申陽洞記しんようどうき
元の天暦年間のことであった。隴西に李生という若い男があった。名は徳逢、年は二十五、剛胆な生れで、馬に騎り、弓を射るのが得意であったが生産を事としないので、郷党の排斥を受けて、何人も相手になってくれる者がない。しかたなしに父の友達で桂州の監郡 …