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若
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し
ふりがな文庫
“
若
(
し
)” の例文
何ぞ
若
(
し
)
かん、俗に混じて、しかも
自
(
みづか
)
ら俗ならざるには。
籬
(
まがき
)
に菊有り。
琴
(
こと
)
に
絃
(
げん
)
無し。
南山
(
なんざん
)
見
来
(
きた
)
れば常に悠々。
寿陵余子
(
じゆりようよし
)
文を
陋屋
(
ろうをく
)
に売る。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今
(
いま
)
ぞ
廿日
(
はつか
)
の
月
(
つき
)
面
(
おも
)
かげ
霞
(
かす
)
んで、さし
昇
(
のぼ
)
る
庭
(
には
)
に
木立
(
こだち
)
おぼろおぼろと
暗
(
くら
)
く、
似
(
に
)
たりや
孤徽殿
(
こきでん
)
の
細殿口
(
ほそどのぐち
)
、
敏
(
さとし
)
が
爲
(
ため
)
には
若
(
し
)
くものもなき
時
(
とき
)
ぞかし。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一たびこれに触れると、
忽
(
たちまち
)
縲紲
(
るいせつ
)
の
辱
(
はずかしめ
)
を受けねばならない。
触
(
さわ
)
らぬ神に
祟
(
たたり
)
なき
諺
(
ことわざ
)
のある事を思えば、選挙権はこれを棄てるに
若
(
し
)
くはない。
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
物の低きに過ぐるは
固
(
もと
)
より
宜
(
よろ
)
しからずといえども、これを高くして高きに過ぐるに至るが如きは、むしろ初めのままに捨て置くに
若
(
し
)
かず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
三階の天に登り、永遠の慈悲に接せんと欲せば、下界の交際より遮断さるるに
若
(
し
)
かず、国人は余を
捨
(
す
)
て余は霊界に受けられたり。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
▼ もっと見る
ラーポとビンドいかにフィオレンツァに多しとも、
年毎
(
としごと
)
にこゝかしこにて教壇より叫ばるゝかゝる浮説の多きには
若
(
し
)
かず 一〇三—一〇五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
君が、佐治を相手にして火遊びをする女だとは思わないけれど、用心に
若
(
し
)
くはなし、敢てこの第一の理由を、あけすけにいって置く次第だ。
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
われは此兒をカムパニアにやりて、百姓にせんこと惜しければ、この羅馬市中にて、然るべき人を見立て、これにあづくるに
若
(
し
)
かずといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
大事な宝は生命 だが先方にとっては人の
生命
(
いのち
)
はなんにもならぬ。こりゃ何もかもすっかり遣ってしまうに
若
(
し
)
くはないと覚悟してしまった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
戀には
脆
(
もろ
)
き我れ人の心、など御邊一人の罪にてあるべき。言うて還らぬ事は言はざらんには
若
(
し
)
かず、何事も過ぎし昔は恨みもなく喜びもなし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
尤も外に同志が三四人はゐるから、大丈夫だが、
一人
(
ひとり
)
でも味方は多い方が便利だから、三四郎も成るべく
嘵舌
(
しやべ
)
るに
若
(
し
)
くはないとの意見である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
子貢
(
しこう
)
曰く、貧にして
詔
(
へつら
)
うことなく、富みて
驕
(
おご
)
ることなくんば如何と。子曰く、可なり、未だ貧にして楽み、富みて礼を好む者に
若
(
し
)
かざるなりと。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
しかるに壮年の人よりこの涙を誘うもののうちにても、天外にそびゆる
高峰
(
たかね
)
の雪の
淡々
(
あわあわ
)
しく恋の夢路を
俤
(
おもかげ
)
に写したらんごときに
若
(
し
)
くものあらじ。
星
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「あそびには
早
(
はや
)
倦
(
う
)
みたり、姉ぎみと共にいづくへか
往
(
ゆ
)
きたまひし、」と問へば、「見晴らしよき岩角わたりまでゆきしが、この
尖塔
(
ピラミッド
)
には
若
(
し
)
かず、 ...
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
しかし
名
(
な
)
と
実
(
じつ
)
とが
相伴
(
あいともな
)
わねば、とかく誤りをきたしやすいから、名はできうるだけ明らかにしておくに
若
(
し
)
くはない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
夕景
漸
(
ようや
)
く六日町に着しますと、
松屋仙次郎
(
まつやせんじろう
)
という商人宿がございます、尋ね物をするには
斯
(
こ
)
ういう宿に
若
(
し
)
くはないと考えて、宿の表に立ちかゝりますと
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
削らざれば
則
(
すなわ
)
ち朝廷の紀綱立たず。之を削れば
親
(
しん
)
を
親
(
したし
)
むの恩を
傷
(
やぶ
)
る。
賈誼
(
かぎ
)
曰く、天下の治安を
欲
(
ほっ
)
するは、
衆
(
おお
)
く諸侯を建てゝ
其
(
その
)
力を
少
(
すくな
)
くするに
若
(
し
)
くは無しと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
百聞一見に
若
(
し
)
かずという言葉は東京郊外の生活に能く当てはまる。荻窪だの玉川だの調布だのという肥汲みの番地を聴いた丈けでは、一向実感が起らない。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
終生の失望と遺恨とは
濫
(
みだり
)
に
断膓
(
だんちよう
)
の
斧
(
をの
)
を
揮
(
ふる
)
ひて、死苦の
若
(
し
)
かざる絶痛を与ふるを思ひては、彼はよし天に人に憤るところあるも、
懼
(
おそ
)
るべき無しと
為
(
せ
)
るならん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
沈黙を守るに
若
(
し
)
かず、無用の言を吐くと
駟
(
し
)
も舌に及ばずで、
忽
(
たちま
)
ち不測の害をかもすことになる、注意すべきは言葉であるという道徳の
箴言
(
しんげん
)
に類した句である。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
むしろ
若
(
し
)
かんや、
自
(
みずか
)
ら
平生
(
へいぜい
)
の学問
浅薄
(
せんぱく
)
なるを言い、以てその限りなき
懊悔
(
おうかい
)
を包むに限り無き慰安を以てす。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
遠近の丹波と相
若
(
し
)
くのは、摂津富松庄である。富松は河辺郡と武庫郡とに分れて、東西富松の二つある。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
えらい商売を始めたものやと思っているうちに、酒屋への支払いなども
滞
(
とどこお
)
り勝ちになり、結局、やめるに
若
(
し
)
かずと、その旨柳吉に言うと、柳吉は
即座
(
そくざ
)
に同意した。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
凡夫の妄執を晴らすは念仏に
若
(
し
)
くは無し
南無阿弥陀
(
なむあみだ
)
南無阿弥陀仏
(
なむあみだぶつ
)
南無阿弥陀 南無阿弥陀仏/\
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
驚倒
(
きょうとう
)
す暗中銃丸跳るを、野田城上
笛声
(
てきせい
)
寒し、誰か知らん七十二の
疑塚
(
ぎちょう
)
、
若
(
し
)
かず一棺湖底の安きに
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「そうか、用心に
若
(
し
)
くはなしだな、なあに、覚悟さえすれば、拙者一人で大丈夫だが——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
生花
(
いけばな
)
、裁縫、諸礼、一式を教えられ、なお男子の如く
挙動
(
ふるま
)
いし妾を女子らしからしむるには、音楽もて心を
和
(
やわ
)
らぐるに
若
(
し
)
かずとて、
八雲琴
(
やくもごと
)
、月琴などさえ日課の中に据えられぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
(十五) 子貢曰く、貧しくして
諂
(
へつら
)
うことなく、富みて
驕
(
おご
)
ることなきは
何如
(
いかん
)
。子曰く、可なり、(
然
(
しか
)
れども)未だ貧しくして道を楽しみ、富みて礼を好むものには
若
(
し
)
かざるなり。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
君
(
きみ
)
、
兵
(
へい
)
を
引
(
ひ
)
いて
疾
(
と
)
く
大梁
(
たいりやう
)
に
走
(
おもむ
)
き・
(三九)
其街路
(
そのがいろ
)
に
據
(
よ
)
り・
其方
(
そのまさ
)
に
虚
(
きよ
)
なるを
衝
(
つ
)
くに
若
(
し
)
かず。
彼
(
かれ
)
必
(
かなら
)
ず
趙
(
てう
)
を
釋
(
す
)
てて
自
(
みづか
)
ら
救
(
すく
)
はん。
是
(
こ
)
れ
我
(
われ
)
一
擧
(
きよ
)
して
趙
(
てう
)
の
圍
(
かこ
)
みを
解
(
と
)
きて、
(四〇)
弊
(
へい
)
を
魏
(
ぎ
)
に
收
(
をさ
)
むる
也
(
なり
)
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
敵の休右衛門は、七十を越した
極老
(
ごくろう
)
の者である。二人の
音信
(
たより
)
を待つうちに、いつ病死するかもしれない。二人には、不義であろうとも、一日も早く多年の本懐を達するに
若
(
し
)
くはないと。
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
千言万句の祈祷は一たび基督を仰ぎ見るの徳に
若
(
し
)
かず、仰ぎ見るは心を以て仰ぎ見るべし、祈祷の教会をかしましうするは、尤も好ましからぬことなれ、我は凡ての教会の黙了せん時に
各人心宮内の秘宮
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
依
(
より
)
て思うに、この論文はあえて世人に示すを
憚
(
はば
)
かるべきものにあらず、
殊
(
こと
)
にすでに世間に伝わりて
転々
(
てんてん
)
伝写
(
でんしゃ
)
の間には多少字句の
誤
(
あやまり
)
なきを期せざれば
寧
(
むし
)
ろその本文を公にするに
若
(
し
)
かざるべしとて
瘠我慢の説:01 序
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
書く人は一人にして見る人は千万人なり。書く事の便利なるは見る事の便利なるに
若
(
し
)
かず。新字を製せんとすれば最もこの点に注意せざるべからず。〔『日本附録週報』明治32・4・24 五〕
病牀譫語
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
アイトーロイの族の中、我に
若
(
し
)
く者あらざりき。
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
発句
(
ほつく
)
は十七音を原則としてゐる。十七音以外のものを発句と呼ぶのは、——或は新傾向の句と呼ぶのは短詩と呼ぶのの
勝
(
まさ
)
れるに
若
(
し
)
かない。
発句私見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ソレ書生タルモノ平時互ニ相誇ルニアルイハ博覧考証ヲ以テシアルイハ詩若シクハ文章ヲ以テシ皆自ラ
謂
(
いえ
)
ラク天下
己
(
おのれ
)
ニ
若
(
し
)
クモノハ
莫
(
な
)
シト。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
御母さんは女の事だから理解出来んかも知れんが、余が見ればこうだろうくらいの見当はつくわけだ。これは
催促
(
さいそく
)
して日記を見るに
若
(
し
)
くはない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何か話の
序
(
ついで
)
には拝借地の有名無実なるを
説
(
と
)
き、等しく官地を使用せしむるならば之を私有地にして
銘々
(
めいめい
)
に地所保存の
謀
(
はかりごと
)
を
為
(
な
)
さしむるに
若
(
し
)
かずと
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「あそびにははや
倦
(
う
)
みたり、姉ぎみとともにいずくへか往きたまいし」と問えば、「見晴らしよき岩角わたりまでゆきしが、このピラミイドには
若
(
し
)
かず、 ...
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
勢
(
いきおい
)
いよ/\
逼
(
せま
)
る。群臣
或
(
あるい
)
は帝に勧むるに
淅
(
せつ
)
に
幸
(
こう
)
するを以てするあり、
或
(
あるい
)
は
湖湘
(
こしょう
)
に幸するに
若
(
し
)
かずとするあり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
おほよそ地上の美なるもの海に
若
(
し
)
くはなかるべし、
宜
(
むべ
)
なり海はアフロヂテの母にしてと云ひさし、少し笑ひて、又ヱネチア歴代の大統領の未亡人なりといへり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
世の人心を
瞞着
(
まんちゃく
)
すること、これに
若
(
し
)
くものはない。何故か? 曰く、全快写真は
殆
(
ほと
)
んど八百長である。
勧善懲悪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
しからば祈る何の要かある、神は祈祷に応じて雨を賜わず、また聖者の祈祷に反して種々の難苦を
下
(
くだ
)
せり、祈らずして神命に従うに
若
(
し
)
かず、祈祷の要は
何処
(
いずこ
)
にあるや。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
その阿耨達池の傍に在る天然の
曼陀羅
(
まんだら
)
なるマウント・カイラスは仏教の霊跡でありますから、その霊跡に
参詣
(
さんけい
)
するという口実を設けて行くに
若
(
し
)
くはないと考えました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
かへ
品
(
しな
)
をかふれど
袖
(
そで
)
の
涙
(
なみだ
)
晴
(
は
)
れんともせず
兎
(
と
)
もすれば
我
(
われ
)
も
倶
(
とも
)
にと
決死
(
けつし
)
の
素振
(
そぶり
)
に
油斷
(
ゆだん
)
ならず
何
(
なに
)
はしかれ
命
(
いのち
)
ありての
物
(
もの
)
だねなり
娘
(
むすめ
)
の
心
(
こゝろ
)
落附
(
おちつ
)
かすに
若
(
し
)
くはなしと
押
(
お
)
しては
婚儀
(
こんぎ
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この争を絶つためには席順に上下の区別をなくするに
若
(
し
)
くはない。しかして上下の区別なからしめるためには円形の
卓子
(
テーブル
)
とするがよい。さすれば上もなければ下もない。
国際聯盟とは如何なものか
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「子を見ること親に
若
(
し
)
かず。君の
父
(
ファザー
)
は君の性格を知っているから食える丈け分けてくれるのさ。君はあって勤まらないと思うなら、あっても、ない積りでかゝれば
宜
(
い
)
い」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
當時フィレンツェはその華美なるにおいてローマに
若
(
し
)
かざりしが後これを凌ぐにいたれり、されど今華美においてローマにまさる如く、この後廢頽の度においてもまたこれにまさるべし
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
此の
後
(
のち
)
どのようなる悪事を
仕出来
(
しでか
)
すかも知れぬ、さぞ町人方が難渋するであろうと思いますと、矢も
楯
(
たて
)
も
堪
(
たま
)
らず、彼等の命を絶って世間の難儀を救うに
若
(
し
)
かずと決心いたし、
去
(
さん
)
ぬる十五日の
夜
(
よ
)
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
到底五十年の事を経綸せざるに
若
(
し
)
かざるなり、明日あるを知らずして今日の事を計るは、到底真に今日の事を計るものにあらざるなり、五十年の人生の為に五十年の計を為すは、
如何
(
いか
)
に其計の大に
内部生命論
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
“若”の意味
《名詞》
(わか)若君の略。代名詞的にも用いられる。
(出典:Wiktionary)
若
常用漢字
小6
部首:⾋
8画
“若”を含む語句
若衆
若干
傍若無人
若人
若者
若僧
若子
自若
杜若
若年
若木
若武士
天若日子
蘭若
老若
老若男女
若輩
若々
幸若
若侍
...