“轟々”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ごうごう87.3%
ぐわう/\4.0%
がう/\2.4%
ごう/\2.4%
ごろごろ1.6%
ぐわうぐわう0.8%
がうがう0.8%
どろどろ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
街を長く走っている電線に、無数の感情がこんがらかってきしんで行く気味の悪い響が、この人通りの少い裏通りに轟々ごうごうと響いていた。
(新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
樹木の茂つた、深く穿たれた渓流の潺湲が、やがて橋欄けうらんの間から微にそれと指さゝれて見えた。汽車は轟々ぐわう/\として鉄橋をわたつて行つた。
水源を思ふ (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
今しもやみいて轟々がう/\へりきたれるは、新宿よりか両国よりか、一見空車からくるまかと思はるゝうちより、ヤガて降り来れる二個の黒影、合々傘に行き過ぐるを
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
轟々ごう/\と冷酷な豪胆な呻りを挙げて、真暗なトンネルをくゞったり、長い長い剣難けんのんな鉄橋を渡ったり、川を越え野をまたぎ森をめぐりながら、一刻の猶豫もなく走って行く。
恐怖 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼処かしこに置捨てた屋台車が、ぬしを追うて自らきしるかと、ひびきが地をうねって、轟々ごろごろらいの音。絵の藤も風にさっと黒い。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
冬枯れのびついた田畑や煙突だけになつた、瓦礫ぐわれきの工場地帯や、山や川や海が、轟々ぐわうぐわうと汽車の車輪に刻まれて後へ走り去つて行く。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
風のかげんか、省線の電車の音が轟々がうがうと耳につく。蒲団の上にぬぎつぱなしの二人の洋袴ズボンが、人間よりもかへつて生々とみだらにみえた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
音羽おとわの九丁目から山吹町やまぶきちょう街路とおりを歩いて来ると、夕暮くれを急ぐ多勢の人の足音、車の響きがかっとなった頭を、その上にものぼせ上らすように轟々どろどろとどよみをあげている。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)