“しとや”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
73.0%
8.1%
温雅5.4%
2.7%
2.7%
優雅2.7%
温柔2.7%
2.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なにしろしとやかで底がしっかりもので恵み深い夫人だったそうですから。ではなぜ父がわたくしの母のようなものを別に持ったのでしょうか。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それに折屈みが何処か節度にかなつてゐて、お茶や花ぐらゐは心得てゐさうにしとやかであつた。
倒れた花瓶 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
女学校出とは思はれぬ様な温雅しとやかな娘で、絶え/″\な声を出して讃美歌を歌つてゐる事などがあつた。学校では大分宗教的な教育を享けたらしい。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
しとやかに紙門ふすま押啓おしひらきて出来いできたれるを、たれかと見れば満枝なり。彼如何いかなれば不躾ぶしつけにもこの席にはあらはれけん、と打駭うちおどろけるあるじよりも、荒尾が心の中こそ更にたぐふべくもあらざるなりけれ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
満枝は心にすこあわてたれど、さしもあらはさで、しとやかに小腰をかがめて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
貂蝉は、客のほうへ、わずかに眼を向けて、しとやかにあいさつした。雲鬢うんぴん重たげに、呂布の眼を羞恥はじらいながら、王允の蔭へ、隠れてしまいたそうにすり寄っている。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
花世のあの優雅しとやかな女らしさとは相違して、どこか猛々たけだけしく、気持も非常に強いらしい。しかもこの女特有な頭脳あたまのよい明敏さもまた、そのキビキビした言葉つきによく出ている。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
之を機会に梅子は椅子いすを離れつ「失礼」と一揖いちいふして温柔しとやかに出で行けり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
清子は茶をすすめ菓子を薦めつゝ唯しとやかに、口数は少なかつた。そして男の顔を真面には得見えみなかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)