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辱
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はじ
ふりがな文庫
“
辱
(
はじ
)” の例文
「無用な問いはもう止め給え。願わくは、速やかに軍法にてらして、陳宮に
誅刀
(
ちゅうとう
)
を加えられよ。——これ以上、生くるは
辱
(
はじ
)
のみだ」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ふふふふ。みっともねえ。こんなことであろうと
思
(
おも
)
って、
後
(
あと
)
をつけて
来
(
き
)
たんだが、お
上
(
かみ
)
さん、こいつァ
太夫
(
たゆう
)
さんの
辱
(
はじ
)
ンなるぜ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
今の世間の実際に女子の不身持にして
辱
(
はじ
)
を
晒
(
さら
)
す者なきに非ず、毎度聞く所なれども、斯く成果てたる其原因は、父母たる者、又夫たる者が
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「
五丁町
(
ごちょうまち
)
の
辱
(
はじ
)
なり、
吉原
(
よしわら
)
の名折れなり」という動機の
下
(
もと
)
に、吉原の遊女は「野暮な
大尽
(
だいじん
)
などは幾度もはねつけ」たのである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
忠「昨年の暮浪人者の娘を掛合に
往
(
い
)
った処が、御門弟を
辱
(
はじ
)
しめて帰したことがございましたが、
彼
(
あ
)
の儘でございますか」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
そこでイザナギの命が驚いて逃げてお還りになる時にイザナミの命は「わたしに
辱
(
はじ
)
をお見せになつた」と言つて
黄泉
(
よみ
)
の國の魔女を
遣
(
や
)
つて
追
(
お
)
わせました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
それほどの
辱
(
はじ
)
を人に加えることは、あの外記でなくては出来まい。外記としてはさもあるべきことである。しかし殿様がなぜそれをお聴きいれになったか。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それまでは、一ツの秘密を持てる身の、よしや天地に耻なきも、世に
辱
(
はじ
)
あらむそれよりは、身の秘密をば、社会の裡面に葬りて、悠々の天命をしも楽しむべきを。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
君はみずから悔い改めて早々に立ち去るべきである。小勇を
恃
(
たの
)
んで大敗の
辱
(
はじ
)
を
蒙
(
こうむ
)
るなかれ。——
中国怪奇小説集:06 宣室志(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
また一種の大
才略
(
さいりゃく
)
ある人
辱
(
はじ
)
を
忍
(
しの
)
びて事を為す、妙(明徐楷が楊継成を助けざるが如し)。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そう云う場合には、お島はいつも荒れ馬のように暴れて、
小
(
こ
)
ッぴどく男の手顔を引かくか、さもなければ人前でそれを
素破
(
すっぱ
)
ぬいて
辱
(
はじ
)
をかかせるかして、自ら
悦
(
よろこ
)
ばなければ止まなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
内ニ信仰ノ火燃ユルガ如ク、外ニ国民性ノ堅実
不撓
(
ふたう
)
ナルニアラザレバ、イカデカコノ悲惨ニ堪ヘ得ンヤ。絶望シ、悲観シ、空シク絶滅スルカ、然ラズンバ
辱
(
はじ
)
ヲ忍ンデ逃ゲテ故国ノ空ニ帰ランカ。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
当時この国の
辱
(
はじ
)
とする治外法権を撤廃して東洋に独立する近代国家の形態をそなえたいにも、諸外国公使はわが法律と法廷組織の不備を疑い、容易に条約改正の希望に同意しないと聞くころである。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あわれや
兵
(
つわもの
)
、おたがいが武士である。勝つも負くるも時の運、敗れて
辱
(
はじ
)
ということはない。……だが、不愍なのはおまえたちの立場である。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おめえも十八だというじゃァねえか。もうてえげえ、そのくれえの
芸当
(
げいとう
)
は、
出来
(
でき
)
ても
辱
(
はじ
)
にゃァなるめえぜ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
女は一度嫁して其家を出されては仮令
二度
(
ふたたび
)
富貴なる夫に嫁すとも、女の道に
違
(
たがい
)
て大なる
辱
(
はじ
)
なり。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それで
宜
(
い
)
いじゃアないか、斯様な人ざかしい処で兎や斯う云えば貴公の恥お嬢様の
辱
(
はじ
)
になるから、甚だ見苦しいが拙宅へお招ぎ申して、一口差上げ、にっこり笑ってお別れにしたら
宜
(
よ
)
かろう
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「姜維姜維。なぜこころよく降参してしまわぬか。死は
易
(
やす
)
し、生は
難
(
かた
)
し、ここまで誠を尽せば、汝の武門には
辱
(
はじ
)
はあるまい」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
何
(
なに
)
より
小
(
こ
)
より
御存
(
ごぞん
)
じよりか。なまじ
辱
(
はじ
)
を
知
(
し
)
ってるばかりに、おいらァ
出世
(
しゅっせ
)
が
出来
(
でき
)
ねえんだよ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
今時
(
いまどき
)
の民家は此様の法をしらずして
行規
(
ぎょうぎ
)
を
乱
(
みだり
)
にして名を
穢
(
けが
)
し、親兄弟に
辱
(
はじ
)
をあたへ一生身を
空
(
いたずら
)
にする者有り。
口惜
(
くちおし
)
き事にあらずや。女は父母の
命
(
おおせ
)
と
媒妁
(
なかだち
)
とに非ざれば交らずと、小学にもみえたり。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ふさいでいる。
所詮
(
しょせん
)
、捕われて曳かれるものなら、生き
辱
(
はじ
)
をかかないうちに、いさぎよく自害して果てたがましと思うからだ
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「安心しねえ。お前のような弱虫の名前を出しちゃ、こっちの
辱
(
はじ
)
ンならア」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
すると楊阜はかえってその意気を歓び、自分の降伏は、一時の
辱
(
はじ
)
をしのんで、主君の
仇
(
あだ
)
を打たんがためであると説明し
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
遺言
(
ゆいごん
)
は告げているのだ。わが
辱
(
はじ
)
を
雪
(
すす
)
げ。わが家の家名を上げよ。また、足利家の名をもって北条の幕府に代れ、と。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
典膳は落ちている自分の刀を拾うと、生きている
辱
(
はじ
)
に耐えられないように、惨たる
面
(
おもて
)
を両手で
蔽
(
おお
)
って、
脱兎
(
だっと
)
のごとくこの家の門から外へ駈け去った。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朕においてすら、身は殿上にあるも、針の
氈
(
むしろ
)
に坐しているここちがする。——ああ、いつの日、この
虐
(
しいた
)
げと
辱
(
はじ
)
とからのがれることができるであろう。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど、一族以外の将士に、降人扱いの
辱
(
はじ
)
を加えらるるにおいては、彼等とても生きてかいなく思いましょうし、われらの切腹も意義をなしません。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「有難うぞんじます。——が、私が哭いたのは、自分の
辱
(
はじ
)
をめそめそしたわけではありません。あなたの息子たる者のために、憤慨にたえないのです」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やい、諸洞の部下ども、あれにいるのが孔明だ、この人間の計におうて、俺は三度まで
辱
(
はじ
)
をかさねた。
彼奴
(
きゃつ
)
に出会ったのは幸い、俺と共にみんなも力を
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、たとい今日、かかる
辱
(
はじ
)
をうけても、心根の正しくない汝についているよりはましだった。
奸雄
(
かんゆう
)
曹操ごとき者を見捨てたのは、自身、以て先見の明を
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
表面の
萎縮
(
いしゅく
)
とはべつに、内心は、よけいに
業腹
(
ごうばら
)
が
煮
(
に
)
えた。こいつらは、おれをおれと知って、あしらっていやがったなと、
辱
(
はじ
)
を、新たにしたからである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(心から生れ変ってやり直す気なら、なにも他郷をさまよう必要はあるまい。
嗤
(
わら
)
わば嗤えと、一時、
辱
(
はじ
)
など忍んで、自分の郷土で働くのが
真
(
まこと
)
ではないか)
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おう、よもや縄目の
辱
(
はじ
)
は与えもしまいし、また、受けもせぬが、申さば“放ち
囚人
(
めしゅうど
)
”というかたちでの、明朝、六波羅武士の迎えにまかせ、
東国
(
あずま
)
へ下る」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今にして
密
(
ひそ
)
かに
臍
(
ほぞ
)
も
噛
(
か
)
まれたであろうが、再び返る所はない。
辱
(
はじ
)
の上の辱もしのび、腹立ちも
怺
(
こら
)
えて、ただただ、
傲岸
(
ごうがん
)
でわがままな相手の前に
額
(
ひたい
)
をすりつけ
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この直家も、父たる情を超えて、より大きな意義に味方し、秀吉と手を結ぶも、決して武門の
辱
(
はじ
)
ではあるまい
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「案ずるな、入道。玄蕃が麾下の
精鋭
(
せいえい
)
は、進まば
破竹
(
はちく
)
、守れば鉄壁。未だかつて、
辱
(
はじ
)
を取った
例
(
ため
)
しはない」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(つれなく囚人扱いにすな。縄目はぜひなしとするも、あれぞ越前の捕虜と、道々、人目の
辱
(
はじ
)
に
曝
(
さら
)
すまいぞ。縄もゆるやかにし、乗り物にのせて、槙島におけよ)
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「敢えて、
辱
(
はじ
)
をしのび守将の任にそむき、一旦、城を敵手に
委
(
まか
)
してござる。いかようとも御処罰を
俟
(
ま
)
つ」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうかこらえて下さい。その代りに、他日、この功を第一の徳とし、諸人にむかって、必ずこれに百倍する
叙勲
(
じょくん
)
を以て貴下の
辱
(
はじ
)
を
雪
(
そそ
)
ぐであろうと約されておられる
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかなる
辱
(
はじ
)
をしのんでも
艱苦
(
かんく
)
しても、生きて還って来ることが、使命の
完
(
まっと
)
うになる役儀だからである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見事、からかわれている父の
辱
(
はじ
)
をそそいだのである。現今中国人のあいだでよくいわれる「
面子
(
メンツ
)
」なることばの語源がこの故事からきているものか否かは知らない。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この
辱
(
はじ
)
を
雪
(
すす
)
がずんば」と、備えを立て直し、兵は多く損じても、戦意はいやが上にも
熾烈
(
しれつ
)
だった。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よしっ。この報復には、きっと彼に後悔をさせてみせるぞ。自分も、国を出るとき、諸人の前で大言を放って来たてまえ、空しくこんな
辱
(
はじ
)
を土産にしては帰れない」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
明智家が報じた数々の功を
称
(
たた
)
え、一転して、信州
上
(
かみ
)
ノ
諏訪
(
すわ
)
で
折檻
(
せっかん
)
をうけたこと、以後たびたび不興にふれ、
高家
(
こうけ
)
大名たちの前では、忍び
得
(
う
)
べからざる
辱
(
はじ
)
を
蒙
(
こうむ
)
って来たこと。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生きれば生きるほどお身の
辱
(
はじ
)
です。毛利家の名を汚しまする。さ。お急ぎ遊ばしますように
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かくて越が積年の“
会稽
(
かいけい
)
ノ
辱
(
はじ
)
”をすすぎえたのは、ひとえに
勾践
(
こうせん
)
の
下
(
もと
)
に、ただひとりの
范蠡
(
はんれい
)
があったによる——と、漢土の史書は日本にまで彼の名とその忠節とをつたえていた。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
辱
(
はじ
)
や体面を考えると、限りなく不愉快になった。北陸の軍馬をすぐってここまで臨みながら、
拱手
(
きょうしゅ
)
して、秀吉の大活躍を眺めているごときは、真に、彼の耐えうることではない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二階堂。なにもさように、事むずかしゅう考えずとよかろうが。……せっかく下向した勅使も、開けぬ文筥では、持ち帰るにも、
間
(
ま
)
が抜けようぞ、かたがた、それこそ
辱
(
はじ
)
の
上塗
(
うわぬ
)
りを
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武人として、行賞にもれることは、事そのものよりは、功のない身をみずから
辱
(
はじ
)
ることのほうに、むしろ痛切な
寂寥
(
せきりょう
)
がある。そのさびしさを、光秀はどこにもあらわしていないのだ。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甚内の武士は立った。見苦しからぬ仕方よ、さきの落度は取り返し、
辱
(
はじ
)
に
勝
(
まさ
)
る功を
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
辱
常用漢字
中学
部首:⾠
10画
“辱”を含む語句
恥辱
侮辱
凌辱
屈辱
耻辱
醜辱
忍辱
汚辱
辱知
侮辱的
穢辱
屈辱的
御恥辱
栄辱
雪辱
国辱
寵辱
慈悲忍辱
柔和忍辱
國辱
...