とりひし)” の例文
という声濁りて、痘痕とうこんてる頬骨ほおぼね高き老顔の酒気を帯びたるに、一眼のいたるがいとものすごきものとなりて、とりひしぐばかり力をめて、お香の肩をつかみ動かし
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
安の曰く、殿下を刺すこと、くちきとりひしぐが如くならんのみと。王太息して曰く、高皇帝、く壮士を養いたまえりと。勇卒を選みて、安を北平に送り、世子をしてく之をせしむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
或は良心をきずつけて自重の気をとりひしいで課長の鼻息をうかがい得るかも知れぬが、如何いかに窮したればと云ッて苦しいと云ッて、昇に、面と向ッて大柄おおへいに「痩我慢なら大抵にしろ」ト云ッた昇に
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)