“由緒”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ゆいしょ67.8%
よし7.9%
ゆゐしよ5.9%
ゆかり5.9%
いわれ4.6%
ゆいしよ2.6%
ユヰシヨ2.0%
いはれ1.3%
ユカリ1.3%
ゆいちよ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いったい吉野の山奥から熊野くまのへかけた地方には、交通の不便なために古い伝説や由緒ゆいしょある家筋の長く存続しているものがめずらしくない。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
いずれ由緒よしあるお身の上とは、最初から存じて居りましたが、そのような名家の遺兒わすれがたみとは、思い及びも致しませんでした。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼は今は脱落崩壊の状態に陥つてゐるが夥しい由緒ゆゐしよある古い一門に生れ、川向うの叔母の家からぴか/\磨いた靴を穿いて通学してゐた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
そでれ違って、ひざを突き合せていながらも、魂だけはまるで縁も由緒ゆかりもない、他界から迷い込んだ幽霊のような気持であった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と右の一伍一什ふしぶしをうろ覚えのままに話す、役人は、そんな由緒いわれのあるものと知ったら、何とか方法やりかたもあったものをと口惜しそうな顔をした。
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
土地とちんで、もうまち成立せいりつわすれ、開墾かいこん当時たうじ測量器具そくりやうきぐなどのをさめた、由緒ゆいしよある稲荷いなりやしろさへらぬひとおほからうか、とおもふにつけても。——
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
皆も知つてようが、このお塚は、由緒ユヰシヨフカい、氣のおける處ゆゑ、まう一度、魂ごひをしておくまいか。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
ある人がその茶器を不思議がつて由緒いはれを訊くと、利休は何気ない調子で
私も、先年三浦半島を旅行した時、葉山から三崎の方へ行く途中、深谷と言ふ所に淡島堂があつて、村の女達の、大勢参詣するのを見た事がある。此由緒ユカリについては、次のやうに言はれて居る。
ある男が由緒ゆいちよのある古いお寺にまゐつた事があつた。そこには壁一面におびたゞしい金ぴかの額が懸つて、額のなかには各自てんでにぐつと気取つた人達の顔がいてあつた。