)” の例文
姫に手をかれたる我は、とらへられし小鳥に殊ならず。たとひ羽ばたきすとも、歌はでは叶はず。姫の歌はんといふは、わが知れる雙吟ヅエツトオなり。
この三の段をわが導者は我をきてよろこびて登らしめ、汝うやうやしく彼にとざしをあけんことを請へといふ 一〇六—一〇八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
或日こういう場合に、安がめようとすると、宗右衛門はこれをも髪をつかんでき倒して乱打し、「出てけ」と叫んだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
次第に集りたる衆人の中より、忽ち邏卒々々らそつ/\と呼ぶ聲を聞けり。われは目に見えぬ幾條の腕もてき去らるゝ心地して、此場をのがれたり。
美しき淑女我をきてすゝみ、またスターツィオにむかひてしとやかに、彼と倶によといふ 一三三—一三五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
香以は豊花にいて往かれて座敷に坐った。鶴彦は急使を以て迎えられた。巽育たつみそだちの豊花が甲走った声にいざなわれて、無遠慮な男女は廊下に集まり、次の間の障子は所々らした指尖で穿たれた。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
まことに濟まぬ事ながら、われ若し強ひて踊り出でば、おのれ一人つまづき轉ぶのみならず、敵手の貴婦人をさへき倒すならん。