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然るに『罪と罰』を読んだ時、あたかも曠野こうやに落雷に会うて眼くらめき耳いたる如き、今までにかつて覚えない甚深の感動を与えられた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
今われわれの喚問コールに最初に答えたこの愛すべき先覚者、国民全体の触覚ともいうべき聡明叡知そうめいえいちなる青年の哀願に、いたる耳を向けるということは
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ひた詩人からの便りを机の上に置き、しぐれがちな初冬の夜の空氣も身にしみる電燈のかげに、二首の歌を繰り返し讀んで見た時は思はず胸が迫つた。
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
めしいた者は見ることが出来、あしなえた者は歩くことが出来、癩病やめる者は潔まることが出来、いた者は聞くことが出来、死んだ者は復活よみがえることが出来、貧者は福音を聞かされる。
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それにその鏡や鸚鵡が参りましてからは、王様の御眼を眩まし御耳をいさせて……
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
雷鳴に、ほとんいなんとした人々の耳に、驚破すわや、天地一つの声。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ある時は年老い耳もひにけるベートーベンを聞きて泣きけり
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
かほ笑ひ照る日に群るる兵見ればけたるがごとし耳ひにけり
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雷鳴らいめいに、ほとんひなむとした人々ひと/″\みゝに、驚破すはや、天地てんちひとつのこゑ
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)