“したたり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
30.4%
点滴30.4%
滴々8.7%
涓滴4.3%
余滴4.3%
滴下4.3%
滴点4.3%
滴雫4.3%
4.3%
飛沫4.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
第一に、空中には常に、眼には見えない水蒸気があるといふ事、第二に、此の水蒸気を冷やすと、眼に見える霧となつてやがて水のしたたりとなるといふ事だ。
なるほど今町の左右を見れば、軒並に竹竿が立って、その尖端の笊に雨の点滴したたりが光っている。
西へ西へと志して爪探りに進み行けば、蝙蝠かわほり顔に飛び違い、清水の滴々したたりはだえとおして、物凄きこと言わむ方無し。とこうして道のほど、一町ばかり行きける時、はるかふくろうの目のごとき洞穴の出口見えぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
涓滴したたりそれぞとなれもたのみけむか。——
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
涓滴したたりのみなもといでぬ。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
葉子の頭の上に張り渡された雨よけの帆布ほぬのはしから余滴したたりがぽつりぽつりと葉子の顔を打つたびに、断続して聞こえて来るように思われた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
モヨ子の外出穿きの赤きコルク草履ぞうりが正しく並びおり、そのかたわらより蝋燭ろうそく滴下したたり起り、急なる階段の上まで点々としてつらなれり。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
李生は起きて神座のほとりに注意した。たまっている朽葉の上に赤黒い血の滴点したたりがあった。李生はその血の滴点をつけて廟を出た。血の滴点は山の南のうねりに沿うて著いていた。
申陽洞記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
黒と、緑と、赤の滴雫したたりを、そこいら中に引きずり散らした……ダラリと垂れ下がった……。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
自分ははらの中でこの水仙のとぼしく咲いた模様と、この女のひすばった頬の中を流れている、色のめた血のしたたりとを比較して、遠い仏蘭西で見るべき暖かな夢を想像した。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
白い砂の上に引きずった尾の周囲まわりは勿論のこと、幟棹の根元から、白木の墓標の横腹へかけていろんな毒々しい、気味わるい色の飛沫したたりを一パイにき散らしたまま、ダラリと静まり返っている。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)