滴々したたり)” の例文
雨の滴々したたりしとしとと屋根を打って、森の暗さがひさしを通し、みどりが黒く染込しみこむ絵の、鬼女きじょが投げたるかずきにかけ、わずかに烏帽子えぼしかしらはらって、太刀たちに手をかけ、腹巻したるたいななめに
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
西へ西へと志して爪探りに進み行けば、蝙蝠かわほり顔に飛び違い、清水の滴々したたりはだえとおして、物凄きこと言わむ方無し。とこうして道のほど、一町ばかり行きける時、はるかふくろうの目のごとき洞穴の出口見えぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)