つつ)” の例文
母も娘もふだんからつつましやかなたちであるので、あまり詳しい説明も与えなかったが、ともかくもこれだけの事をかれらの口から洩らした。
平造とお鶴 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
袖口そでくち八口やつくちもすそこぼれて、ちらちらと燃ゆる友染ゆうぜんの花のくれないにも、絶えず、一叢ひとむらの薄雲がかかって、つつましげに、その美を擁護するかのごとくである。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もちろん相当の身分のある人の家族達には相違ないが、それにしてもあんまりつつましやか過ぎる。むしろ陰気すぎるといった方が適当かも知れない。
河鹿 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)