忍辱にんじょく)” の例文
もちろん苦難忍辱にんじょくのこの途である。一通りや二通りの覚悟ではつとめ切れない。日記を書くのも反省以て新しい勇気を起こさんためである。
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
忍辱にんじょく波羅密はらみつ、禅波羅密、般若はんにゃ波羅密の自然の動きは、せまり来る魔燄まえんをも毒箭をも容易に遮断し消融せしめた。寂照はただ穏やかに合掌した。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ちんが、彼ら二賊のために、苦しめられていることは、実に久しいものだ。日々、朕は、我慢と忍辱にんじょくの日を送っている。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じっさい、どういう紆曲うきょくを経て、このような調和のとれた忍辱にんじょくの世界に到達したのであろう。
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
と、胸にひとり忍辱にんじょくのなみだをのんで、何事にも、唯々諾々いいだくだくと伏していた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)