其跡そのあと)” の例文
其跡そのあと入違いれちがつてたのは、織色おりいろ羽織はおり結城博多ゆうきはかたの五本手ほんて衣服きもの茶博多ちやはかたおびめました人物、年齢四十五六になるひんをとこ。客
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひとひととのあひだすこしでも隙間すきま出来できるとるとあるいてゐるものがすぐ其跡そのあと割込わりこんで河水かはみづながれと、それにうつ灯影ほかげながめるのである。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
たん以上いじやうかひつてはこしてある。其跡そのあとからは清水しみづ湧出ゆうしゆつして、たゞちにほどひくくなつてる。此所こゝ貝塚かひづかがあらうとは、今日けふまでらなかつた。
おもへども、れぬ不審ふしんうたがひのくもりて、たゞ一トさほ箪笥たんす引出ひきだしより、柳行李やなぎこりそこはかと調しらべて、もし其跡そのあとゆるかとぐるに、ちり一はしの置塲おきばかわらず
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うらわか戀情れんじゃう其跡そのあとぐべく起出おきいづる。
くして嶺千鳥窪みねちどりくぼ遺跡ゐせきは、各部面かくぶめん大穴おほあな穿うがらした。いまでも其跡そのあと生々なま/\しくのこつてる。
文中「ひき移り」を「しき移り」となし、「ひる前」を「しる前」に書き誤っているのは東京下町言葉のなまりである。竹屋の渡しも今は枕橋まくらばしわたしと共に廃せられて其跡そのあともない。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)