“忍辱”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
にんにく85.7%
にんじょく14.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
入道ならぬ元の瀧口は平家の武士。忍辱にんにくの衣も主家興亡の夢におそはれては、今にも掃魔さうま堅甲けんかふとなりかねまじき風情ふぜいなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
それの野望へ賭けた人知れない忍辱にんにくの生活裏では、長いあいだ、彼に一日の退屈も心の弛緩しかんもゆるさなかった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慈悲と忍辱にんにくの道場であって、業風と悪雨の交錯地でもある、有漏路うろじより無漏路に通ずる休み場所である。
「峠」という字 (新字新仮名) / 中里介山(著)
以上、いろいろの事業職業の外に、科学的の研究や、仏道の修業、すなわち人格の完成には、現にこの塹壕戦の方法を採っています。研究所や僧院は明らかに忍辱にんにくの塹壕です。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
柔和なあの観音さまのお姿、忍辱にんにくの衣を身にまとえるあの地蔵さまのお姿を拝むにつけても、それがほんとうの自分おのれすがたであることに気づかねばなりません。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
もちろん苦難忍辱にんじょくのこの途である。一通りや二通りの覚悟ではつとめ切れない。日記を書くのも反省以て新しい勇気を起こさんためである。
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
忍辱にんじょく波羅密はらみつ、禅波羅密、般若はんにゃ波羅密の自然の動きは、せまり来る魔燄まえんをも毒箭をも容易に遮断し消融せしめた。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
じっさい、どういう紆曲うきょくを経て、このような調和のとれた忍辱にんじょくの世界に到達したのであろう。
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
と、胸にひとり忍辱にんじょくのなみだをのんで、何事にも、唯々諾々いいだくだくと伏していた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おまえたちがいうまでもない。ちんが、彼ら二賊のために、苦しめられていることは、実に久しいものだ。日々、朕は、我慢と忍辱にんじょくの日を送っている。……もし、あの二賊を討つことができるものなら、天下の人民と共に朕の胸中もどんなに晴々するかと思う。けれど悲しいかな、そんな策はあり得まい」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)