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婚儀
見染て來たといふは此
上もなき
大幸なれば御苦勞ながら
管伴どの
明日にも先の
家へ行き身元正しき者ならば
婚儀を
かへ
品をかふれど
袖の
涙晴れんともせず
兎もすれば
我も
倶にと
決死の
素振に
油斷ならず
何はしかれ
命ありての
物だねなり
娘の
心落附かすに
若くはなしと
押しては
婚儀を
香央も
従来ねがふ
因なれば深く疑はず、妻のことばに
従きて、
婚儀ととのひ、両家の
親族氏族、
四九鶴の千とせ、亀の
万代をうたひことぶきけり。
ここに一日二日を過すままに、金忠夫婦が
二四四心をとりて、ひたすら嘆きたのみける。其の志の
篤きに
愛でて、豊雄をすすめてつひに
婚儀をとりむすぶ。