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肢
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し
ふりがな文庫
“
肢
(
し
)” の例文
乳牛はすこしがたがた四
肢
(
し
)
を動かしたが、飼い葉をえて一
心
(
しん
)
に
食
(
く
)
いはじめる。花前は、いささか
戒心
(
かいしん
)
の
態度
(
たいど
)
をとってしぼりはじめた。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ふっくら
豊頬
(
ほうきょう
)
な面だちであるが、やはり父義朝に似て、
長面
(
ながおもて
)
のほうであった。一体に源家の人々は、四
肢
(
し
)
逞
(
たくま
)
しく、
尖
(
とが
)
り骨で顔が長い。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
偉大なゲーテといえども、いかに努力しても
甲斐
(
かい
)
がない。魂の四
肢
(
し
)
は
萎縮
(
いしゅく
)
している、主要な機能は富に滅ぼされてなくなっている。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一
塊
(
くわい
)
のボロ
屑
(
くづ
)
のやうに欄干に
蹲
(
うづ
)
くまつて、最早息があらうとも覺えず、生命の最後の
痙攣
(
けいれん
)
が、僅かにその四
肢
(
し
)
に殘るだけです。
銭形平次捕物控:166 花見の果て
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
だが、フハンはいっそうはげしく戸をひっかき、はてはまりのように四
肢
(
し
)
をぶっつけて、ほえたてた。とごう然たる一発の銃声がひびいた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
▼ もっと見る
妻
(
つま
)
はお
光
(
みつ
)
と
云
(
い
)
つて、
今歳
(
ことし
)
二十になる。
何
(
なに
)
かと
云
(
い
)
ふものゝ、
綺緻
(
きりやう
)
は
先
(
まづ
)
不足
(
ふそく
)
のない
方
(
はう
)
で、
体
(
からだ
)
の
発育
(
はついく
)
も
申分
(
まをしぶん
)
なく、
胴
(
どう
)
や四
肢
(
し
)
の
釣合
(
つりあひ
)
も
幾
(
ほとん
)
ど
理想
(
りさう
)
に
近
(
ちか
)
い。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
葉子はほとんどその死の姿を見るように思った。頭の中がシーンと冷え通って
冴
(
さ
)
えきった寒さがぞくぞくと四
肢
(
し
)
を震わした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
若
(
も
)
し
疑
(
うたが
)
うて
立戻
(
たちもど
)
り、
予
(
わし
)
が
所行
(
しょぎゃう
)
を
窺
(
うかゝ
)
ひなど
致
(
いた
)
さうなら、
天
(
てん
)
も
照覽
(
せうらん
)
あれ、
汝
(
おのれ
)
が四
肢
(
し
)
五
體
(
たい
)
を
寸々
(
すん/″\
)
に
切裂
(
きりさ
)
き、
飽
(
あ
)
くことを
知
(
し
)
らぬ
此
(
この
)
墓
(
はか
)
を
肥
(
こや
)
すべく
撒
(
ま
)
き
散
(
ち
)
らさうぞよ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
四
肢
(
し
)
を
弛
(
ゆる
)
めて
地
(
つち
)
に
領伏
(
ひれふ
)
し、身動きもせでしばらく横たわりたりしが、ようよう
枕
(
まくら
)
を返して、がっくりと
頭
(
かしら
)
を
俛
(
た
)
れ、やがて草の根を力におぼつかなくも立ち
起
(
あ
)
がりて
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
も
徹
(
とほ
)
れと
脇腹
(
わきばら
)
へ
愚刺
(
ぐさ
)
と計りに
差貫
(
さしつらぬ
)
けば何ぞ
溜
(
たま
)
らん庄兵衞は
呀
(
あつ
)
と叫も口の中押へ附られ聲出ず苦き儘に
悶
(
もがき
)
けるをお光は上へ
跨
(
またが
)
りて思ひの儘にゑぐりければ七
轉
(
てん
)
八
倒
(
たう
)
四
肢
(
し
)
を
振
(
ふるは
)
し
虚空
(
こくう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
特に強い印象は、
重錘揚
(
じゅうすいあげ
)
選手みたいに
畸形
(
きけい
)
的な発達をした上体と、不気味なくらい大きな顔と四
肢
(
し
)
の
掌
(
ひら
)
で、肩の廻りには団々たる肉塊が、
駱駝
(
らくだ
)
の
背瘤
(
せこぶ
)
のように幾つも盛り上っていた。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
早く、早く、まるで私は熱に浮かされたやうに行つた。内部から四
肢
(
し
)
に擴がつた頼りなさが私を襲つて、私は倒れて了つた。暫くの間濡れた
芝草
(
しばくさ
)
の上に顏をつけたまゝ、私は地上に横はつてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
我が
肢
(
し
)
は甘くたるみて
滅亡の喜び
(新字旧仮名)
/
生田春月
(著)
四
肢
(
し
)
をもがいた。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
怺
(
こら
)
えんとしても彼の四
肢
(
し
)
は、髪の根のしまるような
忿怒
(
ふんぬ
)
のために、身ぶるいを刻んで手の痛くなるまで鉄格子の下に握りしめている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
砂漠
(
さばく
)
中の狂風だった。その風はどこから来たのか。その狂妄はなんであったか。彼の四
肢
(
し
)
と頭脳とをねじ曲げるそれらの欲望は、いかなる
深淵
(
しんえん
)
から出て来たのか。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
もうなんの反抗もなく、まなじりを吊りあげたまま、お綱は次郎の腕にグウと
反
(
そ
)
って、だんだんにその力も四
肢
(
し
)
から抜けていった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
選挙人の意を迎えるためには祖国の四
肢
(
し
)
を断つかもしれなかった。彼らに欠けてるのは知力ではなかった。彼らはなすべきことをよく知っていた。しかしそれを少しもなさなかった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
右のこわきに、
咲耶子
(
さくやこ
)
のからだを引っかかえていた。
不意
(
ふい
)
に、
当身
(
あてみ
)
をうけたのであろう、
彼女
(
かのじょ
)
は力のない四
肢
(
し
)
をグッタリとのばしていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その狂風は、あるいは吹きつのって吠えたて、あるいは強大な意力にくじかれて突然やんだ。その巨大な魂は、彼のうちにはいり込み、彼の四
肢
(
し
)
や魂を伸長させて、非常な大きさになした。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
のびのびと横たわっている大きな四
肢
(
し
)
には、登子の
裲襠
(
うちかけ
)
が掛けてある。——ふと、
鼾声
(
いびき
)
がやんだのは、少しは酔いがさめかけているのかもしれない。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
強壮な四
肢
(
し
)
をもってる彼の身体は、
巌
(
いわお
)
のごとく水の上に浮き出している。その左の肩には、か弱い重い小児がのっている。聖クリストフは引き抜いてきた松の木に身をささえる。その木は
撓
(
たわ
)
む。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ひぇッっ、と天井の辺で
潘
(
はん
)
金蓮の四
肢
(
し
)
と
裾
(
すそ
)
が蝶の舞いを描いた。武松の両手に高々と差し上げられていたからである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殺戮
(
さつりく
)
の天使の猛然たる
飛翔
(
ひしょう
)
は、三度の稲妻に翼を縛られて、ぴたりと止まる。周囲ではまだすべてが
戦
(
おのの
)
いている。酔える眼は
眩
(
くら
)
んでいる。心臓は鼓動し、呼吸は止まり、四
肢
(
し
)
は
痲痺
(
まひ
)
している……。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
人をのろわば
穴
(
あな
)
二つ、あの
猛禽
(
もうきん
)
の
鎖
(
くさり
)
をきった三人は、立ちどころに、自分がはなした
鷲
(
わし
)
の
爪
(
つめ
)
につかまれて、四
肢
(
し
)
を
裂
(
さ
)
かれてしまったのにそういない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
クリストフは時として、幼年の無意識的な残忍さをもって、不幸な昆虫の四
肢
(
し
)
をもぎ取ることさえあった、しかもそれが苦しがることは少しも考えずに——そのおかしな
踠
(
もが
)
きを見る楽しみのために。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
なんともいえぬおそろしさだが、またなんともいえぬ
壮快
(
そうかい
)
な気分と、
必死
(
ひっし
)
の力が五
肢
(
し
)
にも
刃
(
やいば
)
にもみなぎってくる——
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白きは浪裏白跳の張順の四
肢
(
し
)
か。黒きはさすが弱りぬいた
李逵
(
りき
)
のもがきか。
瑤々
(
ようよう
)
たる
波騒
(
なみざ
)
いのかすかに立つところ、見ゆるが如くまた見えぬようでもある。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
うしろから、一刀斎に云われるまで、典膳の四
肢
(
し
)
は、土から生えたようになっていた。しかし、
敢
(
あえ
)
なき兄弟子のすがたを見ると、止めまでは刺し得なかった。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
骨ばった老人の四
肢
(
し
)
、誰? と疑ってみるまでもなくお綱はつづけざまに名を呼んで、腕の中へ抱きあげた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その片手には、柱の隠し穴から取り出したさんらんたるものをつかんでいる。アッ、お前は悲鳴をあげて四
肢
(
し
)
を突っ張る、同時に母は息をひきとりそうになった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すべて家康の四
肢
(
し
)
となり、家康と通じる者の
脈
(
みゃく
)
を断って、その後、
爼上
(
そじょう
)
に料理すべき
大魚
(
たいぎょ
)
を
観
(
み
)
ながら——彼は網を南へ打ち、北へ打ち、おもむろに重点のものを
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが、岩盤は四
肢
(
し
)
を伸ばして宙へ持ち上げられていた。燕青が担ぎ上げたのだ。信じられぬような怪力である。ダ、ダ、ダッと燕青の足が床を鳴らして走った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なお、黒髪に埋めてやまぬ
羞恥
(
しゅうち
)
と硬い四
肢
(
し
)
とをもてあまして、閨のうちへ抱え入れた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四
肢
(
し
)
にみなぎっている満々たる闘志は、夜もすがら彼を悪鬼のように歩かせた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
豹
(
ひょう
)
の四
肢
(
し
)
のごとく、伸縮の自由な孫兵衛の腕ぶしには、一種の
粘力
(
ねんりょく
)
があってなかなかあなどり難い。ことには弦之丞がすでに散々な疲労をおぼえているに反して、その気息には新しい力がある。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肢
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
“肢”を含む語句
四肢
前肢
肢体
後肢
下肢
肢態
両肢
二肢
手肢
肢體
肢節
四肢胸腰
容貌肢体
右肢
右上肢
片肢
翼肢竜
其肢体
肢体信号
肢勢
...