“蒼海”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
そうかい41.7%
わだつみ16.7%
あおうみ16.7%
あをうみ12.5%
さうかい8.3%
わたつみ4.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
朦朧もうろうと見えなくなって、国中、町中にただ一条ひとすじ、その桃の古小路ばかりが、漫々として波のしずか蒼海そうかいに、船脚をいたように見える。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
綿津見は蒼海わだつみのことで、今の安曇あずみ郡は蒼海から出たのであろう、自分は土地に伝わっている神話と地形から考えて、「神河内かみこうち」なる文字を用いる、高地には純美なるアルプス渓谷の意味は少しもない
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
艇長フォン・エッセン男の死体が消失した、しかも蒼海あおうみの底で、密閉した装甲の中で——この千古の疑惑は、再び新しい魅力を具えて一同のうえにひろがった。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
すなうへ唯一人たゞひとりやがてほしひとつないしたに、はてのない蒼海あをうみなみに、あはれ果敢はかない、よわい、ちからのない、身體からだ單個ひとつもてあそばれて、刎返はねかへされてるのだ、と心着こゝろづいて悚然ぞつとした。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其小なるや、管見の小世態を寫すに止まれど、其大なるや、能く造化を壺中こちゆうに縮めて、とこしなへに不言の救世主たらむ。其状猶邊なき蒼海さうかいのごとく、彌大にして彌茫々ばう/\たり。又猶底知らぬ湖のごとし。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
その夜はやがて、砂白く、がけあおき、玲瓏れいろうたる江見の月に、やっこが号外、悲しげに浦をけ廻って、蒼海わたつみの浪ぞ荒かりける。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)