“しずく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シズク
語句割合
81.2%
13.8%
点滴1.4%
水滴1.1%
0.8%
津液0.3%
涓滴0.3%
滴水0.3%
0.3%
0.3%
雨滴0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
雨が降りかかって頭から面にしずくがたらたらと流れ、やわらかい着物がビッショリと濡れてしまっても、少しも気にかけないのであります。
大木のこずえからは雨もっていないのにしずくがぽたりぽたりとれ、風もないのに梢の上の方にはコーッという森の音がこもっていた。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
しばらくすると、毛布の下にかがまっていた子供は、そっと顔をのぞき出す。屋根の上には風見かざみきしっている。といからは点滴しずくがたれている。御告みつげいのりの鐘が鳴る。
窮屈な坑道の荒い岩の肌から水滴しずくがしたゝり落ちている。市三は、刀で斬られるように頸すじを脅かされつゝ奥へ進んだ。彼は親爺に代って運搬夫になった。
土鼠と落盤 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
しずくするまでもないが、しっとりとする帽子を脱いで、額を手布ハンケチで、ぐい、とぬぐった。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蝦蟆がますなわち牛矣うしきのこすなわち其人也そのひとなり古釣瓶ふるつるべには、そのえんじゅ枝葉しようをしたゝり、みきを絞り、根にそそいで、大樹たいじゅ津液しずくが、づたふ雨の如く、片濁かたにごりしつつなかば澄んで、ひた/\とたたへて居た。あぶらすなわちこれであつた。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
雨は飛沫しぶきを立てて降ってきた。南はその飛沫を避けて一方の手で長裾にかかった涓滴しずくをはたいた。南の姿を見つけて其処の主人が顔をだした。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
老牛が死力を尽して猶しもとを受くるのを見ては、ああ、疲れたる牛、厳しき笞、荷は重くみちは遠くして、日はさかりに土は焦がる、飲まんとすれど滴水しずくも得ぬ其苦しさやそも如何ばかりぞや
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「すと」「すと」花にたまった雨のしずくの砂にしたたる音を聴いていると夢まぼろしのように大きな美しい五感交融こうゆうの世界がクッションのようにうかんで来て身辺しんぺんをとり囲む。
桃のある風景 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼はお雪の身体ばかりでなく、自分で自分の身体をも眺めて、それを彫刻のように楽むことが出来るように成った——丁度、杯の酒を余ったしずくまで静かに飲尽せるような心地こころもちで。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
半ば眠れる馬のたてがみよりは雨滴しずく重くしたたり、その背よりは湯気ゆげ立ちのぼり、家鶏にわとりは荷車の陰に隠れて羽翼はね振るうさまの鬱陶うっとうしげなる
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)