轟々ごう/\)” の例文
轟々ごう/\と冷酷な豪胆な呻りを挙げて、真暗なトンネルをくゞったり、長い長い剣難けんのんな鉄橋を渡ったり、川を越え野をまたぎ森をめぐりながら、一刻の猶豫もなく走って行く。
恐怖 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
こくは、草木くさきねむる、一時いちじ二時にじとのあひだ談話だんわ暫時しばし途絶とだえたとき、ふと、みゝすますと、何處いづこともなく轟々ごう/\と、あだか遠雷えんらいとゞろくがごとひゞき同時どうじ戸外こぐわいでは、猛犬稻妻まうけんいなづまがけたゝましく吠立ほえたてるので
かと思うと、アワヤ心臓の血が一時に凝結するような気がして、一生懸命肋骨を抑えた。私を乗せた夜更けの電車が非常な活力で轟々ごう/\と走って行くのが、如何にも情なく、意地悪く感ぜられた。
The Affair of Two Watches (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)