トップ
>
忍辱
>
にんにく
ふりがな文庫
“
忍辱
(
にんにく
)” の例文
人によく似た高等動物を殺すに忍びぬという
慈悲
(
じひ
)
忍辱
(
にんにく
)
の心から来たので、その前にはこの類のものでも、遠慮なく殺して喰っておりました。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
如
(
し
)
かず
忍辱
(
にんにく
)
の袈裟を脱ぎ、無上菩提の数珠を捨て、腰に降魔の剣を佩き、手に大悲の弓矢を握ろうと! ……
還俗
(
げんぞく
)
して戦場に立ちたいのじゃ!
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この岸から
彼
(
か
)
の岸へ渡るのに、六つの行があるというのが、この六波羅蜜、すなわち六度です。布施と持戒と
忍辱
(
にんにく
)
と
精進
(
しょうじん
)
と
禅定
(
ぜんじょう
)
と
智慧
(
ちえ
)
がそれです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
それにしてもこの男はなんという穏やかな眼差をしているのでしょう。小児の眼のように無心で、修道僧のそれのような限りない
忍辱
(
にんにく
)
の影を宿しています。
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
もはやそこには己を屈せしむべき何ものもなければ、
忍辱
(
にんにく
)
すべき何ものすらもない。卑屈も
要
(
い
)
らなければ、己を曲げてまで人に頭を下ぐべき何ものもない。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
慈悲と
忍辱
(
にんにく
)
の道場であって、業風と悪雨の交錯地でもある、
有漏路
(
うろじ
)
より無漏路に通ずる休み場所である。
「峠」という字
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
地蔵様は
忍辱
(
にんにく
)
の
笑貌
(
えがお
)
を少しも崩さず、堅固に合掌してござる。地蔵様を持て来た時植木屋が石の香炉を持て来て前に据えてくれた。朝々それに清水を湛えて置く。
地蔵尊
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
どうかしてこの日かげの薔薇の木、
忍辱
(
にんにく
)
の薔薇の木の上に日光の恩恵を浴びせてやりたい。花もつけさせたい。かう云ふのが彼のその瞬間に起つた願ひであつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
地蔵様は
忍辱
(
にんにく
)
の
笑貌
(
えがお
)
を少しも崩さず、堅固に合掌してござる。地蔵様を持て来た時植木屋が石の香炉を持て来て前に据えてくれた。朝々其れに清水を湛えて置く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
日月行道図解
(
にちがつぎょうどうずげ
)
日本往生極楽記 日本人物史 日本霊異記
烹雑
(
にまぜ
)
の記 庭の落葉
忍辱
(
にんにく
)
雑記 人天宝鑑
妖怪学講義:02 緒言
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
所謂柔和
忍辱
(
にんにく
)
の意にして人間の美徳なる可しと雖も、我輩の所見を以てすれば夫婦家に居て其身分に
偏軽偏重
(
へんけいへんちょう
)
を許さず、婦人に向て命ずる所は男子に向ても命ず可し。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それの野望へ賭けた人知れない
忍辱
(
にんにく
)
の生活裏では、長いあいだ、彼に一日の退屈も心の
弛緩
(
しかん
)
もゆるさなかった。まったく一面の或る人生すらも忘れさせていたのである。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
且
蹇
(
あしなへ
)
である。これに応ずるに
忍辱
(
にんにく
)
を以てし、レジニアシヨンを以てするより外無い。偶成に云く。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
君のいう魔法使いの婆さんとは違った、風流な愛とか人道とか
慈
(
いつ
)
くしむとか云ってるから悉くこれ慈悲
忍辱
(
にんにく
)
の士君子かなんぞと考えたら、飛んだ大間違いというもんだよ。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
かかるせつなき真赤な嘘もまた出家の我慢
忍辱
(
にんにく
)
と心得、吉野山のどかに住み
易
(
やす
)
げに四方八方へ書き送り、さて、待てども待てども人ひとり訪ねて来るどころか、返事さえ無く
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
御憤はまことにさる事ながら、若人
瞋
(
いか
)
り打たずんば何を以てか
忍辱
(
にんにく
)
を修めんとも承はり伝へぬ、畏れながら、ながらへて終に住むべき都も無ければ憂き折節に遇ひたまひたるを
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
故に
定業
(
じょうごう
)
を転じ、長寿を求め、長寿を得るため、礼拝袖を連ね、
幣帛
(
へいはく
)
礼奠
(
れいてん
)
を捧ぐる暇なし。
忍辱
(
にんにく
)
の衣を重ね、
覚道
(
かくどう
)
の花を捧げて、神殿の床を動じ、信心の心池水の如く澄ませたり。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
忍辱
(
にんにく
)
の衣も主家興亡の夢に
襲
(
おそ
)
はれては、今にも
掃魔
(
さうま
)
の
堅甲
(
けんかふ
)
となりかねまじき
風情
(
ふぜい
)
なり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
と、客僧は、
忍辱
(
にんにく
)
の手をさしのべて、年下の画工を、撫でるように言ったのである。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「慈悲
忍辱
(
にんにく
)
の衣をつけながら、こやつがあんまり了見よろしからざる坊さんなんだ」
右門捕物帖:29 開運女人地蔵
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
昭和七年の夏よりこの
方
(
かた
)
、世のありさまの変るにつれて、鐘の声もまたわたくしには明治の世にはおぼえた事のない響を伝えるようになった。それは
忍辱
(
にんにく
)
と
諦悟
(
ていご
)
の道を説く静なささやきである。
鐘の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
荒野のなかにあって、色彩と音楽とのあらゆる人工的な試みを離れ、ただ絶対者に対する帰依と信頼、そうしてこの絶対者に指導せられる克己、
忍辱
(
にんにく
)
、慈愛の実行、——それだけでも十分なのである。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
研究所や僧院は明らかに
忍辱
(
にんにく
)
の塹壕です。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
やからもの——
忍辱
(
にんにく
)
守
(
も
)
るに道はなし。
小曲二十篇
(新字旧仮名)
/
漢那浪笛
(著)
心
素直
(
すなほ
)
にも
忍辱
(
にんにく
)
の道守るならむ。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
柔和なあの観音さまのお姿、
忍辱
(
にんにく
)
の衣を身にまとえるあの地蔵さまのお姿を拝むにつけても、それがほんとうの
自分
(
おのれ
)
の
相
(
すがた
)
であることに気づかねばなりません。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
万事万端妻の
頤使
(
いし
)
に甘んじて、
奴僕
(
ぬぼく
)
のごとき
忍辱
(
にんにく
)
を重ねていたからであったが、もっと手っ取り早く言おうならば、ドン・アルヴァロ・メッサリイノ伯爵といえば
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
既に温良恭謙柔和
忍辱
(
にんにく
)
の教に瞑眩すれば、一切万事控目になりて人生活動の機を失い、言う可きを言わず、為す可きを為さず、聴く可きを聴かず、知る可きを知らずして
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
耐えている
忍辱
(
にんにく
)
の横顔を、いきなり
撲
(
は
)
りとばされたように、将門は憤然と、まなじりを上げた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
忍
(
にん
)
の道は一つでございます、憤りを
鎮
(
しず
)
めるの道は、忍の一字のほかにはあるものではございません、たとえ、大千世界を焼き亡ぼすの瞋恚の炎といえども、
忍辱
(
にんにく
)
の二字が
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
六体ともに鼻は欠かれ、耳はそがれ、目、口、手足、いたるところ無数の傷を負って、あまつさえ慈悲
忍辱
(
にんにく
)
のおつむには見るももったいなや、馬の古わらじが一つずつのせてあるのです。
右門捕物帖:29 開運女人地蔵
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ここへ連れて来て、銅像の
鼻前
(
はなっさき
)
で、きみの唇を買って、精進坊主を軽蔑してやろうと思ったんだ。慈悲にも
忍辱
(
にんにく
)
にも、目の前で、この光景を
視
(
み
)
せられて、侮辱を感じないものは断じてないから。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
心
素直
(
すなほ
)
にも
忍辱
(
にんにく
)
の道守るならむ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
大講堂の
外陣
(
げじん
)
の廊上には、長老、
執行
(
しぎょう
)
、四座などの上僧級が、いずれも
忍辱
(
にんにく
)
の法衣に具足をよろって居流れているし、また、階だんの正面を仰げば、左に大塔ノ宮
護良
(
もりなが
)
、右に
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
布施とは、ただ今も申し上げたごとく、
貪慾
(
どんよく
)
のこころをうち破って、他に
憐
(
あわれ
)
みを施すことです。持戒とは、規則正しい生活の意味で、道徳的な
行為
(
おこない
)
です。
忍辱
(
にんにく
)
とは、
堪
(
こら
)
え忍ぶで、忍耐です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
あらゆる
戒行
(
かいぎょう
)
のうち、
忍辱
(
にんにく
)
にまさる
功徳
(
くどく
)
は無いと釈尊も仰せになりました。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「じつの所、高氏は
癇
(
かん
)
が立っておりまする。家来どもには、木像のごとく押し黙って見せておりましたが、二年余の
忍辱
(
にんにく
)
と堪忍が、つい母上には甘えて、せきを切ってしまうのでござりまする」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それこそ、自分ならでは出来ない、
忍辱
(
にんにく
)
の孤忠ではあるまいか。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“忍辱”の意味
《名詞》
忍辱(にんにく)
(仏教)侮辱や苦しみに耐え忍び、心を動かさないこと。六波羅蜜の第三。
(出典:Wiktionary)
“忍辱”の解説
忍辱(にんにく、? - 589年)は、英彦山の開山者。『鎮西彦山縁起』にみえる僧。俗称は藤原恒雄。
(出典:Wikipedia)
忍
常用漢字
中学
部首:⼼
7画
辱
常用漢字
中学
部首:⾠
10画
“忍辱”で始まる語句
忍辱山
忍辱心
忍辱慈悲