)” の例文
と敏子は早速第一を放った。郁子と目くばせの中に今日は攻勢を取ることと相談がきまったのである。僕は側から仔細に打目戍うちまもっている。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「貴公の一がなければ、鄧賢とうけんのために討たれていたかも知れない。つつしんで高恩を謝します」と、ひざまずいて頓首した。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしまだ如何なる日本通もわが章太炎先生のやうに、桃から生れた桃太郎へ一を加へるのを聞いたことはない。
僻見 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
鬼ばばあ、くたばっちまえ——、という第一でそれは始まり、相当な無頼漢でも思い及ばないような、豊富な語彙ごいを駆使してのろいと悪罵あくば嘲弄ちょうろうをあびせかける。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
じぶんを見向きもしないで、かの弥生にのみ走っている左膳の心を思うと、責め折檻せっかんされた覚えもあり、なんとかして一左膳に報いる機会を待っていたお藤だった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
全體ぜんたい杉村君すぎむらくんきみはづぢやアなかツたのか』と水谷氏みづたにしは一むくゐると、杉村氏すぎむらし楚人冠そじんくわんりう警句けいくけて『るならるが、ないのにつたつてつまらないよ』とる。
警部が、臨時被告の住所姓名其他を聞訊ききただした後、先ずおだやかな第一を放った。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
靜かではあるが、嚴重に一むくいたのです。
それはまた、当時の、朝廷貴族から、庶民にまで、頑迷がんめいに根を張っていた迷信への一でもあったため、当時にあっては
そして貴様の出世が絶頂に達した今、俺の毒矢は遂につるを離れたのだ。第一は妹娘をたおした。第二矢は姉娘を斃した。そして、第三矢は今、この瞬間、貴様の心臓を射抜こうとしているのだ
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
とお父さんは一むくいたが、緋縅ひおどしの鎧には通らなかった。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
さらに、しばらくこらえて小太郎山こたろうざん味方みかたをすぐり、怨敵おんてき家康いえやすに一をむくいたのちに死ぬとも、けっして若君わかぎみのおともにおくれはいたしますまい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「一むくいなければ、秘書室の威信に拘わるぜ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
『日が経てば経つほど、こうなるのが人心の当然じゃが、それにせよ、歯がゆい有様。こんな事で、どうして、吉良殿に一あだむくわれようか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、曹操の側から、張遼が突っ立って、手にせる鉄弓からぶんと一を放った。矢は、黄蓋の肩に立ち、あッという声と共に、黄蓋は波間へ落ちた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
連弩というのは、まったく彼が発明した新鋭器で、鉄箭てっせん八寸ほどの短い矢が、一を放つと、十ずつ飛ぶのである。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しばらく息をこめて、空をにらんでいるうちに、一列の雁行が真上にかかるや、関興は、弦音つるおとたかく一を放った。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
為に、晁蓋は苦戦をかさね、あげくに、自身もくびの根に一をうけて、無念な姿を、送還されて来たものだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「待った! 曲者くせもの」と、大声に叱って、彼方から一、羽うなり強く、射てきた者がある。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
強請ゆすりにきた甲比丹の三次を、物蔭から一に射た時には、三位卿の殺人好みも悪くは思えなかったが、その放恣な矢を石牢の中へまで放ったのは、いくら大事な食客殿としても
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いさぎよくその下手人の名は下手人の口から自白いたしまする。すなわち、俵一八郎を一にて射殺しました者は、かく申す竹屋有村、御当家のおため! こう信じてやりました」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
樊城はんじょう一つを攻めあぐねて荊州へ引き揚げたりと聞いては以後、関羽の武名はともあれ、蜀の国威にかかわる。——一きずなど何かあらん。戦場に立てば十矢百矢も浴びるではないか。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
周謹は、三を放って、三矢とも、見事、楊志の片手のたてで払われてしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一兵一の蓄えもなく、居候をしている素寒貧すかんぴん若公卿わかくげには、どんな過激な議論も吐けようけれど、重喜には、譜代ふだいの臣、阿波二十五万石の足枷あしかせがある。そう、滅多に動けたものではない。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まず、この第一で、右の泰瓊神たいけいしんの手こぶしを射当ててみせる」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鉄弓のつるをはなれた一は、白馬の環囲かんいに突きささった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)