“点滴”のいろいろな読み方と例文
旧字:點滴
読み方割合
てんてき33.3%
したた22.2%
したたり19.4%
しずく13.9%
あまだれ5.6%
したたる2.8%
しづく2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夕方芭蕉ばしょうに落ちた響はもう聞こえない代りに、亜鉛葺トタンぶきひさしにあたる音が、非常に淋しくて悲しい点滴てんてきを彼女の耳に絶えず送った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とその塩瀬より白い指に、汗にはあらず、紅宝玉ルビイ指環ゆびわ点滴したたるごときなさけの光を、薄紫の裏に包んだ、内気な人の可懐なつかしさ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やっと冷たいのが知れて、てのひらでると、ひやりとする。身震いして少し起きかけて、旅僧は恐る恐るともしびの影にすかしたが、さいわいに、血の点滴したたりではない。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
暢気のんきな彼はもうすぐ夢にしてしまって、酒の方へ心を移してまたちびちびとやりだしたが、やがて点滴しずくもなくなったので蒲団ふとんを引き出して寝てしまった。
岐阜提灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
着物から水が点滴あまだれのやうに垂れる。それでも女の目は庵主の姿を見て、目のうちに笑を見せてゐる。
盂蘭盆うらぼんすぎのい月であつた。風はないが、白露しらつゆあしに満ちたのが、穂に似て、細流せせらぎに揺れて、しずくが、青い葉、青い茎をつたわつて、点滴したたるばかりである。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これはまた酷い事、屋根半分はもうとうに風に奪られて見るさへ気の毒な親子三人の有様、隅の方にかたまり合ふて天井より落ち来る点滴しづく飛沫しぶき古筵ふるござで僅にけ居る始末に
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)