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割込
人と
人との
間に
少しでも
隙間が
出来ると
見ると
歩いてゐるものがすぐ
其跡に
割込んで
河水の
流れと、それに
映る
灯影を
眺めるのである。
「
目も
見えねえのにさうだに
押廻すなえ」
瞽女の
後に
跟いて
座敷の
端まで
割込んで
來た
近所の
爺さんさんがいつた。
若い
衆等は
只
鯱と
鯨の
中へ、
芝海老の
如く、
呑まれぬばかりに
割込んで、
一つ
吻と
呼吸をついて、
橋場、
今戸の
朝煙、
賤ヶ
伏屋の
夕霞、と
煙を
眺めて、ほつねんと
煙草を
喫む。