洋袴パンタロン)” の例文
白髪しろが頭にふちの垂れた黒い帽をて紅い毛糸のぶくぶくした襯衣しやつに汚れた青黒い天鵞絨ビロウド洋袴パンタロン穿き、大きな木靴をひきずつて
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
此処ここの定めは注文した酒のさかづきと引換に銭を払ふので、洋袴パンタロン衣嚢かくしから取出す銅銭の音が断えず狭い室の話声はなしごゑに混つて響くのもほかちがつて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
女も手提の金色きんいろサツクから白粉入を出しておれの使つて居る掛鏡かけかがみを覗き込みながら化粧をしなほした。おれはトランクの底から百フランの紙幣を三枚抜き出してそつと洋袴パンタロンの隠しへ捻ぢ込んだ。
素描 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)