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其跡
其跡へ
入違つて
来たのは、
織色の
羽織、
結城博多の五
本手の
衣服に
茶博多の
帯を
締めました人物、年齢四十五六になる
品の
好い
男。客
人と
人との
間に
少しでも
隙間が
出来ると
見ると
歩いてゐるものがすぐ
其跡に
割込んで
河水の
流れと、それに
映る
灯影を
眺めるのである。
一
反以上貝を
掘り
取つて
運び
出してある。
其跡からは
清水が
湧出して、
直ちに
田に
入る
程低くなつて
居る。
此所に
貝塚があらうとは、
今日まで
知らなかつた。