乱を
醸
(
かも
)
し、北方へ崩れ立つこと、眼に見えるようなものです。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
横顔を
一拳
(
ひとこぶし
)
、
拉
(
ひし
)
げよと
撲
(
は
)
りつけて、威丈高になって
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「口の減らないこの小伜を、やあやあ野郎ども取り
拉
(
ひし
)
げ取り拉げ!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
打ち
拉
(
ひし
)
がれた犬のように、彼の躰は
顫
(
ふる
)
えていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
拉
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“拉”を含む語句
拉致
虎列拉
拉甸
加拉太
虎刺拉
拉典
拉丁
拉薩
海拉爾
取拉
一拉
摩尼拉
日拉達
蘇格拉第
柏拉図
烏拉兒
馬尼拉
阿拉米多
阿百拉
阿拉勿関
...