“ズボン”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:ずぼん
語句割合
洋袴83.3%
筒服4.8%
穿袴2.4%
窄袴2.4%
細袴2.4%
褌子2.4%
軍袴2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
風のかげんか、省線の電車の音が轟々がうがうと耳につく。蒲団の上にぬぎつぱなしの二人の洋袴ズボンが、人間よりもかへつて生々とみだらにみえた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
看護員はやや俯向うつむきつ。手なる鉛筆のさきめて、筒服ズボンの膝に落書しながら
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
片隅かたすみ外套がいとうを脱捨つれば、彼は黒綾くろあやのモオニングのあたらしからぬに、濃納戸地こいなんどじ黒縞くろじま穿袴ズボンゆたかなるを着けて、きよらならぬ護謨ゴムのカラ、カフ、鼠色ねずみいろ紋繻子もんじゆす頸飾えりかざりしたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二十年も着古した様で、何色とも云へなくなつた洋服の、上衣の釦が二つ迄取れて居て、窄袴ズボンの膝は、両方共、不手際に丸く黒羅紗のつぎが当ててあつた。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
廣間二つに樂の群を居らせて、客の舞踏のにはとしたり。舞ふ人の中にベルナルドオありき。金絲もて飾りたる緋羅紗らしやの上衣、白き細袴ズボン、皆發育好き身形みなりかなひたり。
第一腹がって蒲団も帽子も上衣うわぎもないのだ。今度棉入れを売ってしまうと、褌子ズボンは残っているが、こればかりは脱ぐわけにはかない。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
少尉の軍袴ズボンの膝のところは、血に染んでいた。兵士は、左右によけて、そこを通りぬけた。火薬の臭いが、永井の鼻にぷんときた。
パルチザン・ウォルコフ (新字新仮名) / 黒島伝治(著)