“延(し)” の例文
風の暴頻(あれしき)る響動(どよみ)に紛れて、寝耳にこれを聞着(ききつく)る者も無かりければ、誰一人出(いで)て噪(さわ)がざる間に、火は烈々(めらめら)と下屋(げや)に延(し)きて、厨(くりや)の燃立つ底より一声叫喚(きようかん)せるは誰(たれ)、狂女は嘻々(きき)として高く笑ひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)