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強
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し
ふりがな文庫
“
強
(
し
)” の例文
女はそれがまんざらでもないらしくあしらい
乍
(
なが
)
ら
強
(
し
)
いて彼に引き寄せられまいとしてジョーンの左腕にすがって居るようにも見える。
決闘場
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そのうえ
強
(
し
)
いることはあるまいと思っていると、そのけったいな男が、突然きょろきょろと
四方
(
あたり
)
を見廻して、落着かないこと
夥
(
おびただ
)
しい。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
若しお前たちの母上の臨終にあわせなかったら一生恨みに思うだろうとさえ書いてよこしてくれたお前たちの叔父上に
強
(
し
)
いて頼んで
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それで彼は、彼のめちゃな言葉を聞いて
給仕
(
ボーイ
)
が
嘲笑
(
ちょうしょう
)
的な様子をしたのを、ひどく気に病みながらも、
強
(
し
)
いて平気でいようとつとめた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
問題の長持は、おせいが
強
(
し
)
いて貰い受けて、彼女から
密
(
ひそか
)
に古道具屋に売払われた。その長持は今
何人
(
なんぴと
)
の手に納められたことであろう。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
お前が、さも新吉の凄じい権幕に
懼
(
おび
)
えたように、神経の
硬
(
こわ
)
ばった
相形
(
そうぎょう
)
に
強
(
し
)
いて
微笑
(
わらい
)
を見せながら、そういって私の部屋に入って来た。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
いやに儀式ばった
挨拶
(
あいさつ
)
を来る人たちへ
強
(
し
)
いられたり、着たくもない妙な
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい着物を着せられるのであるそれが泣くほど
辛
(
つら
)
かった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
その
逼迫
(
ひっぱく
)
している急場の足もとをつけこみ、故意に
怠
(
なま
)
けてはそれを
揶揄
(
やゆ
)
し、
鞭
(
むち
)
で
強
(
し
)
いられれば俄然不平を鳴らすというふうであった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大「暫くお待ちを……此の身の出世ばかりでなく、
斯
(
か
)
く申す大藏も
聊
(
いさゝ
)
かお屋敷へ対して功がござる、それゆえ
強
(
し
)
いて願いますわけで」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
男は黒き夜を見上げながら、
強
(
し
)
いられたる結婚の
淵
(
ふち
)
より、是非に女を救い出さんと思い定めた。かく思い定めて男は眼を
閉
(
と
)
ずる。——
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
古来より梵語を
強
(
し
)
いて翻訳せずして、陀羅尼は、陀羅尼のままに、真言は、真言のままに、呪は、呪のままによみ伝えてきたのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
彼のうちにまた彼の上に司教からともされた仮借なき光明が、盲目ならんと欲する彼を
強
(
し
)
いて
眩惑
(
げんわく
)
さしたことも、幾度であったろう。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
このたび福原への御幸を
強
(
し
)
い、四方に板垣をめぐらし、入口を一つだけ開けた三間四方の粗末な板屋を作り、ここに法皇を押しこめた。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
其
(
それ
)
が
大雪
(
おほゆき
)
のために
進行
(
しんかう
)
が
續
(
つゞ
)
けられなくなつて、
晩方
(
ばんがた
)
武生驛
(
たけふえき
)
(
越前
(
ゑちぜん
)
)へ
留
(
とま
)
つたのです。
強
(
し
)
ひて
一町場
(
ひとちやうば
)
ぐらゐは
前進
(
ぜんしん
)
出來
(
でき
)
ない
事
(
こと
)
はない。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると博士は、怒ったような顔になって、しばらく
呻
(
うな
)
っていたが、やがて
強
(
し
)
いて自分の気分をほぐすように、広い額をとんとんと叩き
人造人間の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その
間
(
あひだ
)
に
泛
(
うか
)
ぶ
牡蠣舟
(
かきぶね
)
や
苔取
(
のりとり
)
の
小舟
(
こぶね
)
も今は唯
強
(
し
)
ひて江戸の昔を
追回
(
つゐくわい
)
しやうとする人の
眼
(
め
)
にのみ
聊
(
いさゝ
)
かの風趣を覚えさせるばかりである。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
これではいけない、と思う一方、木曾自身にも残った所員たちの気持がわかるような気もし、
強
(
し
)
いて注意を与える気にもなれなかった。
宇宙爆撃
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
人に
矯
(
あま
)
えるような愛、人に
強
(
し
)
いるような愛、人を弱くしようとする愛、人をたかぶらせる愛、それらが私の生活になかったといえるか。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
後になってその話を悪友の一人にしたら「そうか、そんなに面白いものなら、
強
(
し
)
いて禁止するまでのこともないだろう」と言った。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
と
戒
(
いまし
)
めてから私は平常の通り診察にかかったが、彼女は別にお見舞に行こうとする私を
強
(
し
)
いて止めようとする気色も見せなかった。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
眉山は
強
(
し
)
いて一葉の写真を手に入れたのちに、他から出た
噂
(
うわさ
)
のようにして、眉山一葉結婚云々と
言触
(
いいふら
)
したのでうとまれてしまった。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「相談つて、別に、その必要ないと思うわ。そんなこと、母さんの勝手じやないの。でも、誰からも
強
(
し
)
いられずにでなけれや、いやよ」
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
いずれにしてもそう感ずることが、即ち若返りの徴でなくてはならない。鶴見は
強
(
し
)
いてそう思ってみた。それがまた彼を力づけた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「それでもまだ御相談が整わぬようでしたらこれ以上
強
(
し
)
いてお願いもしたくありませんから、また脇の方を探すと申しております」
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
思い切りていえば、己を以て人を
強
(
し
)
いしのみ、
而
(
しこう
)
して他をしてその強いらるるを覚えしめざるは、彼が血性と献身的精神とによるのみ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
しかしこれが東京辺の風習だと親が息子に嫁を
強
(
し
)
い付ける事も
寡
(
すくな
)
いけれども
郷里
(
くに
)
の風では全く親の一量見で息子の嫁を
極
(
き
)
めるのだ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それ以上
強
(
し
)
いもしなかったが、庸三はそれを
機会
(
きっかけ
)
に、逗子事件のその後の進展について知りたいような好奇心もいくらか
唆
(
そそ
)
られた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
我強
(
がづよ
)
くも貫一のなほ
言
(
ものい
)
はんとはせざるに、
漸
(
やうや
)
く
怺
(
こら
)
へかねたる鴫沢の翁はやにはに椅子を起ちて、
強
(
し
)
ひてもその顔見んと歩み寄れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
さあそこでその
頃
(
ころ
)
は、牛でも馬でも、もうみんな、殺される前の日には、主人から無理に
強
(
し
)
いられて、証文にペタリと印を
押
(
お
)
したもんだ。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
強
(
し
)
いてその醜さを見ようとする者は、茶室の床の間へ百燭光の電燈を向けるのと同じく、そこにある美を
自
(
みずか
)
ら追い遣ってしまうのである。
陰翳礼讃
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そんな兵隊の並んだやうな町は美しくは無い、
強
(
し
)
ひて西洋風にしたいなら、
寧
(
むし
)
ろ反対に軒の高さどころか、あらゆる建築の様式を
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
異
(
かは
)
つた土地で知るものは無し、
強
(
し
)
ひて
是方
(
こちら
)
から言ふ必要もなし、といつたやうな訳で、
終
(
しまひ
)
には慣れて、少年の丑松は一番早く昔を忘れた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
強
(
し
)
いて手向かいすれば斬ってしまえと、父からかねて云い付けられているので、長三郎は一寸も
退
(
ひ
)
かなかった。彼は迫るように又訊いた。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此御歌は人の
強
(
し
)
ひたる物ほしみして身を亡すに
譬
(
たとへ
)
たまへるにや。此皇子の御歌にはさる心なるも又見ゆ。大友大津の皇子たちの御事などを
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
同時に、私は、今日の私の言葉が、君らを強制して、
盲従
(
もうじゅう
)
を
強
(
し
)
いるような結果にならないことを、心から
祈
(
いの
)
らずにはいられない。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
アンドレイ、エヒミチは
強
(
し
)
ひて
心
(
こゝろ
)
を
落着
(
おちつ
)
けて、
何
(
なん
)
の、
月
(
つき
)
も、
監獄
(
かんごく
)
も
其
(
そ
)
れが
奈何
(
どう
)
なのだ、
壯健
(
さうけん
)
な
者
(
もの
)
も
勳章
(
くんしやう
)
を
着
(
つ
)
けてゐるではないか。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そして或る他の別な詩人等は、
強
(
し
)
いて言語に
拳骨
(
げんこつ
)
を入れ、
田舎
(
いなか
)
政治家の演説みたいに、粗野ながさつな音声で
呶鳴
(
どな
)
り立てている。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
断ればなお付け込んで
強
(
し
)
いるものですから
診
(
み
)
てやりましたが、もうその辺ではセラのお医者ということは非常な名声になって居りまして
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
然
(
しか
)
し
彼
(
かれ
)
が
自分
(
じぶん
)
から
甚
(
はなは
)
だしく
悔
(
く
)
いつゝあるらしいのを
心
(
こゝろ
)
に
確
(
たしか
)
めて
強
(
し
)
ひては
追求
(
つゐきう
)
しようといふ
念慮
(
ねんりよ
)
も
起
(
おこ
)
し
得
(
え
)
なかつた。
勘次
(
かんじ
)
は
只
(
たゞ
)
不便
(
ふびん
)
に
見
(
み
)
えた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
強
(
し
)
いて説明を附けようとすれば、ドストエフスキイの
悪霊
(
あくりょう
)
の主人公であるところのスタブローギンのある行動の話を持ち出さねばなるまい。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
律義者
(
りちぎもの
)
の主翁は
己
(
じぶん
)
の家の客を恐ろしい処へやって、もし万一のことがあっては
旅籠
(
はたご
)
としての
瑕
(
きず
)
にもなると思ったので
強
(
し
)
いて止めようとした。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
楽と
動
(
アクシヨン
)
とは、到底整合を求むべきものにあらず。
強
(
し
)
いて之を求むれば、劇を変じて舞蹈となすべきのみ。我劇は往々にして、此弊に陥れり。
劇詩の前途如何
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
が、早くも少女時代に飛び出して結婚している。もちろん、相手は貴族でもなんでもない。
強
(
し
)
いていえば、兵営の貴族だった。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
神は光明の道を以て世界を造りかつ導き給う、しかるに
強
(
し
)
いて心中の懐疑を以てその道を暗くするものは誰ぞというのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「否、立派な健康体です。
強
(
し
)
いて名をつければ
仮病
(
けびょう
)
ですな。これは学生時代からの
痼疾
(
こしつ
)
だから、もう
快癒
(
かいゆ
)
の見込はありません」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一つの曲目が終わって皆が拍手をするとき私は癖で大抵の場合じっとしているのだったが、この夜はことに
強
(
し
)
いられたように凝然としていた。
器楽的幻覚
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
痛々しいやうな氣がして親達も祝言も
強
(
し
)
ひられず、いづれ來年にでもなつたらと、彦太郎夫婦はそれをもどかしく樂しく眺めてゐるのでした。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
立上るや否やその身体つきには何か
強
(
し
)
たゝかなごついものが現れ、稍前屈みに、それと共に前方を見据ゑるやうな恰好になつて帰つて行つた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
それをも
強
(
し
)
いて振り落して全く新しい天地を見出そうと
勉
(
つと
)
めているのである。その努力の効果は決して
仇
(
あだ
)
でない事は最近の作品が証明している。
津田青楓君の画と南画の芸術的価値
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
母もおぼつかない挨拶だと思うような顔つきをしていたがさすがになお
強
(
し
)
いてとも言いかね、やがてやや
傾
(
かたぶ
)
いた月を見て
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
“強”の解説
漢姓
強(きょう)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
強
常用漢字
小2
部首:⼸
11画
“強”を含む語句
強請
強情
強者
強面
強飯
強盗
強健
手強
強力
強奪
強直
勉強
強敵
強雨
気強
頑強
強張
強気
強烈
心強
...