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徐
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しずか
ふりがな文庫
“
徐
(
しずか
)” の例文
此方
(
こなた
)
は愈大得意にて、
故
(
ことさら
)
に
徐
(
しずか
)
に歩めば、二人は遂に堪へ兼ねて、言葉をかけ、予の成功を祝せし後、「何処にて釣り候ぞ」と問へり。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
しかし考えて御覧なさいまし。お思い当りあそばす事がありは致しませんか。(画家
首
(
こうべ
)
を垂る。令嬢は
徐
(
しずか
)
に画家の
傍
(
かたわら
)
より離れ去る。)
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
妻
(
さい
)
の出た跡で、更に酒を呼んだ宗右衛門は、気味の悪い
笑顔
(
えがお
)
をして五百を迎える。五百は
徐
(
しずか
)
に
詫言
(
わびごと
)
を言う。主人はなかなか
聴
(
き
)
かない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「お葉さん、寒いだろう。
此方
(
こっち
)
へ来てお当りな。」と、お杉は
徐
(
しずか
)
に焚火の
傍
(
そば
)
へ寄った。お葉は岩に腰をかけたままで、返事も
為
(
し
)
なかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
アンドレイ、エヒミチはこの
切
(
せつ
)
なる
同情
(
どうじょう
)
の
言
(
ことば
)
と、その
上
(
うえ
)
涙
(
なみだ
)
をさえ
頬
(
ほお
)
に
滴
(
た
)
らしている
郵便局長
(
ゆうびんきょくちょう
)
の
顔
(
かお
)
とを
見
(
み
)
て、
酷
(
ひど
)
く
感動
(
かんどう
)
して
徐
(
しずか
)
に
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
いた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
麓へ着くと怪物は張をおろして、己の胸のあたりの毛を一掴み抜いてそれを張の手に握らし
徐
(
しずか
)
に山の上へ帰って往きました。
人蔘の精
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
中川よりもお登和嬢が
如何
(
いか
)
ばかり嬉しく感じけんニッコと笑いて
徐
(
しずか
)
に坐を立ち「兄さん、何か
拵
(
こしら
)
えて晩の御飯を小山さんに差上げましょうか」
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
元は、何とか云う
市
(
まち
)
の
屠者
(
としゃ
)
だったが、
偶々
(
たまたま
)
、
呂祖
(
ろそ
)
に遇って、道を学んだと云うのである。それがすむと、道士は、
徐
(
しずか
)
に立って、廟の中へはいった。
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
道衍の
峻機
(
しゅんき
)
険鋒
(
けんぼう
)
を以て、
徐
(
しずか
)
に幾百年前の
故紙
(
こし
)
に対す、縦説横説、
甚
(
はなは
)
だ
是
(
こ
)
れ容易なり。是れ其の
観
(
み
)
る可き無き
所以
(
ゆえん
)
なり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
媒妁夫妻は心嬉しく、主人は
綿絽
(
めんろ
)
の紋付羽織に木綿茶縞の袴、妻は
紋服
(
もんぷく
)
は御所持なしで
透綾
(
すきや
)
の縞の単衣にあらためて、
徐
(
しずか
)
に新郎新婦の到着を待った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その間に鶴が幾羽か
徐
(
しずか
)
に歩みながら誠に高い清い声を放って居るです。その光景に寒さも忘れて幾つかの歌が出来ました。二つばかり申しましょう。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
KはBの体を、白い床の上に
徐
(
しずか
)
に横たわらせた。赤いネクタイが、窓から洩るる
鈍色
(
にびいろ
)
の
光線
(
ひかり
)
に黒ずんで見えた。背の高い黒い姿が夜の色より黒かった。
扉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
徐
(
しずか
)
に進み寄って美留藻の似せ紅矢に敬礼をしまして、それから先ず脈を見ましたが何ともないので、これならば死ぬような事はあるまいと安心をしました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
おせんは
抱
(
かか
)
えた
人形
(
にんぎょう
)
を、
東
(
ひがし
)
に
向
(
む
)
けて
座敷
(
ざしき
)
のまん
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
てると、
薄月
(
うすづき
)
の
光
(
ひかり
)
を、まともに
受
(
う
)
けさせようがためであろう。
音
(
おと
)
せぬ
程
(
ほど
)
に、
窓
(
まど
)
の
障子
(
しょうじ
)
を
徐
(
しずか
)
に
開
(
あ
)
け
始
(
はじ
)
めた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
この間に、早瀬、ベンチを立つ、お蔦縋るようにあとにつき、双方涙の目に月を仰ぎながら
徐
(
しずか
)
にベンチを一周す。お蔦さきに腰を落し、立てる早瀬の
袂
(
たもと
)
を控う。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(
徐
(
しずか
)
に身を起す。)譬えば下手な俳優があるきっかけで舞台に出て
受持
(
うけもち
)
だけの
白
(
せりふ
)
を
饒舌
(
しゃべ
)
り、
周匝
(
まわり
)
の役者に構わずに
己
(
うぬ
)
が声を
己
(
うぬ
)
が聞いて何にも胸に感ぜずに楽屋に帰ってしまうように
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
「あなた。ほんとウ。」と君江は
巧
(
たくみ
)
に睫毛の長い眼の中をうるませて
徐
(
しずか
)
に
俯向
(
うつむ
)
いた。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
(画家
徐
(
しずか
)
に娘の前に
跪
(
ひざまず
)
き、娘を見上ぐ。娘両手にて画家の目を
塞
(
ふさ
)
ぎ、顔次第に晴やかになりて微笑み、少し苦情らしき調子にて。)
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
講じ
畢
(
おわ
)
った
後
(
のち
)
、貞固は
暫
(
しばら
)
く
瞑目
(
めいもく
)
沈思していたが、
徐
(
しずか
)
に
起
(
た
)
って仏壇の前に往って、祖先の位牌の前にぬかずいた。そしてはっきりした声でいった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
漁史は、
徐
(
しずか
)
に身を起し、両腕
拱
(
こまね
)
きて
首
(
かうべ
)
を垂れしまま、前に輪を為せる綸を埋めんともせず、小ランプに半面を照されて、唯深く思いに沈むのみなり。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
お杉は痩せた手をあげて
差招
(
さしまね
)
くと、お葉は
宛
(
さなが
)
ら死神の
迎
(
むかい
)
を受けた人のように、
唯
(
ただ
)
ふらふらと
門口
(
かどぐち
)
へ迷い出た。お清もつづいて追って出ると、
婆
(
ばばあ
)
は
徐
(
しずか
)
に
顧
(
みかえ
)
って
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼
(
かれ
)
の
書見
(
しょけん
)
は、イワン、デミトリチのように
神経的
(
しんけいてき
)
に、
迅速
(
じんそく
)
に
読
(
よ
)
むのではなく、
徐
(
しずか
)
に
眼
(
め
)
を
通
(
とお
)
して、
気
(
き
)
に
入
(
い
)
った
所
(
ところ
)
、
了解
(
りょうかい
)
し
得
(
え
)
ぬ
所
(
ところ
)
は、
留
(
とどま
)
り
留
(
とどま
)
りしながら
読
(
よ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そこで
窄
(
つぼ
)
めて、
逆上
(
のぼせ
)
るばかりの
日射
(
ひざし
)
を
除
(
よ
)
けつつ、
袖屏風
(
そでびょうぶ
)
するごとく、
怪
(
あやし
)
いと見た羽目の方へ、
袱紗
(
ふくさ
)
づつみを頬にかざして、
徐
(
しずか
)
に通る褄はずれ、
末濃
(
すそご
)
に藤の咲くかと見えつつ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それと引違えて
徐
(
しずか
)
に現れたのは、
紫
(
むらさき
)
の糸のたくさんあるごく
粗
(
あら
)
い
縞
(
しま
)
の
銘仙
(
めいせん
)
の着物に
紅気
(
べにっけ
)
のかなりある
唐縮緬
(
とうちりめん
)
の帯を
締
(
し
)
めた、源三と
同年
(
おないどし
)
か一つも上であろうかという
可愛
(
かわい
)
らしい小娘である。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
(右手扉の方へ
行
(
ゆ
)
かんとする時、死あらわれ、
徐
(
しずか
)
に
垂布
(
たれぎぬ
)
を
後
(
うしろ
)
にはねて戸口に立ちおる。ヴァイオリンは腰に下げ、弓を手に持ちいる。驚きてたじたじと
下
(
さが
)
る主人を、死は
徐
(
しずか
)
に見やりいる。)
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
ある時、高等小学の修身科で彼は熱心に忍耐を説いて居たら、生徒の一人がつか/\立って来て、教師用の
指杖
(
さしづえ
)
を取ると、
突然
(
いきなり
)
劇
(
はげ
)
しく先生たる彼の
背
(
せなか
)
を
殴
(
なぐ
)
った。彼は
徐
(
しずか
)
に顧みて何を
為
(
す
)
ると問うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
(娘を
抱
(
いだ
)
く。)己が悪かった。勘忍してくれい。(娘は顔を画家の胸に押付く。画家は
徐
(
しずか
)
に娘の髪を撫づ。娘忽ち
欷歔
(
ききょ
)
す。画家小声にて。)
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
やがて落葉を踏む音して、お杉
婆
(
ばばあ
)
は
諷然
(
ひょうぜん
)
と帰って来た。男は黙って鳥を
咬
(
かじ
)
っていた。二人共に
暫時
(
しばし
)
は何の
詞
(
ことば
)
をも交さなかったが、お杉の方から
徐
(
しずか
)
に口を切った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お時婆あさんも春も兵卒ほど飯を食いそうにはない。石田は
直
(
すぐ
)
にお時婆あさんの風炉敷包の事を思い出した。そして
徐
(
しずか
)
にノオトブックを将校行李の
中
(
うち
)
へしまった。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
(首を振りつつ
徐
(
しずか
)
に去る。)思えば人というものは、不思議なものじゃ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
彼奴
(
きゃつ
)
の力に応じて、右に左にあしらツて、腹を横にしても、尚時々暴れるのを、だまして水面を
徐
(
しずか
)
にすーツと引いて来て、手元に寄せる、其の間の楽みといふたら、とてもお話しにならんですな。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
彼が千歳村に引越したあくる月、M君は雑誌に書く
料
(
りょう
)
に彼の新生活を見に来た。
丁度
(
ちょうど
)
樫苗
(
かしなえ
)
を植えて居たので、ろく/\火の気の無い室に二時間も君を待たせた。君は
慍
(
いか
)
る容子もなく
徐
(
しずか
)
に待って居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
三
時
(
じ
)
になると
彼
(
かれ
)
は
徐
(
しずか
)
に
厨房
(
くりや
)
の
戸
(
と
)
に
近
(
ちか
)
づいて
咳払
(
せきばら
)
いをして
云
(
い
)
う。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
手をもって涙を
拭
(
ぬぐ
)
いつつ
徐
(
しずか
)
に謙三郎を顧みたり。
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一体これはどうした次第と、いひながら取り出すは古代木綿の烟草入、
徐
(
しずか
)
に一服吸ひ付くるをぢつと見つめて募るは恋、おや清さんの
烟管
(
キセル
)
も伊勢新なのねえ、ええこれはといひ掛けしが
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
しかし成善は今は
徐
(
しずか
)
にこれを待つことが出来なくなったのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
徐
常用漢字
中学
部首:⼻
10画
“徐”を含む語句
徐々
徐徐
徐行
緩徐調
徐六岳
徐家滙
徐晃
徐州
徐盛
徐福
徐庶
緩徐
徐鉉
徐氏
徐葆光
徐元直
徐大盡
徐城
徐四
徐商
...