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撥
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はじ
ふりがな文庫
“
撥
(
はじ
)” の例文
或は
撥
(
はじ
)
き合うのかと、その両方から味ってそこにある関係への判断をも自分の心の世界の中のものとしてゆく、それを云うのだと思う。
女の歴史:そこにある判断と責任の姿
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
姫は直に不死不滅といふ題を命ぜり。材には豐なる題なりき。しばしうち案じて、絃を
撥
(
はじ
)
くこと二たび三たび、やがて歌は我肺腑より流れ出でたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
すると雪子はばねに
撥
(
はじ
)
かれたように起ちあがって、ずかずか私の耳のところまでやってきて
低声
(
こごえ
)
で私にこう言った。
秘密
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
私が向き直ると、ヤコフ・イリイッチは一寸苦がい顔をして、汗ばんだだぶだぶな印度藍のズボンを摘まんで、膝頭を
撥
(
はじ
)
きながら、突然こう云い出した。
かんかん虫
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼女は
撥
(
はじ
)
かれたやうに立ち上つた、そして遠野の方を向きながら少し
慄
(
ふる
)
へを帯びた声で
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
▼ もっと見る
硝子
(
ガラス
)
は湯気で曇っているが、
飛白
(
かすり
)
目にその曇りを
撥
(
はじ
)
いては消え、また撥く微点を認めた。
霙
(
みぞれ
)
が降っているのだ。娘も私の素振りに気がついて、私と同じように
天井硝子
(
てんじょうガラス
)
を見上げた。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その梁の
横
(
よこた
)
わった向うには、
黒煙
(
くろけむり
)
が濛々と巻き上って、
朱
(
しゅ
)
を
撥
(
はじ
)
いた火の粉さえ乱れ飛んでいるではございませんか。これが私の妻でなくて誰でしょう。妻の最期でなくて何でしょう。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、
終
(
つひ
)
にあたりの葉の深い松の木を探してその蔭に引込まねばならなかつた。急に雨の粒が大きく荒くなつて來たのである。然し、一度落ち着いた心持を
撥
(
はじ
)
き立てるほどの降りかたでもなかつた。
樹木とその葉:25 或る日の昼餐
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
門扉の外でタイアが砂利を
撥
(
はじ
)
きとばす音がすると、守衛が特別な鍵で門をあけ、そこから自動車が一台内庭へ入って来た。
乳房
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
されど窟墓の一語は忽ち少時の怖ろしき經歴を想ひ起す
媒
(
なかだち
)
となりぬ。フエデリゴとの
漫歩
(
そゞろありき
)
より地下に路を失ひたる時の心の周章など、悉く目前に浮びぬ。われは直ちに絃を
撥
(
はじ
)
きて歌ひ出でぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その娘さんには主人と雇人との利害の
撥
(
はじ
)
き合う面だけが感じられて、しかも、自分にとって不利を与えられたことの怒りだけに立って、その気持に自分をまかせ切っているのであった。
女の自分
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
今かく物語する時間の半をだに費さずして、景は情を生じ、情は景を生ずるほどに、我は絃を
撥
(
はじ
)
きたり。情景は言の葉となり、言の葉は波起り波伏す詩句となりぬ。且我が歌ひしところを聽け。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
現実の問題として、ここでもバックの眼が
碧
(
あお
)
く皮膚が白いことは、皮膚の黄色い民衆から彼女を
撥
(
はじ
)
き出していないのである。バックと同じ眼の色、皮膚の色をもったアグネスがそうである通りに。
中国に於ける二人のアメリカ婦人:アグネス・スメドレーとパァル・バック
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
イギリス人とフランス人、特にドウデエなどがまざまざと特徴づけている南フランスの血が、ファブルの気象の中で境遇的にもダアウィンと
撥
(
はじ
)
き合ったことは人間生活の画面として無限に興味がある。
作家のみた科学者の文学的活動
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
“撥”の解説
撥(ばち)とは、弦楽器の弦をはじく(引っ掛けて離す、または打つ)ために用いる棒状の道具である。
桴・枹(ばち、Percussion mallet)は、楽器という点では共通だが、打楽器を叩く棒である。枹と桴は音(フ)も意味も同じ漢字だが、撥は音(バチ)も意味も異なる別の漢字であり、区別される。
(出典:Wikipedia)
撥
漢検1級
部首:⼿
15画
“撥”を含む語句
撥条
撥返
反撥力
撥飛
撥條
撥退
撥橋
弾撥
反撥
撥音
撥無
反撥心
撥釣瓶
挑撥
反撥的
撥付
一撥
撥屋
撥袋
撥鬢奴
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