“洋袴”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ズボン66.0%
ずぼん11.3%
づぼん5.7%
スカアト3.8%
パンタロン3.8%
スラックス3.8%
ヅボン1.9%
スカア卜1.9%
スカート1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ことに洋袴ズボンは薄茶色に竪溝たてみぞの通った調馬師でなければ穿かないものであった。しかし当時の彼はそれを着て得意に手を引かれて歩いた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
市郎は衣兜かくし紙入かみいれから紙幣を探り出して、黙って男の手に渡すと、彼は鳥渡ちょっと頂いてすぐに我が洋袴ずぼん衣兜かくし捻込ねじこんでしまった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「あの太陽の色を御覧なさい。」博士は夫人の言葉も耳にらぬらしく、水夫ふなのりのやうに両手を洋袴づぼんの隠しに突込みながら言つた。
着物——上衣と洋袴スカアトに別れたる高級の紺サアジ。スカアトは下が朝顔形に開いて、上着の両傍に各一個のポケット。
土から手が (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
白髪しろが頭にふちの垂れた黒い帽をて紅い毛糸のぶくぶくした襯衣しやつに汚れた青黒い天鵞絨ビロウド洋袴パンタロン穿き、大きな木靴をひきずつて
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ほんの着換えと下着一、二枚、まさかの時の用意に、男装用の洋袴スラックスくらいのものであった。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
ある朝の事、軍曹は洋袴ヅボンの隠しに両手をし込んだ儘、妙に悄気しよげた顔をして入つて来た。それを見た俘虜の一にんが訊いた。
必ずひざまずいて昇らなければならないことになっているのですが、あの、急な二十八段を膝で上るのですから、洋袴スカア卜の短い、この頃の若い女などは、随分余計な苦心をしなければなりません。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
赤や青の原色の洋袴スカートをはいた跣足はだしの女たちが、何人も何人も、頭へぶりき張りの戸板を載せて続いていた。魚売りだ。元帥のような八字ひげを生やした女が多い。見つけた工夫達は黙っていなかった。