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布
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し
ふりがな文庫
“
布
(
し
)” の例文
しかし、そこには前田弥平氏の専制的な独裁が
布
(
し
)
かれていた。彼の一存で、その工場の待遇制度はどんなにでも変えることができた。
仮装観桜会
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
嫡男信忠(年十九)は河尻秀隆を従えて、矢部村勅養寺附近の天神山に、次男北畠信雄は稲葉一徹属して御堂山に、夫々陣を
布
(
し
)
いた。
長篠合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と、
対峙
(
たいじ
)
の陣を
布
(
し
)
いた上、こう外交折衝に努めたので、呉もついに、火事泥的な手を出し得ずに、やがて一応、国境から兵を退いた。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土佐長岡郡の奥に
本山
(
もとやま
)
と云う処がある。今は町制を
布
(
し
)
いて町と云うことになっているが、昔は本山郷と云って一地方をなしていた。
山の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その頃は江戸が東京に変り、廃刀令が
布
(
し
)
かれ、
丁髷
(
ちょんまげ
)
が無くなり始めて、物皆新時代の歯車の上に、活溌に回転し始めた時分のことです。
奇談クラブ〔戦後版〕:07 観音様の頬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
岩ぶすまという
地衣
(
こけ
)
が
布
(
し
)
いているばかり、この方面から常念を望むと、前の
婉容
(
えんよう
)
はなくなって、見上げるように急峻に尖っている。
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
この際は断然武政を
布
(
し
)
いて国家の独立を
全
(
まっと
)
うするためには外国と一戦するの覚悟を取る、それが国を興すの早道だというのである。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
五月といへど、かういふどんよりとした日には、老いた
膚
(
はだへ
)
がほろゝ寒いと見えて、汽車で
布
(
し
)
いた膝掛に脊中を包んでつくねんとしてゐる。
胡瓜の種
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
あるいはまた名高い
給孤独長者
(
きゅうこどくちょうじゃ
)
も
祇園精舎
(
ぎおんしょうじゃ
)
を造るために
祇陀童子
(
ぎだどうじ
)
の
園苑
(
えんえん
)
を買った時には
黄金
(
おうごん
)
を地に
布
(
し
)
いたと言うことだけである。
尼提
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
迂濶
(
うかつ
)
な根性にも慈悲の浸み透れば感涙とどめあえぬ十兵衛、だんだんと赤土のしっとりとしたるところ、飛石の
画趣
(
えごころ
)
に
布
(
し
)
かれあるところ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
腐りかけた門のあたりは、二、三本
繁
(
しげ
)
った
桐
(
きり
)
の枝葉が暗かったが、門内には
鋪石
(
しきいし
)
など
布
(
し
)
かって、建物は往来からはかなり奥の方にあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
然るに各藩の執政者にして
杞憂
(
きいう
)
ある者は法を厳にし、戒を
布
(
し
)
きて、以て風俗の狂瀾を
遮
(
さへ
)
ぎり止めんと試みけれども、遂に
如何
(
いかん
)
ともする能はず。
粋を論じて「伽羅枕」に及ぶ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
……かくてその日の
昏
(
く
)
れがたには
外廓
(
がいかく
)
の諸塁がことごとく陥落し、まったくはだか城となった高天神をとり囲んで武田軍は包囲の陣を
布
(
し
)
いた。
石ころ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼
(
か
)
の横井小楠が、「堯舜孔子の道を明らかにし、西洋器械の術を尽す、何ぞ富国に止まらん、何ぞ強兵に止まらん、大義を四海に
布
(
し
)
かんのみ」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
家のまわりには油を
布
(
し
)
いた傘のまだ
乾
(
かわ
)
かないのが幾本となく
干
(
ほ
)
しつらねてある。清三は車をとどめて、役場のあるところをこの中爺にたずねた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
まだ縁の下の
鳥屋
(
とや
)
の出来ない内に寝かしたことのある、台所の土間の上の棚が
藁
(
わら
)
を
布
(
し
)
いたままになっていた。白い牝鶏はその上に上がっている。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
永い漂泊の旅にもかかわらず、彼はついに大道を
布
(
し
)
くべき一人の名君をも見出さなかった。五十年の労苦を共にした夫人上官氏にも先立たれた。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
川が生意気だって橋をかける、山が気に喰わんと云って
隧道
(
トンネル
)
を堀る。交通が面倒だと云って鉄道を
布
(
し
)
く。それで永久満足が出来るものじゃない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今まで居住者のあった村は古くからの字・小字も多かったろうに、それをドシドシと改めて行って、
地押
(
じおし
)
の結果について新たに条里の制を
布
(
し
)
いた。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼らは一列に、放陣を
布
(
し
)
く形で歩いていた。明滅する先方の光りはイシカリ河口に起伏する砂ッ原にかかったらしい。その灯も一つではなかった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
たとえ池上は解放令をわたくしの上に
布
(
し
)
いたにもせよ、まだ/\長い時間や遠出の外出をわたくしに許しませんでした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
新しい法律を
布
(
し
)
いては、その行為によって、従来世人から神聖視されてきた父祖伝来の古い法令を破棄した、その一事だけでも立派な犯罪人です。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
栗の下には葵の葉が二三枚
布
(
し
)
いてあつた。その日の
戦
(
いくさ
)
は無事に徳川家の勝となつたので、清康は記念に葵の葉を紋所に使ふやうになつたといふのだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一刻も自分を忘るゝ事の出來ぬ自己主義の、
延
(
ひ
)
いて其處から出た現實主義物質主義に凝り固まつてゐる阿米利加に禁酒令の
布
(
し
)
かれたは故ある哉である。
樹木とその葉:16 酒の讃と苦笑
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
一国の
門閥
(
もんばつ
)
、先代があまねく徳を
布
(
し
)
いた上に、経済の道
宜
(
よろ
)
しきを得たので、今も内福の聞えの高い、子爵
千破矢
(
ちはや
)
家の当主、すなわち若君
滝太郎
(
たきたろう
)
である。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お言葉じゃございますが、この馬琴は、戯作を、楽しみ半分ということではなしに、背水の陣を
布
(
し
)
いて、やって見たいと思って居りますんで。……」
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
過ぎた事は何ともならぬ、これから古法通りにしましょうと
詫
(
わ
)
び入りて、厩に赤銅板を
布
(
し
)
き太子に蓋、王の長女に払子、大夫人に食物を奉ぜしめると
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
先づ其の細君の尻に
布
(
し
)
かれるといふ奴だね。此奴は大分當つてるよ。僕は平生、平氣で尻に布かれてるよ。全くだよ。尤も餘り重いお尻でも無いがね。
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
遊廓は浅草
田圃
(
たんぼ
)
へ移され、新吉原となり、芝居だけ元の土地に残っていたが、ずっと
下
(
くだ
)
って
天保
(
てんぽう
)
十三年に、勤倹令を
布
(
し
)
いた幕府の老中、水野
越前守
(
えちぜんのかみ
)
が
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
これ実に仏陀及び祖師に対し我々が
黙視
(
もくし
)
するに
忍
(
しの
)
びないことである。どうかインドの国へ仏教を
布
(
し
)
きたいものである
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
爆発物取締規則とともに華族令が
布
(
し
)
かれ、公侯伯子男と雛壇づけられた中へ、成上り官僚の重信朝臣や
博文
(
ひろぶみ
)
朝臣が頑丈な肩幅を割りこんできたかわりには
武鑑譜
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
明治中興大学少助教ニ
擢
(
ぬき
)
ンデラレ、山梨県徽典館ニ掌教タリ。旧ヲ改メ新ヲ
布
(
し
)
クヤ群議沸騰ス。
鞠躬
(
きっきゅう
)
緒ニ就ク。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
もっとも徴兵令はその以前に発布されて新しい規則が
布
(
し
)
かれていたのであろうが、新聞といっても『
読売
(
よみうり
)
』が半紙位のものであるかないかというような時代
幕末維新懐古談:22 徴兵適齢のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
およそ
政
(
まつりごと
)
を行い
教
(
おしえ
)
を
布
(
し
)
く、まず信を人に得るにあり。信ぜられてしかるのちに令
行
(
おこなわ
)
れ、教立つ。いまだ信ぜられずんば、令して行れず、
戒
(
いまし
)
め守られざるなり。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
日本にも幾人かのドイツ人をまねいて、ドイツ風の憲法行政法を、日本に
布
(
し
)
くことを準備していたのである。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
配り方はそれそれ違つてゐて、二十ヱルストを隔てて
布
(
し
)
いてあつたり、五十ヱルストを隔てて布いてあつたりするから、いつ出食はすか分からないのですね。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
柳さくらをこきまぜて、都は花のやよい空、
錦繍
(
きんしゅう
)
を
布
(
し
)
き、らんまん
馥郁
(
ふくいく
)
として
莽蒼
(
ぼうそう
)
四野も
香国
(
こうこく
)
芳塘
(
ほうとう
)
ならずというところなし。
燕子
(
えんし
)
風にひるがえり
蜂蝶
(
ほうちょう
)
花に
粘
(
ねん
)
す。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
サガレン徒刑の制が
布
(
し
)
かれてから十五年になっていたが、その実状についてはお役所の文書のほかには一片の報告も現われず、社会の関心は皆無にひとしかった。
チェーホフ試論:――チェーホフ序説の一部として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
小舞
(
こまい
)
かきの竹は勝手を知っていますから、
明店
(
あきだな
)
の
上総戸
(
かずさど
)
を明けて中へ
這入
(
はい
)
り、
菰
(
こも
)
を
布
(
し
)
き、
睾丸火鉢
(
きんたまひばち
)
を入れ、
坐蒲団
(
ざぶとん
)
を布きましたから、其の上に清次は
胡座
(
あぐら
)
をかき。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
件
(
くだん
)
のさむらいは、やはり道場の真中に
莚
(
むしろ
)
を
布
(
し
)
いて坐り込み、その前には与八の運んだお膳と、それから、いつのまに、どうして持ち込んだか一升徳利を押据えて
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その道路の美しく
甃石
(
しきいし
)
を
布
(
し
)
いてある
状
(
かたち
)
や、建築物の高大な状などは言語に絶する。市全体は北と西の方へ広く伸び、端から端まで行くのに一日を費やさねばならぬ。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
ここははやくより、磁器の製造をもて、その名世に
布
(
し
)
く。いはゆる有田焼の名産を出すところなり。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
首都には戒厳令が
布
(
し
)
かれたが、恐しいなにごとかの
兆
(
きざし
)
が、この事件によって、国民を不安にした。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
周到な
智嚢陣
(
ちのうじん
)
を
布
(
し
)
いて内外呼応して探偵するのでは、どんな至難な問題とてもこれで解決できぬことはよもあるまいと、したたかに感じ入らざるを得なかったのであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
さのみ
繁
(
しげ
)
くもない
樺
(
かば
)
のほそぼそとした
幹
(
みき
)
は思いがけずも白絹めく、やさしい
光沢
(
こうたく
)
を
帯
(
お
)
び、地上に散り
布
(
し
)
いた、細かな落ち葉はにわかに日に映じてまばゆきまでに金色を放ち
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
何もかも素直に投げだして、
背水
(
はいすい
)
の
陣
(
じん
)
を
布
(
し
)
いたらしく見える彼女を思うと、渡瀬はふと奇怪な涙ぐましさをさえ感じた。渡瀬はもとよりおぬいさんを憎んでいるのではない。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
午後九時になると、とうとう非常管制が
布
(
し
)
かれた。サイレンの
唸
(
うなり
)
、ラジオの拡声器から流れてくるアナウンサーの声。「空襲、空襲!」と叫びながら走ってゆく防護団の少年。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大正十二年九月一日の大震火災後一二ヶ月の間、東京市中に婦人の戒厳令が
布
(
し
)
かれた事を。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
人のわたくしをもて奪ふとも
得
(
う
)
べからぬことわりなるを、たとへ
重仁王
(
しげひとぎみ
)
の
即位
(
みくらゐ
)
は民の仰ぎ望む所なりとも、徳を
布
(
し
)
き
和
(
くわ
)
を
施
(
ほどこ
)
し給はで、道ならぬみわざをもて
代
(
よ
)
を乱し給ふ
則
(
とき
)
は
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
それに連なって裾野の方へ、緑に広く
布
(
し
)
いてみえるのは、黒松の林ではないであろうか。
酒徒漂泊
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
“布”の意味
《名詞》
(ぬの)綿や絹といった繊維から織り上げたもの。衣服などの材料となる。
(出典:Wiktionary)
“布”の解説
布(ぬの)とは
織物の総称。織ったもののこと。古くは、(絹(絹織物)と対比して)麻・葛 (くず) などで織ったものを「布」と言っていたが、のちに木綿も含めた。
(広く)繊維類を薄く加工したもの。(織物に限らず、メリヤス生地やレース(編み物の類)、フェルト、不織布まで含めた概念)
(出典:Wikipedia)
布
常用漢字
小5
部首:⼱
5画
“布”を含む語句
毛布
麻布
被布
白布
赤毛布
絹布
画布
頭布
敷布
帆布
布地
財布
布片
小布
撒布
卓布
垂布
昆布
布衣
上布
...