“強:し” の例文
“強:し”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治59
中里介山34
夏目漱石30
海野十三20
岡本かの子17
“強:し”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語47.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語11.0%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆2.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
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「嘘でかためたにしろ、何にしろ、あれほど義雄さんにいるようにして頼んで置いて、今更そんなことが出来るものだろうか」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その苦い面を見て、市五郎も話しにくいのをいて一通り話してしまうと、伊太夫の苦い面が少しくけかかってきました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
与八としては、いてこれを辞退もしなかったが、そうかといって、永くこの家の奉公人となりきるつもりはありませんでした。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「さっぱり正体がわからないんだ、また、いて尋ねても悪かろうと遠慮もしているが、とにかく、身内の者には相違あるまい」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
寝られないとなれば、この少年は無意味に辛抱して、いてじっとしていることは一刻もできない性質です――鯨が呼んでいる。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そして彼が食物を取ってる間、彼の様子を見守りながらいて笑顔えがおを見せてる妻の眼付も、彼の眼には止まらなかった。
自分の意志を事物にいたがらないことに、事物の成り行きに身を任せ、その成り行きを受け入れ愛することに、あるのだった。
ゆえにこの悪因果を憎んでなお全国をば軍隊組織の社会となさんとするは、これ実に酔えるをにくんで酒をうるの類なり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
文壇の風潮たとへば客観的小説を芸術の上乗じょうじょうなるものとなせばとてひてこれに迎合げいごうする必要はなし。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
いかに自然主義がその理論テオリイいたにしても、自分だけには現在あるがままに隅田川を見よという事は不可能である。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
○何人も折々は断食して胃腸を休息せしむべし。三度の食事時間が来りしとて腹の減らざるにいて食物を摂取するは有害なり。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
で、ると、まるで空々そらぞらしい無理むり元気げんきして、いて高笑たかわらいをしてたり
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これには孔明も辟易へきえきした。いて止めるならば、只今この所において、自ら首を刎ねて亡ぶべし、ともいうのである。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
晴れかかりたるまゆに晴れがたき雲のわだかまりて、弱きわらいいてうれいうちより洩れきたる。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼をいた五六人の友達は、久しぶりだからという口実のもとに、彼を酔わせる事を御馳走ごちそうのように振舞ふるまった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼女の上気したようにほっと赤くなった顔を見た一座のものは、気の毒なためか何だか、いて引きとめようともしなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いくらでも融通が付けば付いただけ助かるといった風の苦しい境遇に置かれた細君の父は、それより以上健三をいなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
K中尉は小心しょうしんものだけに人一倍彼に同情し、K中尉自身の飲まない麦酒ビールを何杯もいずにはいられなかった。
三つの窓 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そうして間もなく、貴方の嵌口令かんこうれいが生んだ、産物であるのを知ると同時に、いて覆い隠そうとした運命的な一人を
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
銀子はちらとそのことを思い出し、あながちにそのためとも言えなかったが、いて加世子を引き留める気にもなれなかった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
醤は、これを見て、ちょっと顔色をかえたが、すぐ思い直したように、せた肩をそびやかせて、いて笑顔をつくった。
いて口を噤んでいた与力の連中もまた談話中の人となって、疲れた足を引きずりながら、息をはずませて気焔を上げていました。
いて言えば、向うが突き当ったというけれども、先方が突き当ったというよりは、神尾の歩きぶりに油断があったのである。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
母もおぼつかない挨拶だと思うような顔つきをしていたがさすがになおいてとも言いかね、やがてややかたぶいた月を見て、
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
若い人々は、自分の先輩から、二十年後には自分がどうなるだろうかをいて見させられるのを、許しがたく思うものである。
父母は唯発案者にして決議者に非ず、之を本人に告げて可否を問い、仮初かりそめにも不同心とあらば決してうるを得ず。
新女大学 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
内心ないしんくるしくるのと、はづかしくところから、餘計よけいひてつて
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「それでもまだ御相談が整わぬようでしたらこれ以上いてお願いもしたくありませんから、また脇の方を探すと申しております」
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
――が、孔明だけは、いて帳内に入ることを乞い、まるで婦人のように悲嘆してのみいる玄徳を仰いで叱るが如くいさめた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
亭主方ていしゅがたは勿論いるのをもって款待かんたいの表示としておって、勧め方が下手へただと客が不満を抱く。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
後になってその話を悪友の一人にしたら「そうか、そんなに面白いものなら、いて禁止するまでのこともないだろう」と言った。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
隣の若者は、調子に乗って、あるいはいて調子をつけるために、大げさに首を振りながら、時々甲高かんだかい調子をあげた。
黄色い日日 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
人に懺悔ざんげい、告白を聞いて裁断し、触るべからざる悲しみに触れて、一層人の心を傷つけるような信仰者がある。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
それをいて、烟脂やにめたかえるはらわたをさらけだして洗うように洗い立てをして見たくもない。
サフラン (新字新仮名) / 森鴎外(著)
就中なかんずく最も厭なものはどんな好な道でもある程度以上にいられてその性質がしだいに嫌悪けんおに変化する時にある。
道楽と職業 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これらは説明するがものはないことごとく自から進んでいられざるに自分の活力を消耗してうれしがる方であります。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれどもその鋭敏に動こうとする眼を、いて動かすまいとつとめる女の態度もまた同時に認めない訳に行かなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども私がいてKを私のうちって来た時には、私の方がよく事理をわきまえていると信じていました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども洋燈を移して其所そこてらすのは、男子の見るべからざるものをいて見るような心持がして気が引けた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いて自分にさえ隠そうとする事を言いあてられると、言いあてられるほど、明白な事実であったかと落胆がっかりする。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分など、今までの生涯しやうがいを振返つて楽しかつた記憶はないが、ひて取り出せば高等学校時代の印象がさうだ。
現代詩 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
そうして、鐘声が単純な怪奇現象から一躍して、事件の主役を演ずることになった。熊城は戦慄を隠していて気勢を張り、
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それを聴いて私は、あまりの腹立たしさに顔が痙攣けいれんするかと思うほどかたくなったのを、いて笑いながら、
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
またあるいは無情な離別をいられたにしても、嫁の体質が平生の生理状態であったなら恐らくなおこの逆上はしなかったであろう。
姑と嫁について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
これは単なる謎々であって、探偵小説ではない。第一その謎を解くキイが、至極フェアとまではゆかない。無理な着想をいる。
軍用鼠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
思うに群犬を率いて興に乗じて、あの山の後ろの方まで遠征して行ったものだろうと、お君はいては心配しませんでした。
また万一の危険の際には、及ばずながら自分が飛び出そうとの決心もあるから、賛成はしないが、いて反対するのでもありません。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いなといへどふる志斐しひのがひがたりこのごろかずてわれひにけり 〔巻三・二三六〕 持統天皇
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
しかしそれは、アントアネットのように喜びのない過度の働きをいられてる魂にとっては、一つの休息となるのであった。
生まれつき勇敢で快活であったから、もう長い前から快活さを失ったあとでもなお、いてうわべだけはそれを装っていた。
何に使われたかは分らぬが、いて言えば、紡織とか染付そめつけとかそういうような工業に一時利用せられたのかとも思われる。
浮世絵を見るにひて画中の人物をして屏風びょうぶの山水または七福神の掛物の如き背景と相混同せしめて機智の妙を誇るあり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
孫策は、しょうに起き直ろうとしたが、人々がいてとめた。わりあいに彼の面色は平静であったし、眸も澄んでいた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このまごついた男は、不面目な心配にいられて、自分の視線をびくびくしたきもちで制御せざるを得なかったからである。
何で孤独がこわいものか、………と、いて自ら危惧きぐの念をあざけって、とう/\あの人のたもとの端を
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もしいて違うところを詮議せんぎしたら赤毛布をかぶってるのとかすりを着ているとの差違ちがいくらいなものだろう。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
番をしていないからとて、めったに、いなくなることもあるまいと、常に心にはかかりながら、いて安心して、せめて同じ土地の
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
妙なもので、此方こっちが貰おうと云うときには容易に呉れぬものだが、要らないと云うと向うがしきりにうる。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これではいけない、と思う一方、木曾自身にも残った所員たちの気持がわかるような気もし、いて注意を与える気にもなれなかった。
宇宙爆撃 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
丸山勇仙も主張はしてみたけれども、他の二人ともに気乗りのしないので、いて下ってみようとの冒険心もないらしい。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうでなければ、最初から、この男の持った病を頭に置いてかからなければならないのに、今日は、あれもこれもとおい申している。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
阿英はそこで勧めて家へ帰そうとした。〓をはじめ皆土寇の来るのを懼れて引返そうとしなかった。阿英はいていった。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
勝負は自分の方が負けだと見てとると、彼女はいて頑張がんばらずに、ただ微笑ほほえみつづけ、気長に好機を待つことにした。
一人の老婢ろうひにすべての世話をさしていたが、老婦は彼の不健康につけこんで、勝手なことばかり彼にいていた。
「相談つて、別に、その必要ないと思うわ。そんなこと、母さんの勝手じやないの。でも、誰からもいられずにでなけれや、いやよ」
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)
と、こう揶揄からかい半分に出て、笑う必要もないこの際に、いて、にんやりと顔をゆがめて見せたものである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とは、いて訊いてみる気がしなかった。そんな緒口いとぐちから、佐渡とのあいだに、武蔵の名が話に出ることは、好ましくない。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いて天地の変移をさがせば、かすみのような星雲が消えて、特に大きな星がひとつ、西に目立っていたことである。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、その安危が、しばしば胸を襲って来るが、いて笑い興じ、努めて平常のごとくよそおい、信長をして少しでも、
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沈痛な嗟嘆さたんのうちに、宵闇ふかい夜は、彼の苦悶に、あきらめをいていた。遂に、ふたたび使者は出なかった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
―――こう云ってみても、矢張十分に説き尽してはいませんけれども、いて譬えればそう云ったようなものでしょうか。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
人に接してひて語り、強ひて笑ひ、強ひて楽まんなど、あな可煩わづらはしと、例のはげしくちびるみて止まず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
上と下で二人の視線がカッチリと出会った時、妙に表情のこわばるのを意識しながら、太田はいて笑顔を作った。
(新字新仮名) / 島木健作(著)
人間の智識が発達すれば昔のようにロマンチックな道徳を人にいても、人は誰も躬行きゅうこうするものではない。
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
弱いが故にいて自分を強く見せようとして、いつでも胸の中を戦慄せんりつさせていねばならぬ不安も知っている。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
いてかゝ妄念まうねん打消うちけさんとてわざ大手おほてつて甲板かんぱんあゆした。
いて言えば、地方的単調……その為には全く気質を異にする人でも、同じような話しか出来ないようなところがある。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
まず信ずること、すなわち信仰が第一であるわけですが、しかし病人にだけ信仰をいて、肝腎の医者その人に信仰がなくてはだめです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
庸三はいよいよ脚光を浴びることになりそうに思えて、つぶされたような心に、いてむちを当てた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
いなと云へどふるしひのがしひがたり、ちかごろ聞かずてわれひにけり」と万葉まんようの歌人がうた通りです。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
各自かくじのどがそれを要求えうきうするのではなくて一しゆ因襲いんしふ彼等かれらにそれをひるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
体育を先にすさて又子供の教育法については、私はもっぱら身体の方を大事にして、幼少の時からいて読書などさせない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
快く席を譲ってくれました。その因由いわれを聞いてみるとお角も、いてそれを遠慮するような女ではありません。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その脅迫をのがるる由もないお雪は、いて手燭を持たせられて、二人の白刃しらはの間にハサまれて、この部屋を出ようとする時分、
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そして彼等はことごとく、働く資材となって、アカグマ国のために、日夜労働をいられているというわけだった。
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それでは誰かすこぶるの好男子をさがしだして、不倫をいるようで悪いが、ヒルミ夫人が恋慕するようにはからってはどうであろうか。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
酔うと、外国人としての勝手違いと愛嬌がいよいよ発揮されるものだから、それを面白いことにして、とっつかまえて、いる者もある。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かく時に応じてその態度たいどを改むることは、いて偽君子ぎくんしの行為といわんよりは、むしろ世上における普通の礼である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「やっぱりこんな生活に入って見るのもよかった」彼はこうつぶやきながらも一度いてまくらを頭につけた。……
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)
と、ひて作つた様な笑顔を見せた。今が今まで我家の将来ゆくすゑでも考へて、胸がつまつてゐたのであらう。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
で、ると、宛然まるで空々そら/″\しい無理むり元氣げんきして、ひて高笑たかわらひをしてたり
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
南洲はいんかいせず、ひて之をつくす、たちま酩酊めいていして嘔吐おうどせきけがす。
弟はひざを進めて、「一躰いったい、それは如何どんな事だった」といて訊ねたので、ついに小使がはなしたそうだが
死体室 (新字新仮名) / 岩村透(著)
大尉もまたさっきでりていたから、もういてこちらから各国の言葉をもって話し掛けてみようともしなかった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
彼が忿おこって帰ってしまわないようにと、彼女は言い訳をしたり、御機嫌を取るためにいて笑顔を作ったりした。
もしいて止めさせれば、丁度水分を失った植物か何かのように、先生の旺盛おうせいな活力も即座に萎微いびしてしまうのであろう。
毛利先生 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「なるほど。それではひてはまをしますまい。あなたはどちらのおかたか、それをうかゞつてきたいのですが。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
仲平はこの発明を胸におさめて、誰にも話さなかったが、その後はいて兄と離れ離れに田畑へ往反おうへんしようとはしなかった。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
これが制裁の厳重で模範的行動を他にいなければやまない旧幕時代であったら、こんな露骨を無遠慮にいう私はきっと社長に叱られます。
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
男は黒き夜を見上げながら、いられたる結婚のふちより、是非に女を救い出さんと思い定めた。かく思い定めて男は眼をずる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)