轟々ぐわう/\)” の例文
樹木の茂つた、深く穿たれた渓流の潺湲が、やがて橋欄けうらんの間から微にそれと指さゝれて見えた。汽車は轟々ぐわう/\として鉄橋をわたつて行つた。
水源を思ふ (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
三冬さんとうちつすれば、天狗てんぐおそろし。北海ほくかい荒磯あらいそ金石かないは大野おほのはま轟々ぐわう/\りとゞろくおと夜毎よごとふすまひゞく。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ほのほなゝめにさうしてかたむきつゝ、群集ぐんしふみゝには疾風しつぷうひゞきうばつて轟々ぐわう/\つづいた。おと疾風しつぷう抵抗ていこうしてちからたくましくしようとするほのほふか木材もくざい心部しんぶにまで確乎しつかつめけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
行く手の木立の間から幾箇もの列車の箱が轟々ぐわう/\と通り過ぎ、もく/\と煙のかたまりが梢の上にたなびいてをるのを私は間近に見てゐて、そこの停車場を目指す自身の足の運びにも気づかず
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
汽車きしや轟々ぐわう/\と、たゞたきかれたごとくにひゞく。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)